2013年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『甦ったスパイ』(チャールズ・カミング)
(2)『アウトロー』(リー・チャイルド)
(3)『冬のフロスト』(R・D・ウィングフィールド)
(4)『誰よりも狙われた男』(ジョン・ル・カレ)
(5)『列車に御用心』(エドマンド・クリスピン)
本年の特徴
本年の英国ミステリーは久しぶりに質・量とも充実していたが、なんと言っても特筆すべきは、ベルリンの壁崩壊後、右肩下がりで低迷していたスパイ小説が復活したことだろう。トップは新人作家の『甦ったスパイ』としたが、新人の二作めがこのレベルとは、スパイ小説大国の底力か。去年トップに推したル・カレも好調で、『われらが背きし者』の前年に書かれた『誰よりも狙われた男』をベスト5に入れた。”フロスト物”は例外なく面白いが、今回の作品も高水準を維持している。短編集は、スパークの『バン、バン! はい死んだ』が驚きのアンソロジーだが、ミステリー短編が少ないのでベスト5に入れるのは遠慮した。総じて今年は前年に比べると読み応えのある作品が多かった。なおリー・チャイルドは現在米国に移住しているようだが、大好きな作家なのでこれまで通り勝手にリストに入れている。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『時のみぞ知る』 ジェフリー・アーチャー 戸田裕之 新潮社 ★★
『死もまた我等なり』 ジェフリー・アーチャー 戸田裕之 新潮社 ★★
『冬のフロスト』 R・D・ウィングフィールド 芹澤恵 東京創元社 ★★★★
『黒いダイヤモンド』 マーティン・ウォーカー 山田久美子 東京創元社 ★★★
『遮断地区』 ミネット・ウォルターズ 成川裕子 東京創元社 ★★★
『ファイナル・ターゲット』 トム・ウッド 熊谷千寿 早川書房 ★★★★
『黒い壁の秘密』 グリン・カー 堀内瑛司 東京創元社 ★★
『殺人者の湿地』 アンドリュー・ガーヴ 水野恵 論創社 ★★
『嘘つきのララバイ』 メグ・ガーディナー 山田 久美子 集英社 ★★
『ケンブリッジ・シックス』 チャールズ・カミング 熊谷千寿 早川書房 ★★★
『甦ったスパイ』 チャールズ・カミング 横山啓明 早川書房 ★★★★
『青雷の光る秋』 アン・クリーヴス 玉木亨 東京創元社 ★★★
『列車に御用心』 エドマンド・クリスピン 冨田 ひろみ 論創社 ★★★★
『隠し絵の囚人』 ロバート・ゴダード 北田絵里子 講談社 ★★★★
『予期せぬ結末1』 ジョン・コリア 植草昌実他 扶桑社 ★★★
『暗き炎』 C・J・サンソム 越前敏弥 集英社 ★★★
『バン、バン! はい死んだ』 ミュリエル・スパーク 木村政則編訳 河出書房新社 ★★★★
『悲しみの聖母』 アン・スルーディ ハーディング祥子 小学館  
『アウトロー』 リー・チャイルド 小林宏明 講談社 ★★★★
『跡形なく沈む』 D・M・ディヴァイン 中村有里 東京創元社 ★★
『ようこそグリニッジ警察へ』 マレー・デイヴィス 林香織 早川書房 ★★★
『翳深き谷』 ピーター・トレメイン 甲斐萬里江 東京創元社 ★★★
『蒸気機関車と血染めの外套』 アランナ・ナイト 法村里絵 東京創元社 ★★
『短篇小説日和』 ミュリエル・スパーク他 西崎憲編訳 筑摩書房 ★★★
『怪奇小説日和』 フィッツ=ジェイムズ・オブライエン他 西崎憲編訳 筑摩書房 ★★★
『ハンティング 』 べリング・バウアー 杉本葉子 小学館 ★★★
『バッドタイム・ブルース』 オリヴァー・ハリス 府川由美恵 早川書房 ★★
『アガサ・レーズンの完璧な裏庭』 M.C・ビートン 羽田詩津子 原書房 ★★★
『キリング』 デイヴィッド・ヒューソン(原作ソーラン・スヴァイストロップ) 山本やよい 早川書房 ★★★
『人間和声』 ブラックウッド 南條竹則 光文社 ★★
『神の起源』 J・T・ブラナン 棚橋志行 ソフトバンククリエイティブ
『アーサー王の墓所の夢』 アリアナ・フランクリン 吉澤康子 東京創元社 ★★★
『キャッツ・アイ』 R・オースティン・フリーマン 渕上痩平 ROM叢書 ★★★
『短刀を忍ばせ微笑む者』 ニコラス・ブレイク 井伊順彦 論創社 ★★★
『葬送の庭』 タナ・フレンチ 安藤由紀子 集英社 ★★★
『もっとも暗い場所へ』 エリザベス・ヘインズ 小田川佳子 早川書房 ★★★
『警官の騎士道 』 ルーパート・ペニー 熊井ひろ美 論創社 ★★★
『護りと裏切り』 アン・ペリー 吉澤康子 東京創元社 ★★★
『貧乏お嬢さま、メイドになる』 リース・ボウエン 古川奈々子 原書房 ★★★
『貧乏お嬢さま、古書店へ行く』 リース・ボウエン 古川奈々子 原書房  
『カルニヴィア1禁忌』 ジョナサン・ホルト 奥村章子 早川書房 ★★★★
『琥珀色の瞳の家庭教師』 ヴィクトリア・ホルト 出水純 オークラ出版 ★★★
『絹の家』 アンソニー・ホロヴィッツ 駒月雅子 角川書店 ★★★
『命取りの追伸』 ドロシー・ボワーズ 松本真一 論創社 ★★
『ソープ・ヘイズルの事件簿』 V・L・ホワイトチャーチ 小池滋・白須清美 論創社 ★★★
『ヴィクトリア朝幽霊物語』 イーディス・ネズビット他 松岡光治編訳 アティーナ・プレス  
『背教のファラオ』 スコット・マリアーニ 船山睦美 河出書房新社  
『孤高のSAS戦士』 クリス・ライアン 伏見威蕃 ソフトバンククリエイティブ ★★★
『北極の白魔』 マット・リン 熊谷千寿 ソフトバンククリエイティブ ★★
『誰よりも狙われた男』 ジョン・ル・カレ 加賀山卓朗 早川書房 ★★★★
『骨董屋探偵の事件簿』 サックス・ローマー 近藤麻里子 東京創元社 ★★
『亡国の薔薇』 イモジェン・ロバートスン 茂木健 東京創元社 ★★★
『悪魔と警視庁』 E・C・R・ロラック 藤村裕美 東京創元社 ★★★

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