2011年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『夜の真義を』(マイケル・コックス)
(2)『午前零時のフーガ』(レジナルド・ヒル)
(3)『ミスター・クラリネット』(ニック・ストーン)
(4)『エージェント6』(トム・ロブ・スミス)
(5)『三つの秘文字』(J・S・ボルトン)
本年の特徴
英国ミステリーの翻訳数は、今年も40冊に届かなかった。減った分は北欧やドイツのミステリーが埋めたと思われるので(そしてそれらの国のミステリーが好評なので)、近い将来翻訳点数が元に戻ることは期待できないであろう。ただ点数は減ったものの、内容はバラエティに富んでいる。トップに推した『夜の真義を』は疑ヴィクトリア朝小説で純然たるミステリーではないが、豊かな物語性に圧倒される。同様な作品にケイト・モートンの『忘れられた花園』があるが、モートンはオーストラリアの作家のため断念し、ヒルのダルジール物を第二位とした。3−5位には冒険小説的なノワールやスパイ小説、サスペンスがならんでいる。それらの作品に共通しているのは、自立心が強く忍耐力があるという典型的な英国人が主人公になっていることか。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『遥かなる未踏峰』 ジェフリー・アーチャー 戸田裕之 新潮社 ★★★
『15のわけあり小説』 ジェフリー・アーチャー 戸田裕之 新潮社 ★★★
『フィデリティ・ダヴの大仕事』 ロイ・ヴィカーズ 平山雄一 国書刊行会 ★★★
『緋色の十字章』 マーティン・ウォーカー 山田久美子 東京創元社 ★★
『破壊者』 ミネット・ウォルターズ 成川裕子 東京創元社 ★★★
『変わらざるもの』 フィリップ・カー 柳沢伸洋 PHP文芸文庫 ★★★
『死の同窓会』 メグ・ガーディナー 杉田七重 集英社 ★★
『メモリー・コレクター』 メグ・ガーディナー 山田 久美子 集英社 ★★★
『野兎を悼む春』 アン・クリーヴス 玉木享 東京創元社 ★★★
『封印された系譜』 ロバート・ゴダード 北田絵里子 講談社 ★★★
『夜の真義を』 マイケル・コックス 越前敏弥 文藝春秋 ★★★★★
『ハニー・トラップ探偵社』 ラナ・シトロン 田栗美奈子 作品社 ★★★
『ミスター・クラリネット』 ニック・ストーン 熊谷千寿 武田ランダム・ハウス ★★★★
『暁に走れ』 ジョン・ストック 村井 智之 小学館  
『エージェント6』 トム・ロブ・スミス 田口俊樹 新潮社 ★★★★
『三本の緑の小壜』 D・M・ディヴァイン 山田蘭 東京創元社 ★★★
『ラッフルズ・ホーの奇蹟』 コナン・ドイル 北原尚彦・西崎憲編 東京創元社 ★★
『死をもちて赦されん』 ピーター・トレメイン 甲斐萬里江 東京創元社 ★★★
『装飾庭園殺人事件』 ジェフ・ニコルスン 風間賢二 扶桑社 ★★★
『孤独の部屋』 パトリック・ハミルトン 北川依子 新人物往来社 ★★★
『午前零時のフーガ』 レジナルド・ヒル 松下祥子 早川書房 ★★★★
『探偵稼業は運しだい』 レジナルド・ヒル 羽田詩津子 PHP研究所 ★★★
『巨人たちの落日』 ケン・フォレット 戸田裕之 ソフトバンククリエイティブ ★★★
『溺れる白鳥』 ベンジャミン・ブラック 松本剛史 武田ランダム・ハウス ★★
『ロザムンドの死の迷宮』 アリアナ・フランクリン 吉澤康子 東京創元社 ★★★
『矜持』 ディック・フランシス&フェリックス・フランシス 北野寿美枝 早川書房 ★★★
『ワンダーランドの悪意』 ニコラス・ブレイク 白須清美 論創社 ★★★
『生還』 ニッキ・フレンチ 務台夏子 角川書店 ★★★
『紳士と月夜の晒し台』 ジョージェット・ヘイヤー 猪俣美江子 東京創元社 ★★★
『幽』 百年文庫84 編集部選 ポプラ社 ★★★
『アサシ ンクリード 預言』 オリヴァー・ボーデン 阿部清美 ヴィレッジブックス ★★
『夏の夜のわるい夢』 ジェイニー・ボライソー 安野玲 東京創元社 ★★
『霧に包まれた恋人』 ヴィクトリア・ホルト 松本都 幻冬舎 ★★
『三つの秘文字』 S・J・ボルトン 法村里絵 東京創元社 ★★★★
『マウントドレイゴ卿/パーティの前に』 サマセット・モーム 木村政則 光文社 ★★★★
『すべては雪に消える』 A・D・ミラー 北野寿美枝 早川書房 ★★★
『暗黒の特殊作戦』 マット・リン 熊谷千寿 ソフトバンククリエイティブ ★★
『ミッション・ソング』 ジョン・ル・カレ 加賀山卓朗 光文社 ★★★

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