2009年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『前夜』(リー・チャイルド)
(2)『ベツレヘムの密告者』(マット・ベイノン・リース)
(3)『ロンドン・ブールヴァード』(ケン・ブルーエン)
(4)『蛇、もっとも禍し』(ピーター・トレメイン)
(5)『悪意の森』(タナ・フレンチ)

本年の特徴
リストアップされた作品は40冊強で、昨年に較べると大幅に減った。減った理由は不況の影響もあるのだろうが、『ミレニアム』に代表される北欧ミステリーの台頭と英国ミステリーの不作が重なった結果であろう。本年のベスト5に挙げた作品はいずれも小粒で、ここ数年のベスト5作品に較べると多少見劣りしている。ただし全作品の平均点はそう悪いわけではないから、典型的なドングリの背比べとなった年であろう。トップに推した『前夜』はシリーズ番外編となる異色作なので少し持ち上げてみただけで、他の作品との差はわずか。なお『リヴァトン館』(ランダムハウス講談社)の著者ケイト・モートンはオーストラリア人なので『リヴァトン館』はリスト外としたが、ヴィクトリア朝のゴシック・ロマンスを髣髴させるサスペンス小説で、本当はベスト5に加えたい作品であった。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『誇りと復讐』 ジェフリー・アーチャー 永井淳 新潮社 ★★★
『コンラッド・ハーストの正体』 ケヴィン・ウィグノール 松本剛史 新潮社 ★★★
『嘘をつく舌』 アンドリュー・ウィルソン 高山 祥子 ランダムハウス講談社 ★★★
『ブランディングズ城は荒れ模様』 P・G・ウッドハウス 森村たまき 国書刊行会  
『静かなる天使の叫び』 R・J・エロリー 佐々田雅子 集英社 ★★★★
『チャイナ・レイク』 メグ・ガーディナー 山西美都紀 早川書房 ★★
『ゴースト・ストーリー傑作選』 川本静子・佐藤宏子編訳 川本静子・佐藤宏子編訳 みすず書房 ★★★
『アトランティスを探せ』上下 デイヴィッド・ギビンズ 遠藤宏昭 扶桑社  
『イスタンブールの毒蛇』 ジェイソン・グッドウィン 和爾桃子 早川書房 ★★
『白夜に惑う夏』 アン・クリーヴス 玉木享 東京創元社 ★★★
『水時計』 ジム・ケリー 玉木享 東京創元社 ★★★
『遠き面影』 ロバート・ゴダード 北田絵里子 講談社 ★★★
『天来の美酒/消えちゃった』 A・E・コッパード 南條竹則 光文社 ★★★
『非実体主義殺人事件』 ジュリアン・シモンズ 多田昌子 論創社 ★★
『日曜哲学クラブ』 アレグザンダー・マコール・スミス 柳沢由美子 東京創元社 ★★★
『新参探偵、ボツワナを騒がす』 アレグザンダー・マコール・スミス 小林浩子 ヴィレッジブックス ★★
『グラーグ57』 トム・ロブ・スミス 田口俊樹 新潮社 ★★★★
『アテネからの使者』 アン・ズルーディ ハーディング祥子 小学館 ★★
『二壜の調味料』 ロード・ダンセイニ 小林晋 早川書房 ★★★
『前夜』 リー・チャイルド 小林宏明 講談社 ★★★★
『災厄の紳士』 D・M・ディヴァイン 中村有希 東京創元社 ★★★
『最後の神託』 リンゼイ・ディヴィス 矢沢聖子 光文社 ★★★
『修道女フィデルマの叡智』 ピーター・トレメイン 甲斐萬里江 東京創元社 ★★★
『蛇、もっとも禍し』 ピーター・トレメイン 甲斐萬里江 東京創元社 ★★★★
『祖国なき男』 ジェフリー・ハウスホールド 村上博基 東京創元社 ★★★
『ゴーストライター』 ロバート・ハリス 熊谷千寿 講談社 ★★★★
『死は万病を癒す薬』 レジナルド・ヒル 松下祥子 早川書房 ★★★
『石が流す血』 フランセス・ファイフィールド 喜須海理子 ランダムハウス講談社 ★★★★
『大聖堂果てしなき世界』 ケン・フォレット 戸田 裕之 ソフトバンク文庫 ★★★
『ダブリンで死んだ娘』 ベンジャミン・ブラック 松本 剛史 ランダムハウス講談社 ★★★
『壊れた偶像』 ジョン・ブラックバーン 松本真一 論創社 ★★
『エルサレムから来た悪魔』 アリアナ・フランクリン 吉澤康子 東京創元社 ★★★
『片腕をなくした男』 ブライアン・フリーマントル 戸田裕之 新潮社 ★★
『ロンドン・ブールヴァード』 ケン・ブルーエン 鈴木恵 新潮社 ★★★★
『悪意の森』 タナ・フレンチ 安藤由紀子 集英社 ★★★★
『法人類学者デイヴィッド・ハンター』 サイモン・ベケット 坂本あおい ヴィレッジブックス ★★★
『警官の証言』 ルーパート・ペニー 熊井ひろ美 論創社 ★★★
『ムーアに住む姉妹』 ジェイニー・ボライソー 山田順子 東京創元社 ★★
『メディチ家の暗号』 マイケル・ホワイト 横山啓明 早川書房 ★★
『ねこ捜査官ゴルゴンゾーラとハギス缶の謎』 ヘレン&モーナ・マルグレイ 羽田詩津子 ヴィレッジブックス ★★
『悪魔の調べ』 ケイト・モス 森嶋マリ ソフトバンク・クリエイティブ ★★★
『ファイアファイト偽装作戦』 クリス・ライアン 伏見威蕃 早川書房 ★★★
『ベツレヘムの密告者』 マット・ベイノン・リース 小林 淳子 ランダムハウス講談社 ★★★★
『ミスター・ディアボロ』 アントニー・レジューン 小林晋 扶桑社 ★★★
『余波』上下 ピーター・ロビンスン 野の水生 講談社  
『新艦長、孤高の海路』 ジュリアン・ストックウィン 大森洋子 早川書房  

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