2005年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『アイルランド幻想』(ピーター・トレメイン)
(2)『覗く銃口』(サイモン・カーニック)
(3)『天使の背徳』(アンドリュー・テイラー)
(4)『スパイズ・ライフ』(ヘンリー・ポーター)
(5)『溶ける男』(ヴィクター・カニング)

本年の特徴
翻訳ミステリーが売れなくなったからであろうが、一部ではこの年は「翻訳ミステリー、冬の時代」と言われた。確かに英国ミステリー界をリードしてきたP・D・ジェイムズやラヴゼイ、ランキンの本年の作品も、それまでの彼らの作品と比べると多少質が落ちている気がしないでもないが(そのために今年は、いずれの作品もベスト5に挙げなかったが)、出版点数は昨年を越えており、それなりに充実していた。トップは私には珍しく怪奇小説の短編集としたが、まあ突出した作品がなかったからである。今年もっとも頑張った論創海外ミステリーはそこそこ面白いのだが、やはりドングリの背比べ。『溶ける男』がもっとも楽しめたので(5)とした。次点は『いつ死んだのか』と『断崖は見ていた』か。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『検屍官の領分』 マージェリー・アリンガム 佐々木愛 論創社 ★★★
『殺人者の街角』 マージェリー・アリンガム 佐々木愛 論創社 ★★★
『ミステリー・マイル』 マージェリー・アリンガム 小林晋 ROM ★★★
『陶人形の幻影』 マージェリー・アリンガム 佐々木愛 論創社 ★★
『偶然のラビリンス』 デイヴィッド・アンブローズ 鎌田三平 ソニー・マガジンズ ★★★
『アプルビイズ・エンド』 マイケル・イネス 鬼頭玲子 論創社 ★★★
『ストップ・プレス』 マイクル・イネス 富塚由美 国書刊行会 ★★★★
『セビーリャの冷たい目』 ロバート・ウィルスン 田村義進 早川書房 ★★★
『夜明けのメイジー』 ジャクリーン・ウィンスピア 長野きよみ 早川書房  
『ブレイディング・コレクション』 パトリシア・ウェントワース 中島なすか 論創社 ★★★
『エムズワース卿の受難録』 P・G・ウッドハウス 森村たまき 文藝春秋  
『覗く銃口』 サイモン・カーニック 佐藤耕士 新潮社 ★★★★
『溶ける男』 ヴィクター・カニング 水野恵 論創社 ★★★★
『JJをさがして』 アン・キャシディ 子安 亜弥 ランダムハウス講談社 ★★★
『巨石神殿ストーンヘンジ』 バーナード・コーンウェル 井口智子 ソニー・マガジンズ ★★★
『悠久の窓』 ロバート・ゴダード 加地美知子 講談社 ★★★★
『奇怪な果実』 ジョン・コナリー 北澤和彦 講談社 ★★
『殺人展示室』 P・D・ジェイムズ 青木久惠 早川書房 ★★★
『七月の暗殺者』 ゴードン・スティーヴンズ 藤倉秀彦 東京創元社 ★★★
『難破船』 ロバート・ルイス・スティーヴンスン&ロイド・オズボーン 駒月雅子 早川書房 ★★★
『判事とペテン師』 ヘンリー・セシル 中村美穂  論創社 ★★★
『裁かれる花園』 ジョセフィン・テイ 中島なすか 論創社 ★★
『歌う砂―グラント警部最後の事件』 ジョゼフィン・テイ 鹽野佐和子 論創社 ★★★
『英国占領』 マリ・デイヴィス 真野明裕 二見書房 ★★★
『獅子の目覚め』 リンゼイ・デイヴィス 田代泰子 光文社 ★★★
『聖なる灯を守れ』 リンゼイ・デイヴィス 矢沢聖子 光文社 ★★★★
『忌まわしき絆』 L・P・デイビス 板垣節子 論創社 ★★★
『天使の背徳』 アンドリュー・テイラー 越前敏弥 講談社 ★★★★
『地上のヴィーナス』 サラ・デュナント 小西敦子 河出書房新社 ★★
『アイルランド幻想』 ピーター・トレメイン 甲斐萬里江 光文社 ★★★★
『贖罪の終止符』 サイモン・トロイ 水野恵 論創社 ★★★
『サルバドールの復活』 ジェレミー・ドロンフィールド 越前敏弥 東京創元社 ★★★
『イギリス恐怖小説傑作選』   南條竹則編 筑摩書房 ★★★
『シシリーは消えた』 アントニイ・バークリー 森 英俊 原書房 ★★
『ポンペイの四日間』 ロバート・ハリス 菊地よしみ 早川書房 ★★★
『復讐の血族』 ジャック・ヒギンズ 黒原敏行 角川書店  
『患者の眼 シャーロック・ホームズ誕生秘史1』 デイヴィッド・ピリー 日暮雅通 文藝春秋 ★★★
『シャーロック・ホームズの息子』 ブライアン・フリーマントル 日暮雅通 新潮社 ★★
『酔いどれに悪人なし』 ケン・ブルーウン 東野さやか 早川書房 ★★★
『酔いどれ故郷にかえる』 ケン・ブルーウン 東野さやか 早川書房 ★★★
『骨と髪』 レオ・ブルース 小林晋 原書房 ★★
『醜聞の館ーゴア大佐第三の事件』 リン・ブロック 田中孜 論創社 ★★
『いつ死んだのか』 シリル・ヘアー 矢田智佳子 論創社 ★★★★
『断崖は見ていた』 ジョセフィン・ベル 上杉真理 論創社 ★★★★
『北朝鮮最終決戦』 ハンフリー・ホークスリー 棚橋志行 二見書房  
『スパイズ・ライフ』 ヘンリー・ポーター 二宮磬 新潮社 ★★★★
『またまた二人で泥棒を』 E・W・ホーナング 藤松忠夫 論創社 ★★
『最後に二人で泥棒を〜ラッフルズとバニー3』 E・W・ホーナング 藤松忠夫 論創社 ★★
『幸せな秋の野原』 エリザベス・ボウエン 太田良子 ミネルヴァ書房
『看護婦への墓碑銘』 アン・ホッキング 鬼頭玲子 論創社 ★★★
『しっかりものの老女の死』 ジェイニー・ボライソー 安野玲 東京創元社 ★★
『パンプルムース氏の晩餐会』 マイケル・ボンド 木村博江 東京創元社 ★★★
『アレン警部登場』 ナイオ・マーシュ 岩佐薫子 論創社 ★★
『ヴィンテージ・マーダー』 ナイオ・マーシュ 岩佐薫子 論創社 ★★★
『過去からの殺意』 ヴァル・マクダーミド 宮内もと子 集英社 ★★★★
『フライアーズ・パードン館の謎』 フィリップ・マクドナルド 白須清美 原書房 ★★
『ラスト・ライト』 アンディ・マクナブ 伏見威蕃 角川書店 ★★★
『すべてが罠』 グレン・ミード 戸田裕之 二見書房 ★★★★
『テロ資金根絶作戦』 クリス・ライアン 伏見威蕃 早川書房 ★★★★
『漂う殺人鬼』 ピーター・ラヴゼイ 山本やよい 早川書房 ★★★★
『紐と十字架』 イアン・ランキン 延原泰子 早川書房 ★★★
『獣と肉』 イアン・ランキン 延原泰子 早川書房 ★★★★
『ロンドン爆破まで九日間』上下 スティーブン・レザー 田辺千幸 ランダムハウス講談社  
『復讐の子』 パトリック・レドモンド 高山祥子 新潮社 ★★★
『原潜バラクーダ奇襲』 パトリック・ロビンソン 山本光伸 二見書房  
『迷い子たちの長い夜』 フランセスカ・ワイズマン 猪俣美江子 ランダムハウス講談社
『囚人護送艦、流刑大陸へ』 パトリック・オブライアン 大森洋子 早川書房  
『ボストン沖、決死の脱出行』上下 パトリック・オブライアン 高沢次郎 早川書房  
『無法のカリブ海』 アレグザンダー・ケント 高橋泰邦 早川書房  
『愛国の旗を掲げろ 』 ジュリアン・ストックウィン 大森洋子 早川書房  
『ドーバーの伏兵』 エドウィン・トーマス 高津幸枝 早川書房 ★★★

戻る