1996年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『バースへの帰還』(ピーター・ラヴゼイ)
(2)『抱擁』(A・S・バイヤット)
(3)『極北が呼ぶ』(ライオネル・デヴィッドスン)
(4)『敵手』(ディック・フランシス)
(5)『千尋の闇』(ロバート・ゴダード)

本年の特徴
比較的レベルの高い作品が揃った年であった。トップは『バースへの帰還』としたが、本書はダイアモンド警視シリーズの三作目で、謎解き、サスペンス、警察小説の面白さが巧妙に配合されている傑作。二位に推した『抱擁』は、いわゆる純文学に属する作品だが、ミステリー的要素も豊富で、なにより読む楽しさに溢れているのがよい。ベスト5には入れなかったが、やはり純文学系の作家バンクスの『共鳴』も捨て難い。『極北が呼ぶ』はデヴィッドスンの久々の冒険小説。この著者はいろいろな範疇に入る作品を手掛けているが、私は彼の冒険小説がもっとも好きである。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『メディア買収の野望』 ジェフリー・アーチャー 永井淳 新潮社 ★★
『聖ウラジーミルの十字架』 イーヴリン・アンソニー 食野雅子 新潮社 ★★★
『衣装戸棚の女』 ピーター・アントニイ 永井淳 東京創元社 ★★★
『毒殺魔の十二カ月』 ナイジェル・ウィリアムズ 高儀進 早川書房  
『赤い館』 H・R・ウェイクフィールド 倉阪鬼一郎他 国書刊行会 ★★★
『鉄の伽』 ミネット・ウォルターズ 成川裕子 東京創元社 ★★★★
『テロリストよ眠れ』 レグ・ギャドニー 唐木鈴 TBSブリタニカ ★★
『赤い影』 スティーヴン・ギャラガー 岡田葉子 扶桑社  
『ブラック・ホーン』 A・J・クィネル 大熊栄 新潮社 ★★★
『偽りの旅路』 レズリー・グラント=アダムソン 村井智之 扶桑社  
『シャーロック・ホームズ知られざる事件』 リチャード・L・グリーン 佐藤明子 勉誠社
『殺人定理』 トニー・ケープ 加藤洋子 原書房 ★★
『暗殺者は一人で眠る』 フィリップ・ケリガン 長野きよみ 早川書房  
『見果てぬ緑の地』 バーナード・コーンウェル 坂本憲一 早川書房 ★★★★
『ハロウィーンの死体』 ポーラ・ゴズリング 山本俊子 早川書房 ★★★
『千尋(ちいろ)の闇』 ロバート・ゴダード 幸田敦子 東京創元社 ★★★★
『偽りのカンバス』上下 シャーリー・コンラン 榊優子 扶桑社  
『奇襲』 J・J・サヴァリン 戸田裕之 二見書房  
『英米ゴーストストーリー傑作選』 佐藤嗣二編 佐藤嗣二 新風書房 ★★★
『裏切りの紋章』 ドナルド・ジェイムズ 戸田裕之 新潮社 ★★★
『ストーン・ダンサー』 マレー・スミス 広瀬順弘 文藝春秋 ★★
『5匹の赤い鰊』 ドロシー・L・セイヤーズ 浅羽莢子 東京創元社 ★★★★
『こわされた少年』 D・M・ディヴァイン 野中千恵子 社会思想社 ★★★
『最後のスパイ 信義』 レン・デイトン 田中融二 光文社  
『闇の幽鬼』 マイクル・ディブディン 高儀進 早川書房 ★★★★
『シメオンの花嫁』 アリソン・テイラー 青木久恵 早川書房  
『極北が呼ぶ』 ライオネル・デヴィッドスン 石田善彦 文藝春秋 ★★★★
『裁きの地』 サラ・デュナント 小西敦子 講談社 ★★★
『シャーロック・ホームズのジャーナル』 ジューン・トムスン 押田由起 東京創元社 ★★
『欲望の虎』 ジョン・トレンヘイル 棚橋志行 ベネッセ ★★
『死者の指』 ジョン・トレンヘイル 飛田野裕子 二見書房  
『デッド・ミート』 トレバー・バーンズ 矢沢聖子 講談社  
『抱擁』 A・S・バイヤット 栗原行雄 新潮社 ★★★★★
『暗号機エニグマへの挑戦』 ロバート・ハリス 後藤安彦 新潮社 ★★★
『共鳴』 イアン・バンクス 広瀬順弘 早川書房 ★★★★
『背教者カドフェル』 エリス・ピーターズ 岡達子 社会思想社 ★★★
『秘められた感情』 レジナルド・ヒル 松下祥子 早川書房 ★★★
『幸運を招く男』 レジナルド・ヒル 羽田詩津子 早川書房 ★★★★
『聖女が眠る村』 フランセス・ファイフィールド 松下祥子 早川書房  
『イコン』 フレデリック・フォーサイス 篠原慎 角川書店 ★★★
『灰の中の名画』 フィリップ・フック 後藤安彦 早川書房 ★★★
『心理探偵フィッツ2 恐るべき恋人たち』 モリー・ブラウン 矢島京子 二見書房  
『敵手』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★★★
『バウンティ号の反乱』 ブライアン・フリーマントル 新庄哲夫 原書房 ★★
『ランプリイ家の殺人』 ナイオ・マーシュ 浅羽莢子 国書刊行会 ★★★
『ヒトラーの相続人』 S・J・マイケルズ 東江一紀 原書房  
『雨の午後の降霊術』 マーク・マクシェーン 北沢和彦 トパーズ・プレス ★★★
『戦慄の候補者』 トニー・マコーレイ 佐々田雅子 新潮社 ★★
『パースへの帰還』 ピーター・ラヴゼイ 山本やよい 早川書房 ★★★★★
『衛星軌道の死闘』 ボブ・ラングレー 酒井昭伸 新潮社  
『最果ての征服者』 ボブ・ラングレー 海津正彦 東京創元社  
『電撃』 ティモシー・リッツィ 戸田裕之 二見書房  
『キャリアーズ』 パトリック・リンチ 高見浩 飛鳥新社 ★★★★
『われらのゲーム』 ジョン・ル・カレ 村上博基 早川書房  
『チャイナマン』 スティーヴン・レザー 田中昌太郎 新潮社 ★★★
『求婚する男』 ルース・レンデル 羽田詩津子 角川書店 ★★★
『テロルの日』 ケネス・ロイス 結城山和夫 ベネッセ ★★
『見えない兇器』 ジョン・ロード 駒月雅子 国書刊行会 ★★★
『最後の勝利者』 アレグザンダー・ケント 高橋泰邦 早川書房  
『急行せよ、カッター戦隊』 アレグザンダー・ケント 高沢次郎 早川書房  
『反逆』 バーナード・コーンウェル 高井千帆 光人社  
『不沈戦艦を叩け』 フィリップ・マカッチャン 佐和誠 早川書房  
『殊勲の駆逐艦』 ダグラス・リーマン 大森洋子 早川書房  

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