1995年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『女彫刻家』(ミネット・ウォルターズ)
(2)『愛は血を流して横たわる』(エドマンド・クリスピン)
(3)『見知らぬ顔』(アン・ペリー)
(4)『マエストロ』(ジョン・ガードナー)
(5)『嘘に抱かれた女』(ブライアン・フリーマントル)

本年の特徴
ここ数年の翻訳ミステリー界の一般的な傾向は、リーガル・サスペンスの隆盛と国際陰謀小説やスパイ小説の衰退であったが、英国ミステリーについてはリーガル・サスペンスはほとんど出版されず、後者の傾向ばかりが目立ったが、今年は歯止めがかかったようだ。ガードナーやフリーマントルといったベテラン作家の面白い作品が久しぶりに翻訳された。トップの『女彫刻家』は、サイコ・ホラーでも、ハードボイルドでも、謎解きミステリーでもあるという複合的な面白さを持つ作品で、これが二作目というから驚きである。『見知らぬ顔』は時代ミステリーで、冒頭から物語はサスペンス豊かに展開する。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『盗まれた爆撃機』 ディヴィッド・アクストン 沢万里子 二見書房  
『グリーンリバー・ライジング』 ティム・ウィロックス 東江一紀 角川書店  
『死への落下』 ヘンリー・ウエイド 駒月雅子 社会思想社 ★★★★
『女彫刻家』 ミネット・ウォルターズ 成川裕子 東京創元社 ★★★★★
『ベルリン・レクエイム』 フィリップ・カー 東江一紀 新潮社 ★★★
『マエストロ』 ジョン・ガードナー 後藤安彦 東京創元社 ★★★★
『紳士らしく死ね』 ジョン・ガードナー 後藤安彦 文藝春秋  
『ゴールデン・アイ』 ジョン・ガードナー 後藤安彦 文藝春秋  
『暗闇のエンジェル』上下 スティーヴン・ギャラガー 富永和子 扶桑社  
『蛇の牙』 デニス・キルコモンズ 飯島宏 新潮社  
『ブルー・リング』 A・J・クィネル 大熊栄 新潮社 ★★★
『愛は血を流して横たわる』 エドマンド・クリスピン 滝口達也 国書刊行会 ★★★★
『掟破りのリターンマッチ』 リザ・コディ 堀内静子 早川書房 ★★★
『最後の目撃者』 スティーヴン・サイクス 後藤安彦 早川書房  
『復讐のオデュッセイア』上下 イアン・S・ジェイムズ 篠原慎 角川書店  
『原罪』 P・D・ジェイムズ 青木久恵 早川書房 ★★★★
『灼熱戦線』 ウィルバー・スミス 熊谷鉱司 福武書店 ★★★
『飢えた海』 ウィルバー・スミス 飯島宏 文藝春秋 ★★★
『アフリカの牙』 ウィルバー・スミス 田村義進 福武書店 ★★★
『ベローナ・クラブの不愉快な事件』 ドロシー・L・セイヤーズ 浅羽莢子 東京創元社 ★★
『ロイストン事件』 D・M・ディヴァイン 野中千恵子 社会思想社 ★★★
『蛇の巣』 リンダ・デイヴィス 入江真佐子 早川書房 ★★★
『水都に消ゆ』 マイクル・ディブディン 高儀進 早川書房 ★★★★
『モース警部、最大の事件』 コリン・デクスター 大庭忠男他 早川書房 ★★★★
『カインの娘たち』 コリン・デクスター 大庭忠男 早川書房 ★★★
『時のかたみ』 ジューン・トムスン 藤村裕美 東京創元社 ★★★
『食物連鎖』 ジェフ・ニコルソン 宮脇孝雄 早川書房 ★★★
『シャーロック・ホームズの謎』 マイケル・ハードウィック 日暮雅通・北原尚彦 原書房 ★★
『警察長官と砂漠の略奪者』 マイクル・ピアス 堀内静子 早川書房 ★★★
『デーン人の夏』 エリス・ピーターズ 岡達子 社会思想社 ★★★
『聖なる泥棒』 エリス・ピーターズ 岡本浜江 社会思想社 ★★
『サンダー・ポイントの雷鳴』 ジャック・ヒギンズ 黒原敏行 早川書房 ★★
『逃げられない女』 フランセス・ファイフィールド 猪俣美江子 早川書房 ★★★
『影なき紳士』 マーティン・ブース 中野恵津子 文藝春秋 ★★★★
『ピラスター銀行の清算』 ケン・フォレット 水上峰雄 新潮社 ★★★
『告解』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★★★
『おとり捜査』 B・フリーマントル 真野明裕 新潮社 ★★★★
『嘘に抱かれた女』 B・フリーマントル 染田屋茂 新潮社 ★★★★
『ロープとリングの事件』 レオ・ブルース 小林晋 国書刊行会 ★★★
『英国風の殺人』 シリル・ヘアー 佐藤弓生 国書刊行会 ★★★★
『ラファエロ真贋事件』 イアン・ペアズ 鎌田三平 新潮社 ★★★
『薄明りの部屋』 フランセス・ヘガティ 松下祥子 早川書房  
『見知らぬ顔』 アン・ペリー 吉澤康子 東京創元社 ★★★★
『メルトダウン』上下 マックス・マーロウ 厚木淳 東京創元社
『薔薇荘にて』 A・E・W・メイスン 富塚由美 国書刊行会 ★★
『マルクスの末裔』 バリー・メイトランド 山本俊子 早川書房  
『心理探偵フィッツ』 ジム・モーティマー 嵯峨静江 二見書房 ★★★
『殿下とパリの美女』 ピーター・ラヴゼイ 中村保男 早川書房 ★★
『単独捜査』 ピーター・ラヴゼイ 山本やよい 早川書房 ★★★★
『架空取引』 マイケル・リドパス 染田屋茂 NHK出版 ★★★
『天使に銃は似合わない』 マイク・リプリー 鈴木啓子 早川書房  
『負け犬』 マイクル・Z・リューイン 石田善彦 早川書房 ★★
『リンボー』 ケネス・ロイス 結城山和夫 ベネッセ ★★★
『姿なき宿敵』 アレグザンダー・ケント 高津幸枝 早川書房  
『栄光の艦隊決戦』 アレグザンダー・ケント 高橋泰邦 早川書房  
『死闘のブレスト港』 フィリップ・マカッチャン 佐和誠 早川書房  
『スペインからの刺客』 フィリップ・マカッチャン 高岬沙世 早川書房  
『船団司令官』 フィリップ・マカッチャン 佐和誠 早川書房  

戻る