１９９４年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト５
（１）『クリスマスのフロスト』（Ｒ・Ｄ・ウィングフィールド）
（２）『兄の殺人者』（Ｄ・Ｍ・ディヴァイン）
（３）『ナイトマネージャー』（ジョン・ル・カレ）
（４）『分類項目：殺人』（サラ・レイシー）
（５）『パーフェクト・キル』（Ａ・Ｊ・クィネル）

本年の特徴
小粒な作品が多くて低調な年というのが全般的な印象。注目すべきは国書刊行会から「世界探偵小説全集」が刊行されたことであろう。以前より社会思想社の教養文庫では古い謎解きミステリーを細々と出版してきたが、その流れが一つの支流になってきたといえそうだ（そういえば前年にはセイヤーズのピーター卿物の新訳刊行も開始されたし、今年はその教養文庫からディヴァインが二冊も翻訳された）。ベスト５のトップには『クリスマスのフロスト』を推したが、新人ながらその筆力に驚いた。『分類項目：殺人』は『氷の家』とＣＷＡの新人賞を争そって負けたが、主人公の魅力で読ませる。

題　名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『十二枚のだまし絵』 ジェフリー・アーチャー 永井淳 新潮社 ★★★
『わたしだけの少女』 トーマス・アルトマン 松本みどり 東京創元社 　
『ブラック・クリスマス』 トーマス・アルトマン 松本みどり 東京創元社 　
『悪夢の八月』 ティモシー・ウィリアムズ 小西敦子 扶桑社 ★★★
『クリスマスのフロスト』 Ｒ・Ｄ・ウィングフィールド 芹澤恵 東京創元社 ★★★★
『氷の家』 ミネット・ウォルターズ 成川裕子 東京創元社 ★★★
『ハングマン 処刑のシナリオ』上下 ヴィクター・オライリー 諸井修造 扶桑社 　
『屍肉』 フィリップ・カー 東江一紀 新潮社 ★★★
『ミソサザイ作戦 準備完了』 ジョン・ガードナー 後藤安彦 文藝春秋 　
『富豪ガラティの陰謀』 ピーター・カニングハム 宇野輝雄 新潮社 　
『謀略のボルドー・ワイン』 ピーター・カニングハム 斉藤伯好 新潮社 　
『扉のない部屋』 スティーヴン・ギャラガー 高橋健次 角川書店 　
『パーフェクト・キル』 Ａ・Ｊ・クィネル 大熊栄 新潮社 ★★★★
『コッツウォルド毒殺事件』 アン・グレンジャー 清水久美 福武書店 ★★★
『ブラックウォーター湾の殺人』 ポーラ・ゴズリング 秋津知子 早川書房 ★★★★
『さよならは言わないで』 ロバート・ゴダード 奥村章子 扶桑社 ★★★★
『ダーティ・ウィークエンド』 ヘレン・ザハーヴィ 真野明裕 新潮社 　
『密告者』 ジェラルド・シーモア 東江一紀 福武書店 　
『フェニックス・ドリーム』 ボブ・ジャッド 伊多波礼子 扶桑社 ★★★
『熱砂の三人』 ウィルバー・スミス 田中靖 文藝春秋 ★★★
『悪魔の参謀』 マレー・スミス 広瀬順弘 文藝春秋 ★★
『不自然な死』 ドロシー・Ｌ・セイヤーズ 浅羽莢子 東京創元社 ★★★
『騎手ブレインの失われた栄光』 マーク・ダニエル 山田久美子 新潮社 ★
『災いを秘めた酒』 ケイト・チャールズ 相原真理子 東京創元社 ★★★
『幸運の逆転』 エリザベス・チャップリン 茅律子 早川書房 ★★
『兄の殺人者』 Ｄ・Ｍ・ディヴァイン 野中千恵子 社会思想社 ★★★★
『五番目のコード』 Ｄ・Ｍ・ディヴァイン 野中千恵子 社会思想 ★★★★
『黄金の都（まち）』 レン・デイトン 田中融二 光文社 　
『陰謀と死』 マイクル・ディブディン 高儀進 早川書房 ★★
『消えゆく光』 マイクル・ディブディン 高儀進 早川書房 ★★
『マザーズボーイ』 バーナード・テイラー 山田久美子 二見書房 ★★★
『最上の地』 サラ・デュナント 小西敦子 講談社 ★★★
『ＤＣ−３の積荷』上下 クレイグ・トーマス 田村源二 新潮社 　
『危険な選択』 マイケル・ドブズ 布施由紀子 ＮＨＫ出版 ★★
『恐竜クライシス』 ハリー・Ａ・ナイト 尾之上浩司 東京創元社 　
『オフ・マイナー』 ジョン・ハーヴェイ 夏来健次 社会思想社 　
『第二の銃声』 アントニー・バークリー 西崎憲 国書刊行会 ★★★
『ハルイン修道士の告白』 エリス・ピーターズ 岡本浜江 社会思想社 ★★★
『異端の徒弟』 エリス・ピーターズ 岡達子 社会思想社 ★★★
『陶工の畑』 エリス・ピーターズ 大出健 社会思想社 ★★★
『バビロンの青き門』 ポール・ピカリング 中川剛 文藝春秋 　
『嵐の眼』 ジャック・ヒギンズ 黒原敏行 早川書房 ★★
『神の拳（こぶし）』 フレデリック・フォーサイス 篠原慎 角川書店 ★★★
『ペーパー・マネー』 ケン・フォレット 日暮雅道 新潮社 ★★
『巡礼たちが消えていく』 ジョン・フラー 工藤政司 国書刊行会 ★★
『ゴースト・パラダイス』 テリー・プラチェット 鴻巣友季子 講談社 　
『決着』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★★
『暗闇の薔薇』 クリスチアナ・ブランド 高田恵子 東京創元社 ★★★
『フリーマントルの恐怖劇場』 Ｂ・フリーマントル 山田順子 講談社 ★★★
『死体つき会社案内』 サイモン・ブレット 近藤麻理子 早川書房 ★★
『ダイエット中の死体』 サイモン・ブレット 堀内静子 早川書房 ★★
『遊戯室』 フランセス・ヘガティ 松下祥子 早川書房 　
『グッドマン・イン・アフリカ』 ウィリアム・ボイド 菊池よしみ 早川書房 ★★★★
『レッド・デス』上下 マックス・マーロウ 厚木淳 東京創元社 　
『晩餐の誓い』 ウィリアム・マッキルヴァニー 中村保男 早川書房 ★★★
『女王陛下を救出せよ』 ポール・マン 山根和郎 二見書房 　
『バビロンの影』 デイヴィッド・メイスン 菊池光 早川書房 ★★★
『ブルー・ムーン亭の秘密』 パトリシア・モイーズ 近藤麻里子 早川書房 ★★
『灼熱の死闘』 ボブ・ラングレー 酒井昭伸 新潮社 ★★★
『ナイト・マネージャー』 ジョン・ル・カレ 村上博基 早川書房 ★★★★
『ただ一度の挑戦』 パトリック・ルエル 羽田詩津子 早川書房 ★★★
『分類項目：殺人』 サラ・レイシー 向井和美 福武書店 ★★★★
『報復のコスト』 スティーヴン・レザー 田中昌太郎 新潮社 ★★★
『破壊者ベンの誕生』 ドリス・レッシング 上田和夫 新潮社 　
『夢の棘』 ピーター・ロビンスン 幸田敦子 東京創元社 　
『出撃！黄金奪取作戦』 パトリック・オブライアン 高沢次郎 徳間書店 　
『孤高の提督旗』 アレグザンダー・ケント 高橋泰邦 早川書房 　
『ワーテルロー』 バーナード・コーンウェル 高水香 光人社 　
『謀略の航海』 バーナード・コーンウェル 原佳代子 光人社 　
『ロシア艦隊の猛追』 フィリップ・マカッチャン 高岬沙世 早川書房 　
『偽装潜水母艦カイザーホフ』 フィリップ・マカッチャン 佐和誠 早川書房 　
『アドリア海襲撃指令』 ダグラス・リーマン 高津幸枝 早川書房 　
『キール港の白い大砲』 ダグラス・リーマン 大森洋子 早川書房 　

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