1992年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『骨と沈黙』(レジナルド・ヒル)
(2)『ファザーランド』(ロバート・ハリス)
(3)『黄金の島』(バーナード・コーンウェル)
(4)『イノセント』(イアン・マキューアン)
(5)『推定殺人』(ギリアン・リンスコット)

本年の特徴
この年の翻訳界の話題は、パトリシア・コーンウェルの『検屍官』が女性読者を中心にして爆発的に売れたことであろう。この頃から3F(作者も主人公も読者も女性)とか4F(そして訳者も女性)とか呼ばれるようになってきたようだ。80年代よりスー・グラフトンやサラ・パレツキー、ルース・レンデルの活躍があったが、ここにきて女性作家の活躍が一段と目につくようになってきた。とはいえベスト5のうち4位までは男性作家の作品となった。2位の『ファザーランド』は、パラレル・ワールドのドイツを舞台にしたナチ物ミステリーで、他ではあまり評価されていないと思われるが、私の好きな作品。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『裏切りのコードゲーム』 イーヴリン・アンソニー 食野雅子 新潮社 ★★★
『墓の結社』 ダニエル・イースターマン 山本光伸 二見書房 ★★★
『特命艦メデューサ』 ハモンド・イネス 池央耿 早川書房  
『怪談の悦び』 H・R・ウェイクフィールド他  南條竹則編訳 東京創元社 ★★★
『偽りの街』 フィリップ・カー 東江一紀 新潮社 ★★★
『スコーピアスの謎』 ジョン・ガードナー 後藤安彦 文藝春秋  
『砂塵の舞う土地』 ダンカン・カイル 松本剛史 東京創元社 ★★★★
『無頼船長と中東大戦争』 ブライアン・キャリスン 伏見威蕃 早川書房  
『イローナの四人の父親』 A・J・クィネル 大熊栄 新潮社 ★★
『最後の言葉』 グレアム・グリーン 前川祐一 早川書房  
『鋼の神』 スコット・グリュンマルク 松本みどり 東京創元社  
『黄金の島』 バーナード・コーンウェル 坂本憲一 早川書房 ★★★★
『ニューワールド』上下 ウォリック・コリンズ 野本征史 角川書店  
『レッド・フォックス』 ジェラルド・シーモア 田中昌太郎 新潮社  
『時速200マイルの陰謀』 ボブ・ジャッド 伊多波礼子 扶桑社  
『殺人者にカーテンコールを』 サイモン・ショー 加地美知子 新潮社 ★★★
『ハイヒールをはいた殺人者』 サイモン・ショー 富永和子 扶桑社 ★★★
『開幕ベルは二度鳴る』 サイモン・ショー 富永和子 扶桑社 ★★★★
『第七の核』 ピーター・ジョーンズ 加藤洋子 二見書房 ★★
『地獄への逃走』上下 ダグラス・スコット 鴻巣友季子 東京創元社  
『無法の裁き』 ウィルバー・スミス 飯島宏 文藝春秋  
『マミスタ』 レン・デイトン 田中融二 光文社  
『ラット・キング』 マイケル・ディブディン 真野明裕 新潮社 ★★★
『消えた装身具』 コリン・デクスター 大庭忠男 早川書房 ★★★
『ロンドンの二人の女』 エマ・テナント 相原真理子 白水社 ★★
『国家機密』 ピーター・ドリスコル 吉野壮児 講談社 ★★★
『レッドチャイナの陰謀』上下 ジョン・トレンヘイル 広瀬順弘 扶桑社  
『香港大脱出』上下 ジョン・トレンヘイル 関口幸男 扶桑社  
『あるロビイストの死』 ジャネット・ニール 坂口玲子 早川書房  
『怪奇小説の世紀 第1集』 西崎憲編 西崎憲 国書刊行会 ★★★
『ロンリー・ハート』 ジョン・ハーヴェイ 夏来健次 社会思想社 ★★★
『ラフ・トリートメント』 ジョン・ハーヴェイ 夏来健次 社会思想社  
『悪意の家』 モリー・ハードウィック 浅羽莢子 社会思想社 ★★★
『ミッドサマー・キリング』 トレバー・バーンズ 矢沢聖子 講談社  
『ハリウッド的殺人事件』 マリアン・バブソン 瓜生加寿子 扶桑社  
『ファーザーランド』 ロバート・ハリス 後藤安彦 文藝春秋 ★★★★
『デスウォッチ』 レイ・ハリスン 高田恵子 東京創元社  
『氷のなかの処女』 エリス・ピーターズ 岡本浜江 社会思想社 ★★★
『聖域の雀』 エリス・ピーターズ 大出健 社会思想社 ★★★★
『悪魔の見習い修道士』 エリス・ピーターズ 大出健 社会思想社 ★★★
『クリスティーに捧げる殺人物語』 ティム・ヒール編 中村保男他 早川書房 ★★★
『反撃の海峡』 ジャック・ヒギンズ 後藤安彦 早川書房 ★★★
『勇者の代償』 ジャック・ヒギンズ 小林理子 東京創元社  
『鷲は飛び立った』 ジャック・ヒギンズ 菊地光 早川書房 ★★
『骨と沈黙』 レジナルド・ヒル 秋津知子 早川書房 ★★★★★
『別れない女』 フランセス・ファイフィールド 猪俣美江子 早川書房 ★★★
『崩壊の序曲』 コリン・フォーブス 小西敦子 扶桑社
『トワイライト・ゲーム』 ブライアン・フォーブス 平井イサク 二見書房 ★★★
『帰還』 ディック・フランシス 菊地光 早川書房 ★★★
『ディック・フランシス読本』 ディック・フランシス 早川書房編集部編 早川書房 ★★
『終りなき復讐』 ブライアン・フリーマントル 染田屋茂 新潮社 ★★
『ジャックは絞首台に!』 レオ・ブルース 岡達子 社会思想社 ★★★
『フェイス!』 マックス・マーロウ 小林祥子 東京創元社 ★★
『傭兵部隊』 ジェイムズ・マギー 冬川亘 二見書房 ★★★
『イノセント』 イアン・マキューアン 宮脇孝雄 早川書房 ★★★★
『グロテスク』 パトリック・マグラア 宮脇孝雄 河出書房 ★★★
『ひとりぼっちの目撃者』 デズモンド・ラウデン 真野明裕 早川書房 ★★★
『天使の火遊び』 マイク・リプリー 鈴木啓子 早川書房  
『推定殺人』 ギリアン・リンスコット 野中千恵子 社会思想社 ★★★★
『私のちいさな賭け』 アネット・ルーム 堀内静子 早川書房 ★★★
『死を誘う暗号』 ルース・レンデル 小尾芙佐 角川書店 ★★★
『チェルノブイリからの脱出』 ケネス・ロイス 深見弾 徳間書店 ★★
『必然の結末』 ピーター・ロビンスン 幸田敦子 東京創元社  
『提督ボライソーの初陣』 アレグザンダー・ケント 高津幸枝 早川書房  
『運命の復讐』 バーナード・コーンウェル 原佳代子 光人社  
『偽の特殊部隊』 アレグザンダー・フラートン 伏見威蕃 早川書房  
『大西洋の囮作戦』 アレグザンダー・フラートン 高岬沙世 光人社  
『突破!マルタ島封鎖網』 フィリップ・マカッチャン 佐和誠 早川書房  
『女王陛下の火山島』 フィリップ・マカッチャン 高岬沙世 早川書房  
『北アフリカ上陸戦』 フィリップ・マカッチャン 佐和誠 早川書房  
『海の勇者たちV』 ニコラス・モンサラット 鎌田三平 徳間書店  
『奇跡の巡洋艦』 ダグラス・リーマン 大森洋子 早川書房  

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