1991年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『悪夢のバカンス』(シャーリー・コンラン)
(2)『暗い夜の記憶』(ロバート・バーナード)
(3)『私のはじめての事件』(アネット・ルーム)
(4)『誘拐のヴァカンス』(ティム・バークス)
(5)『標的』(ディック・フランシス)

本年の特徴
全体の翻訳数は前年とそう変わらなかったが、明らかにスパイ冒険小説の出版点数は減り、逆にコージー・ミステリーやホラーなどが増えている。この年のミステリー界最大の話題作はS・キングの『IT』が上下巻で刊行されたことであろう。長すぎて、私はそれほど楽しめなかったが……。全般的に作品は小粒なものが多かったが、ベスト5には個性的な作品が並んでいる。『悪夢のバカンス』はサバイバルがテーマの迫力あるサスペンス小説。『標的』も同じサバイバルを扱っているが、中味はかなり異なっている。『暗い夜の記憶』は小品なれど、バーナード作品の中では一番面白かった。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『チェルシー・テラスへの道』 ジェフリー・アーチャー 永井淳 新潮社 ★★★
『白夜が明ける』上下 C・アームストロング 村上博樹 文藝春秋  
『ワシントン・スキャンダル』 イーヴリン・アンソニー 食野雅子 新潮社 ★★★
『証拠が問題』 ジェームズ・アンダーソン 藤村裕美 東京創元社 ★★★
『運命の倒置法』 バーバラ・ヴァイン 大村美根子 角川書店 ★★★★
『鏡の荒野』 テッド・オールビュリー 峰岸久 東京創元社  
『覚悟はいいかね、ボンド君』 ジョン・ガードナー 後藤安彦 文藝春秋  
『ニューヨーク油田地帯』上下 ピーター・カニンガム 翔田朱美 講談社  
『オイル・タンカー炎上す』 ブライアン・キャリスン 後藤安彦 早川書房  
『グッド・スパイ』 ジョン・グリフィス 平井イサク 講談社  
『哀しき追跡者』 フィリップ・ケリガン 長野きよみ 早川書房  
『謎めく孤島の警部』 バリー・コーク 山本やよい 早川書房 ★★
『セイレーンは死の歌をうたう』 サラ・コードウェル 松下祥子 早川書房 ★★★
『背徳の仮面』 ジョン・コーリー 林克巳 早川書房 ★★★
『ロセンデール家の嵐』 バーナード・コーンウェル 坂本憲一 早川書房 ★★★
『殺意のバックラッシュ』 ポーラ・ゴズリング 秋津知子 早川書房 ★★★
『失踪』上下 リチャード・コックス 厚木淳 東京創元社  
『チャレンジ』 ウォリック・コリンズ 野本征史 角川書店 ★★
『悪夢のバカンス』 シャーリー・コンラン 山本やよい 新潮社 ★★★★
『大空の栄冠』 ジュリアン・J・サヴァリン 平田敬、P・コベット 新潮社  
『襲撃指令』 ジェラルド・シーモア 田中昌太郎 早川書房  
『生還の代償』 ジェラルド・シーモア 田中昌太郎 新潮社  
『デインジャラス・エイジ』 マーチン・シルヴェスター 朝倉隆男 光文社 ★★★
『消えたモーターバイク』 ネヴィル・スティード 嵯峨静江 早川書房 ★★★★
『零下の亡命山脈』上下 テレンス・ストロング 田中昌太郎 二見書房  
『イラン密約空路』 ジョン・T・スミス 戸田裕之 二見書房  
『神々の秘境』上下 ウィンザー・チョールトン 伏見威蕃 二見書房  
『スパイ・シンカー』 レン・デイトン 田中融二 光文社  
『オックスフォード運河の殺人』 コリン・デクスター 大庭忠男 早川書房 ★★★★
『すべて灰色の猫』 クレイグ・トーマス 山本光伸 扶桑社 ★★
『ウォール・ゲーム』 マイケル・ドブズ 野本征史 角川書店 ★★★
『最後に死すべき男』 マイケル・ドブズ 伏見威蕃 角川書店 ★★★
『シャーロック・ホームズの秘密ファイル』 J・トムスン 押田由起 東京創元社 ★★★
『天国を落ちた男』 ジャネット・ニール 坂口玲子 早川書房  
『誘拐のヴァカンス』 ティム・バークス 高儀進 早川書房 ★★★★
『暗い夜の記憶』 ロバート・バーナード 浅羽莢子 社会思想社 ★★★★
『ポーツマス港の罠』 C・クレイトン、N・ハインド 平田敬、P・コベット 新潮社  
『イギリス怪奇傑作集』 橋本槙矩編 橋本槙矩・宮尾洋史 福武書店  
『オービントン家の宝石』 マリアン・バブソン 白石朗 扶桑社 ★★
『ジョン・ブルの誇り』 レイ・ハリスン 高田恵子 東京創元社 ★★
『下院議員の死』 レイ・ハリスン 高田恵子 東京創元社 ★★★
『死体が多すぎる』 エリス・ピーターズ 大出健 社会思想社 ★★★
『聖ペテロ祭の殺人』 エリス・ピーターズ 大出健 社会思想 ★★★
『死への婚礼』 エリス・ピーターズ 大出健 社会思想 ★★★
『地獄の季節』 ジャック・ヒギンズ 田口俊樹訳 早川書房 ★★
『ダンスホール・ロミオの回想』 ジャック・ヒギンズ 井坂清 早川書房
『復讐者の帰還』 ジャック・ヒギンズ 槙野香 二見書房 ★★
『鏡の陰謀』 リチャード・ヒューゴー 工藤政司 扶桑社  
『闇の淵』 レジナルド・ヒル 嵯峨静江 早川書房 ★★★★
『13のダイヤモンド』 レジナルド・ヒル他 嵯峨静江他 早川書房 ★★★★
『愛されない女』 フランセス・ファイフィール 猪俣美江子 早川書房 ★★★
『黒い霧の街』 マイク・フィリップ 松下祥子 早川書房 ★★★
『騙し屋』 フレデリック・フォーサイス 篠原慎 角川書店 ★★★
『売国奴の持参金』 フレデリック・フォーサイス 篠原慎 角川書店 ★★★
『戦争の犠牲者』 フレデリック・フォーサイス 篠原慎 角川書店 ★★
『カリブの失楽園』 フレデリック・フォーサイス 篠原慎 角川書店 ★★
『ショックウェイブ』上下 コリン・フォーブス 小西敦子 扶桑社  
『大聖堂』 ケン・フォレット 矢野浩三郎 新潮社 ★★★
『死の眠る森』 アントニイ・プライス 米山菖子 扶桑社  
『第四コーナー殺人事件』 フランカム&マグレガー 佐宗鈴夫 集英社  
『レッド・クリスタル』 クレア・フランシス 伊多波礼子 扶桑社 ★★★
『標的』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★★★
『裏切り』 ブライアン・フリーマントル 飯島宏 新潮社 ★★★
『ブレッシントン海岸の死』 レオ・ブルース 小林晋 レオ・ブルース・ファン・クラブ ★★
『手荷物にご用心』 サイモン・ブレット 堀内静子 早川書房 ★★★
『泣き声は聞こえない』 シーリア・フレムリン 相良和美 東京創元社 ★★
『暗殺! ゴルバチョフ』 アダム・ホール 森下賢一 徳間書店
『警部サマービルの戦争』 サラ・マイケルズ 平田敬、P・コベット 新潮社  
『ダブルイーグル殺人事件』 キース・マイルズ 小鷹信光 徳間書店 ★★
『黒い娘、白い娘』 パトリシア・モイーズ 山本俊子 早川書房 ★★★
『雪原封鎖網』 ブライアン・モリスン 山根和郎 二見書房 ★★★
『神の猟犬』 グローヴァー・ライト 白石朗 東京創元社 ★★
『殿下と7つの死体』 ピーター・ラヴゼイ 中村保男 早川書房 ★★★
『ブリザードの死闘』 ボブ・ラングレー 酒井昭伸 新潮社 ★★★
『名ばかりの天使』 マイク・リプリー 鈴木啓子 早川書房 ★★
『影の巡礼者』 ジョン・ル・カレ 村上博樹 早川書房  
『栄光のポーツマス』 サム・ルウェリン 高岬沙世 早川書房 ★★
『私のはじめての事件』 アネット・ルーム 堀内静子 早川書房 ★★★★
『ファインマン』 スティーヴン・レザー 飛田野裕子 角川書店 ★★
『大統領専用機を爆破せよ』 ケネス・ロイス 北澤知彦 徳間書店  
『罪深き眺め』 ピーター・ロビンスン 幸田敦子 東京創元社 ★★★
『夏の記憶』 ピーター・ロビンスン 幸田敦子 東京創元社  
『まやかしの風景画』 ピーター・ワトスン 田中靖 早川書房 ★★★
『風よわが兄弟に急を告げよ』 ジョン・ウィリアムズ 田中航 至誠堂  
『白昼の近接戦』 アレグザンダー・ケント 高橋泰邦訳 早川書房  
『スペインの財宝船』 アレグザンダー・ケント 高沢次郎 早川書房  
『絶望の要塞』 バーナード・コーンウェル 高水香 光人社  
『奇跡の秘宝』 バーナード・コーンウェル 高井千帆 光人社  
『バルト海の猛き船長』 ロバート・チャロナー 大森洋子 早川書房  
『遥かな真珠湾』 クリストファ・ニコール 高出直子 光人社
『ルソン沖の決戦』 ハリー・ホームウッド 中原尚哉 東京創元社  
『バレンツ海の密史』 フィリップ・マカッチャン 佐和誠 早川書房  

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