1990年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『策謀と欲望』(P・D・ジェイムズ)
(2)『ソ連に幽霊は存在しない』(レジナルド・ヒル)
(3)『虎の眼』(ウィルバー・スミス)
(4)『とべない飛行機』(ネヴィル・スティード)
(5)『封じられた指紋』(アントニイ・オリバー)

本年の特徴
この年の翻訳ミステリー界最大の話題は、なんといってもエーコの『薔薇の名前』が訳出されたことであろう。またカドフェル・シリーズの第一作『聖女の遺骨求む』も文庫で出版された。日本でも歴史・時代ミステリーが評価された記念すべき年といってよい。ベスト5には入れなかったが、『若きローマ人の死』も時代ミステリーの佳作。ベスト5のトップにはジェイムズの『策謀と欲望』を選んだが、これは彼女の最高峰といっていいのではないか。全般的にはまだまだスパイ冒険小説が盛んな年であったものの、謎解き小説の活躍も目立った。私の好きなダールが亡くなったのもこの年である。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『チャタトン偽書』 ピーター・アクロイド 真野明裕 文藝春秋 ★★★
『女性情報部員ダビナ』 イーヴリン・アンソニー 食野雅子 新潮社 ★★★
『十年目の汚辱』 クライブ・イーグルトン 池本和夫 徳間書店 ★★
『魔境降臨伝説』上下 ダニエル・イースターマン 伏見威蕃 二見書房  
『階段の家』 バーバラ・ヴァイン 山本俊子 角川書店 ★★★
『沈黙の向う側』 テッド・オールビュリー 仙名紀 東京創元社  
『サンタマルグリータの遺産』 テッド・オールビュリー 成川裕子 東京創元社  
『若きローマ人の死』 ジョーン・オヘイガン 加地美知子 早川書房 ★★★★
『封じられた指紋』 アントニイ・オリバー 三宅真理 扶桑社 ★★★★
『グローリー』 ジャック・カーティス 長野きよみ 早川書房 ★★
『悪魔の金脈』 A・カバル 延原泰子 二見書房 ★★
『暴走貨物船オーラガイ号』 ブライアン・キャリスン 伏見威蕃 早川書房  
『ハイランダー号の悪夢』 ブライアン・キャリスン 田中晶太郎 早川書房  
『ルースを探して』 アンナ・クラーク 高橋豊 早川書房 ★★★
『アフガンの「百合」』上下 ジョン・クルーズ 池央耿 光文社  
『叛逆の赤い星』上下 ジョン・クルーズ 井口恵之 東京創元社  
『フェアウエイの悩める警部』 バリー・コーク 山本やよい 早川書房  
『殺意の海へ』 バーナード・コーンウェル 泉川紘雄 早川書房 ★★★★
『ボッティチェルリの遺産』 リチャード・コックス 厚木淳 東京創元社  
『策謀と欲望』 P・D・ジェイムス 青木久恵 早川書房 ★★★★★
『原潜サターンの作戦』 ピーター・シェパード 小菅正夫 新潮社  
『熱砂のシャドウゲーム』 ジェフリイ・ジェンキンズ 尾坂力、坂本憲一 早川書房  
『F1−死への疾走』 ボブ・ジャッド 翔田朱美 講談社 ★★
『ECスキャンダル』 スタンレー・ジョンソン 矢沢聖子 講談社 ★★
『とべない飛行機』 ネヴィル・スティード 嵯峨静江 早川書房 ★★★★
『スパーク幻想短編集 ポートベロー通り』 ミューリエル・スパーク 小辻梅子 社会思想社 ★★
『ファーザーズの掟』 D・W・スミス 安達昭雄 扶桑社  
『虎の眼』 ウィルバー・スミス 飯島宏 文藝春秋 ★★★★
『王女マメーリア』 ロアルド・ダール 田口俊樹 早川書房 ★★★
『スパイ・フック』 レン・デイトン 田中融二 光文社 ★★★
『スパイ・ライン』 レン・デイトン 田中融二 光文社  
『宣戦布告』 レン・デイトン 後藤安彦 早川書房  
『第二の深夜』 アンドルー・テイラー 後藤安彦 文藝春秋  
『ゼロ・プラス・ワン』 ジョン・デニス 井坂清 徳間書店  
『偽装の罠』 マイケル・デラヘイ 鎌田三平 文藝春秋  
『ウィンターホーク』 クレイグ・トーマス 矢島京子 扶桑社 ★★★
『ハウス・オブ・カード』 マイケル・ドブス 伏見威蕃 角川書店 ★★★
『検察官』 M・ナブ&P・ヴァゲッジ 千種堅 早川書房 ★★
『真夜中の訪問客』 マグダレン・ナブ 千種堅 早川書房 ★★
『天使の一撃』 ジャネット・ニール 坂口玲子 早川書房 ★★
『スターリン暗殺への七日間』 ジェイムズ・バーウィック 厚木淳 東京創元社  
『チャイナ・ゲーム』上下 ロナルド・ハーディ 小林宏明 新潮社  
『恐怖の国境線』 マイケル・ハートランド 佐和誠 二見書房  
『ポルノ・スタジオ殺人事件』 ロバート・バーナード 朝倉隆男 光文社 ★★★
『芝居がかった死』 ロバート・バーナード 甲斐萬里江 早川書房 ★★★
『悪夢』 ジェイムズ・ハーバード 吉川正子 講談社 ★★★
『猫は跳ぶ -イギリス怪奇傑作集』 橋本槙矩編 橋本槙矩 福武書店 ★★★
『デリンジャー』 ハリー・パタースン 小林理子 東京創元社  
『聖女の遺骨求む』 エリス・ピータース 大出健 社会思想社 ★★★
『ソ連に幽霊は存在しない』 レジナルド・ヒル 嵯峨静江 早川書房 ★★★★
『血の権利』 マイク・フィリップス 松下祥子 早川書房 ★★
『グリーク・キイ』 コリン・フォーブス 小西敦子 扶桑社 ★★
『ナイトハンター5』 ロバート・フォールコン 嶋田洋一 東京創元社  
『ナイトハンター6』 ロバート・フォールコン 嶋田洋一 東京創元社  
『呼び戻されたスパイ』 アントニイ・プライス 関口幸男 扶桑社 ★★
『ケリイの告白』 アントニイ・プライス 米山菖子 扶桑社 ★★★★
『直線』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★★★
『招かれざる客たちのビュッフェ』 クリスチアナ・ブランド 深町真理子他 東京創元社 ★★★★
『エディ・フランクスの選択』上下 ブライアン・フリーマントル 村上博基 角川書店  
『十二の秘密指令』 ブライアン・フリーマントル 新庄哲夫 朝日新聞社 ★★
『クレムリン・キス』 ブライアン・フリーマントル 池央耿 新潮社  
『連続殺人ドラマ』 サイモン・ブレット 堀内静子 早川書房 ★★★
『我が手で裁く』 ヒラリイ・ヘイル 中村保男他 早川書房 ★★★
『死のアリア』 ポール・マイヤーズ 田中昌太郎 東京創元社 ★★
『全英オープン殺人事件』 キース・マイルズ 永井淳 徳間書店 ★★
『アフガン空域を脱出せよ』 ジェイムズ・マギー 冬川亘 二見書房  
『イギリス怪談集』 由良君美編 由良君美他 河出書房  
『砂漠の標的』 ギャビン・ライアル 村上博基 早川書房 ★★★
『クメールからの帰還』 ウィルバー・ライト 染田屋茂 角川書店  
『煙草屋の密室』 ピーター・ラヴゼイ 中村保男他 早川書房 ★★★
『つなわたり』 ピーター・ラヴゼイ 山本やよい 早川書房 ★★★
『オータム・タイガー』 ボブ・ラングレー 東江一紀 東京創元社 ★★★
『最終的解決』 エマニュエル・リトヴィノフ 渋谷比佐子 扶桑社  
『そして赤ん坊が落ちる』 マイクル・Z・リューイン 石田善彦 早川書房 ★★★★
『ロシア・ハウス』 ジョン・ル・カレ 村上博基 早川書房 ★★★★
『ゴールデン・フライヤーズ奇談』 シェリダン・レ・ファニュ 室谷洋三 福武書店  
『スペクター』 スティーブン・ローズ 吉沢嘉通 東京創元社  
『栄光のチャリオット』 アラン・エバンズ 小牧大介 至誠堂  
『大統領の密使』 アラン・エバンズ 小牧大介 至誠堂  
『タラントの鷲』 アラン・エバンズ 小牧大介 至誠堂  
『失われた名誉』 バーナード・コーンウェル 高井千帆 光人社  
『栄光の星条旗』 クリストファ・ニコール 高島陽子 光人社
『大いなる野望』 クリストファ・ニコール 高出直子 光人社
『還らざる英雄』 クリストファ・ニコール 高川俊誠 光人社  
『失われた楽園』 クリストファ・ニコール 高島陽子 光人社
『氷雪の特命隊』 アレキザンダー・フラートン 伏見威蕃 早川書房  
『マルタ潜航作戦』 アレキザンダー・フラートン 高津幸枝 光人社  
『マルチニク島の新月 ラミジ艦長物語23』 ダドリ・ポープ 小牧大介 至誠堂  
『暴虐の武装商船』 P・マカッチャン 佐和誠 早川書房  
『ベニン湾の戦雲』 フィリップ・マカッチャン 高岬沙世 早川書房  
『海の勇者たち1』 ニコラス・モンサラット 関口篤 徳間書店  
『志願者たちの海軍』 ダグラス・リーマン 高永洋子 早川書房  

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