1989年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『ネゴシエーター』(フレデリック・フォーサイス)
(2)『暗殺者を愛した女』(ブライアン・フリーマントル)
(3)『闇の奥へ』(クレイグ・トーマス)
(4)『グリーンフィンガー』(ジュリアン・ラズボーン)
(5)『ブリキの自動車』(ネヴィル・スティード)

本年の特徴
 ベルリンの壁が崩壊したのは、この年の11月。冷戦構造を前提にしたスパイ小説にはリアリティがなくなってしまうわけで、多くの著者は困ったはずである。とはいえ、原書が翻訳されて日本で出版されるには数年の遅れが生ずるので、その影響は日本の翻訳ミステリー界にはまだ直接現れてはいない。その証拠には、本年は傑出した作品は刊行されず、どんぐりの背比べ状態であったが、上位ベスト3はスパイ小説が独占したからである。(4)の『グリーンフィンガー』は女性が主人公のかなり風変わりな冒険小説だが、誉めている人がほとんどいないので、あえて挙げてしまった。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『ジグが来る』上下 キャンベル・アームストロング 村上博基 文藝春秋 ★★
『殺意の団欒』 ジェームズ・アンダースン 北村太郎 文藝春秋 ★★★
『熱砂に聖都を探せ』 ダニエル・イースターマン 小林宏明 二見書房 ★★★
『ダイアの戦場』 クリストファー・ウッド 伏見威蕃 早川書房  
『傷だらけの挽歌』 テッド・オールビュリー 成川裕子 東京創元社  
『消えたライセンス』 ジョン・ガードナー 後藤安彦 文藝春秋 ★★
『フラミンゴ・カフェ』 ジョン・ガードナー 水野谷とおる 東京創元社  
『地獄の輸送船団』 ブライアン・キャリスン 高沢次郎 早川書房  
『死ぬほど会いたい』 B・M・ギル 秋津知子 早川書房 ★★★
『最後の暗殺』 デニス・キルコモズ 飯島宏 新潮社  
『ダイアモンドの犬たち』上下 マシュー・ヒールド・クーパー 近藤純夫 扶桑社  
『VTOL機を奪取せよ!』 コリン・クラーク 脇田馨 光文社
『殺人創作講座』 アンナ・クラーク 猪俣美江子 早川書房 ★★★
『キャプテンと敵』 グレアム・グリーン 宇野利泰 早川書房  
『蘭の告発』 キャロライン・グレアム 山田順子 角川書店 ★★★
『サバイバルの島』 フィリップ・ケリガン 長野きよみ 早川書房  
『眠れない夜』 サラ・ケンプ 茅律子 早川書房 ★★
『ウイッチフォード連続殺人』 ポーラ・ゴズリング 秋津知子 早川書房 ★★★
『アイス・レイド』 リチャード・コックス 厚木淳 東京創元社 ★★★
『戦闘ヘリ リンクス』 ジュリアン・サヴァリン 井坂清 新潮社  
『一弾で倒せ!』 ジェラルド・シーモア 東江一紀 新潮社  
『プレトリア救出戦』 ジェラルド・シーモア 田中昌太郎 早川書房  
『マグデブルグ越境工作』 ジェラルド・シーモア 田中昌太郎 早川書房  
『狙われたロイズ保険』 L・M・シェイクスピア 吉田利子 光文社 ★★★
『サイレント・アーミー』 シリル・ジョリー 青木栄一 二見書房  
『ブリキの自動車』 ネヴィル・スティード 嵯峨静江 早川書房 ★★★★
『戦闘攻撃機ブラックホーク』 ジョン・スミス 田中昌太郎 早川書房  
『闇の豹』上下 ウィルバー・スミス 山本光伸 早川書房  
『モスクワから消えたスパイ』 T・セバスチャン 笹野洋子 講談社  
『ヴィンダー家の兄弟』上下 レン・デイトン 田中融二 新潮社  
『総統(ヒトラー)暗殺』上下 フレッド・テイラー 竹内和世 光文社  
『闇の奥へ』 クレイグ・トーマス 田村源二 扶桑社 ★★★★
『フェニックスの密約』 マイルズ・ドナルド 幾野宏 早川書房  
『目標! 伊号潜水艦』 アントニイ・トルー 海津正彦 早川書房  
『迎撃 メッサーシュミットを叩け!』 エルストン・トレバー 宇野輝雄 徳間書店  
『レストレード警部と三人のホームズ』 M・J・トロー 後藤安彦 新潮社  
『探偵小説十戒』 ロナルド・ノックス 宇野利泰他 晶文社 ★★★
『新シャーロック・ホームズ摩犬の復讐』 マイケル・ハードウィック 中田耕治 二見書房 ★★
『奇跡の聖堂』上下 ジェームズ・ハーバート 相沢次子 早川書房  
『流刑地サートからの脱出』 』リチャード・ハーレイ 吉浦澄子 新潮社 ★★
『罠に掛かった小鳥』 フランク・パリッシュ 山本俊子 早川書房 ★★★
『さらばロシア』上下 リチャード・ヒューゴー 工藤政司 扶桑社  
『子供の悪戯』 レジナルド・ヒル 秋津知子 早川書房 ★★★
『キルジョイ』 アン・ファイン 延原泰子 早川書房 ★★
『ネゴシエーター』 フレデリック・フォーサイス 篠原慎 角川書店 ★★★★
『デッド・ロック』 コリン・フォーブス 高沢明良 扶桑社 ★★
『ナイトハンター1 忍び寄る影』 ロバート・フォールコン 嶋田洋一 東京創元社 ★★
『ナイトハンター2 呪われた護符』 ロバート・フォールコン 嶋田洋一 東京創元社  
『ナイトハンター3 悪霊たちの舞い』 ロバート・フォールコン 嶋田洋一 東京創元社  
『ナイトハンター4 暗黒の神殿』 ロバート・フォールコン 嶋田洋一 東京創元社  
『ミラージュを盗め』 ジェイムズ・フォレット 田中昌太郎 二見書房  
『横断』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★
『暗殺者を愛した女』 ブライアン・フリーマントル 稲葉明雄 新潮社 ★★★★
『名門ホテル乗っ取り工作』 ブライアン・フリーマントル 宮脇孝雄 新潮社  
『奥様は失踪中』 サイモン・ブレッド 堀内静子 早川書房 ★★★
『息子への手紙』 ヒラリイ・ヘイル編 菊池光他 早川書房 ★★
『ポメラニアン毒殺事件』 ヒラリイ・ヘイル編 中村保男他 早川書房 ★★★
『ケシ畑で死ね!』 アダム・ホール 中川剛 徳間書店  
『英国王女を救え』 スチュアート・ホワイト 幾野宏 二見書房  
『死の変奏曲』 ポール・マイヤーズ 田中昌太郎 東京創元社  
『血のささやき、水のつぶやき』 パトリック・マグラア 宮脇孝雄 河出書房新社 ★★★
『テスラの最終兵器』 ジョン・マルコム 汀一弘 扶桑社 ★★
『狼の首』 J・K・メイオ 後藤安彦 早川書房  
『殿下と騎手』 ピーター・ラヴゼイ 山本やよい 早川書房 ★★★★
『グリーンフィンガー』 ジュリアン・ラズボーン 山本やよい 新潮社 ★★★★
『標的の原野』 ボブ・ラングレー 海津正彦 東京創元社 ★★
『砂漠のテロリスト』 ボブ・ラングレー 押田由紀 東京創元社 ★★★
『エベレストの彼方』 ボブ・ラングレー 柿沼瑛子 東京創元社 ★★★
『英国武装革命』 ボブ・ラングレー 押田由紀 東京創元社  
『季節の終り』 マイクル・Z・リューイン 石田善彦 早川書房 ★★★
『魔の帆走』 サム・ルウェリン 田口俊樹 二見書房  
『女ともだち』 ルース・レンデル 酒匂真理子他 角川書店 ★★★
『ハートストーン』 ルース・レンデル 古屋美登里 福武書店 ★★★
『惨劇のヴェール』 ルース・レンデル 深町眞理子 角川書店 ★★★
『ゴースト・トレイン』上下 スティーヴン・ローズ 古沢嘉通 東京創元社  
『引き裂かれたヴァチカン』 ピーター・ワトソン 伏見威蕃 角川書店 ★★
『不屈の旅艦艦長』 アレグザンダー・ケント 高津幸枝 早川書房  
『怒りの突撃』 バーナード・コーンウェル 高井千帆 光人社  
『シャープの剣』 バーナード・コーンウェル 原佳代子 光人社  
『死闘の果て』 バーナード・コーンウェル 高水香 光人社  
『ジェンキンズの耳』 ビクター・サズレン 小牧大介 至誠堂  
『マニラ・ガレオン』 ビクター・サズレン 小牧大介 至誠堂  
『パンドラ・シークレット』上下 アンソニー・フォレスト 出水宏 至誠堂  
『クレタ島救出作戦』 アレグザンダー・フラートン 高岬沙世 光人社  
『SBS出動命令』 アレグザンダー・フラートン 伏見威蕃 早川書房  
『スラバヤ沖の血戦』 アレグザンダー・フラトーン 高津幸枝 光人社  
『海に自由を』 ダドリ・ポープ 小牧大介 至誠堂  
『サラセンの首 ラミジ艦長物語22』 ダドリ・ポープ 小牧大介 至誠堂  
『非情のフィヨルド』 フィリップ・マカッチャン 佐和誠 早川書房  

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