１９８１年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト５
（１）『わが職業は死』（Ｐ・Ｄ・ジェイムズ）
（２）『利腕』（ディック・フランシス）
（３）『敵』（デズモンド・バグリイ）
（４）『探偵たちよスパイたちよ』（丸谷才一編）
（５）『緑の地に眠れ』（ダンカン・カイル）

本年の特徴
　ベスト５のトップにはＰ・Ｄ･ジェイムズの『わが職業は死』を挙げたが、それは、Ｐ・Ｄ･ジェイムズのそれまでの作品の中では『わが職業は死』がもっとも私の好みの作品であるからだ。ただし全般的な傾向としては冒険スパイ小説の中に秀作が多かった。『利腕』と『敵』が同じ年に出版されているのだから、素晴らしい年であることは間違いない。ベスト４の『探偵たちよスパイたちよ』は日本人が編者だが、作品選定が確かなうえに、配列の妙も冴えている。『緑の地に眠れ』は小品だが、掘り出し物の一冊。もう一冊掘り出し物を挙げれば、フィッツサイモンズの『フィッシャーを殺せ』になるか。

題　名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『ケインとアベル』 ジェフリー・アーチャー 永井淳 新潮社 ★★★
『スパイを捕えろ』 エリック・アンブラー編 北村太郎他 荒地出版社 ★★★
『チャーチル・コマンド』 テッド・ウィリス 菊池光 東京創元社 ★★★
『贋金シンフォニー』 ポール・G・ウィンズロウ 浅羽莢子 早川書房 　
『リスボン、赤い夏』 マーティン・ウォーカー 篠原慎 角川書店 　
『１３の判決』 英国推理作家協会編 真野明裕他 講談社 ★★★★
『デスーザ警部と消された証人』 フレニイ・オルブリッチ 皆藤幸蔵 早川書房 ★★★
『裏切りのノストラダムス』 ジョン・ガードナー 後藤安彦 東京創元社 ★★★
『ゴルゴダの迷路』 ジョン・ガードナー 水上峰雄 新潮社 ★★★
『緑の地に眠れ』 ダンカン・カイル 田村義進 早川書房 ★★★★
『顔役を撃て』 ダン・キャヴァナー 田村義進 早川書房 ★★★
『ケイティ殺人事件』 マイケル・ギルバート 大熊栄 集英社 ★★★★
『逃亡飛行』 ジョン・クライブ 中山善之 文藝春秋 　
『ジュネーヴのドクター・フィッシャーあるいは爆弾パーティ』 グレアム・グリーン 宇野利泰 早川書房 ★★★
『漂う提督』 Ａ・クリスティー他 中村保男 早川書房 ★★★
『盗まれた夜』 ウィンストン・グレアム 岡本浜江 早川書房 ★★★
『勇者たちの島』 ジェイムズ・グレアム 安達昭雄 角川書店 　
『ブルガリア特電』 アンソニー・グレイ 田中融二 文藝春秋 　
『ミグ−２５／フォックスバット』 ピーター・ケイブ 信太英男 サンリオ ★★★
『ゼロの罠』 ポーラ・ゴズリング 秋津知子 早川書房 ★★★
『プリンス・ザレスキーの事件簿』 M・P・シール 中村能三 東京創元社 ★
『わが職業は死』 P・D・ジェイムズ 青木久恵 早川書房 ★★★★★
『ザ・４００　フォーハンドレッド』 スティーヴン・シェパード 高見浩 角川書店 ★★★★
『ダイヤモンド・ハンター』 ウィルバー・スミス 林太郎 立風書房 ★★
『ペテログラード行封印列車』 オーエン・セラー 松田銑 文藝春秋 ★★★
『キングとジョーカー』 ピーター・ディキンスン 斉藤数衛 サンリオ ★★★
『生きる屍』 ピーター・ディキンスン 神鳥統夫 サンリオ ★★★★
『スパイ・ストーリー』 レン・デイトン 後藤安彦 早川書房 ★★★
『インペリアル航空第１０９便』 リチャード・ドイル 小菅正夫 サンリオ ★★★
『スーパータンカーの死』 アントニー・トルー 尾坂力 早川書房 ★★
『赤い偽装船アントノフ』 アントニー・トルー 三木鮎郎 早川書房 ★★
『人質はロンドン！』 Ｊ・ハウスホールド 高儀進 角川書店 ★★★
『敵』 デズモンド・バグリイ 矢野徹 早川書房 ★★★★
『スノー・タイガー』 デズモンド・バグリイ 矢野徹 早川書房 ★★★
『ウィンザー公掠奪』 ハリー・パタースン 井坂清 早川書房 ★★★
『暗殺のソロ』 ジャック・ヒギンズ 井坂清 早川書房 ★★
『ダーティトリック』 チャップマン・ピンチャー 工藤政司 文藝春秋 　
『フィッシャーを殺せ』 C・フィッツサイモンズ 真野明裕 文藝春秋 ★★★★
『黄金猿の年』 コリン・フォーブズ 中野圭二 東京創元社 ★★★
『石の豹』 コリン・フォーブズ 森崎潤一郎 早川書房 ★★★
『トリプル』 ケン・フォレット 一ノ瀬直二 集英社 ★★★
『利腕』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★★★★
『再び消された男』 ブライアン・フリーマントル 稲葉明雄 新潮社 ★★★
『人形懐胎』 Ｊ・フレイザー 佐藤智樹 講談社 ★★
『邪魔な役者は消えていく』 サイモン・ブレット 飯島宏 角川書店 ★★★
『ドーヴァー１０／昇進』 ジョイス・ポーター 小倉多加志 早川書房 ★★★
『ストライカー破壊計画を追え』 アダム・ホール 朝河伸英 早川書房 ★★★
『深き森は悪魔のにおい』 キリル・ボンフィリオリ 藤真沙 サンリオ ★★★
『裏切者と朝食を』 ジョージ・マクスタイン 中山善之 文藝春秋 　
『探偵たちよスパイたちよ』 丸谷才一編 　 集英社 ★★★★
『死の天使』 パトリシア・モイーズ 山本俊子 早川書房 ★★★
『影の護衛』 ギャビン・ライアル 菊池光 早川書房 　
『サーキットに眠れ』 デズモンド・ラウデン 河合裕 早川書房 　
『迷宮へ行った男』 マーティン・ラッセル 竹内佳子 角川書店 ★★★
『スマイリーと仲間たち』 ジョン・ル・カレ 村上博基 早川書房 ★★★
『螺旋階段の闇』 Ｅ・ルマーチャンド 吉田誠一 講談社 ★★
『ワイルダーの手』 シェリダン・レ・ファニュ 日夏響 国書刊行会 ★★★
『薔薇の殺意』 ルース・レンデル 深町眞理子 角川書店 ★★★
『暗号名ウッドカッター』 ケネス・ロイス 羽村泰 文藝春秋 ★★
『わが指揮艦スパロー号』 アレクザンダー・ケント 高橋泰邦 早川書房 ★★
『憧れのセールを展翻せよ』 アダム・ハーディー 高橋泰邦・高津幸枝 三崎書房 　
『カリブの磯波　ラミジ艦長物語４』 ダドリ・ポープ 田中清太郎 至誠堂 　
『ハリケーン　ラミジ艦長物語５』 ダドリ・ポープ 小牧大介 至誠堂 　
『謎の五行詩　ラミジ艦長物語６』 ダドリ・ポープ 小牧大介 至誠堂 　
『消えた郵便船　ラミジ艦長物語７』 ダドリ・ポープ 出光宏 至誠堂 　
『裏切りの証明　ラミジ艦長物語８』 ダドリ・ポープ 出光宏 至誠堂 　
『Xデー　ラミジ艦長物語９』 ダドリ・ポープ 田中航 至誠堂 　
『タイトロープ　ラミジ艦長物語１０』 ダドリ・ポープ 山形欣哉・田中航 至誠堂 　

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