1980年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『ひとたび人を殺さば』(ルース・レンデル)
(2)『サイモンは誰か?』(パトリシア・モイーズ)
(3)『ベリヤを売った男たち』(アラン・ウィリアムズ)
(4)『アンクル・サイラス』(レ・ファニュ)
(5)『ポートワインを一杯』(ジョージ・ハーディング編)

本年の特徴
刊行数は前年に引き続き60冊の大台を越えたが、質的にはどんぐりの背比べといった状態でベスト1を選ぶのには苦労した。EQ誌の「1980年度翻訳ミステリーを語る」では最終的に落した『ひとたび人を殺さば』(ルース・レンデルの本邦初紹介作)をトップに挙げたのは、1980年代を代表するミステリー作家が日本ではレンデルになったからに他ならない。同じく80年代を代表するアンソロジーとして『ポートワインを一杯』を選んだ。短編の質というより、知らない英国ミステリー作家をたくさん紹介してくれたからである。『アンクル・サイラス』はレ・ファニュの中ではもっともミステリーらしいと言えようか。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『薔薇はもう贈るな』 エリック・アンブラー 斎藤数衛 早川書房 ★★
『ダブルジャック』 ポール・ウィーラー 関口幸男 早川書房 ★★★
『ベリヤを売った男たち』 アラン・ウィリアムズ 朝河伸英 早川書房 ★★★★
『敵の選択』 テッド・オールビュリー 二宮馨 集英社 ★★★
『大統領の心を持つ男』 テッド・オールビュリー 飯田隆昭 集英社 ★★
『血に飢えた悪鬼』 J・D・カー 宇野利泰 東京創元社 ★★
『犯罪王モリアーティの復讐』 J・ガードナー 宮祐二 講談社 ★★
『犯罪は詩人の楽しみ』 エラリー・クイーン編 柳瀬尚紀 東京創元社  
『モスクワ5000』 D・グラント 小菅正夫 早川書房  
『毛沢東の刺客』 A・グレイ 新庄哲夫 文藝春秋 ★★★
『英国プリンス誘拐』 アンドルー・クロフツ 田中昌太郎 早川書房 ★★
『逃げるアヒル』 ポーラ・ゴズリング 山本俊子 早川書房 ★★★
『悪魔の審判』 スタンレイ・ジョンソン 竹村健一 実業之日本社
『浅すぎる墓』 ジャック・S・スコット 秋津知子 早川書房 ★★
『解決はベッドの中で』 J・T・ストーリー 田中融二 文藝春秋 ★★★
『逃亡空路』 スペンサー・ダンモア 工藤政司 早川書房 ★★★
『孔雀の羽根』 カーター・ディクスン 厚木淳 東京創元社 ★★
『SS−GB』 レン・デイトン 後藤安彦 早川書房  
『笑うカモには』 レン・デイトン 沢川進 早川書房 ★★
『神の遣わせしもの』 バーナード・テイラー 武富義夫 角川書店 ★★★
『死者たちの礼拝』 コリン・デクスター 大庭忠男 早川書房 ★★★★
『モスクワを占領せよ』 クレイグ・トーマス 井上一夫 毎日新聞社  
『坐礁』 アントニー・トルー 井坂清 パシフィカ ★★
『ポートワインを一杯』 ジョージ・ハーディング編 青木久恵他 早川書房 ★★★★
『眼には眼を』 ジョージ・ハーディング編 中村能三他 早川書房 ★★★
『夜光死体 イギリス怪奇小説集』 橋本槇矩編 橋本槇矩 旺文社 ★★★
『裁きの日』 ジャック・ヒギンズ 菊池光 早川書房 ★★★
『殺人のすすめ』 レジナルド・ヒル 秋津知子 早川書房 ★★★
『スイス・アレンジメント』 W・フェアチャイルド 社本雅信 早川書房
『氷島基地脱出!』 コリン・フォーブス 仁賀克雄 早川書房 ★★★
『動く氷塊大陸』 J・フォーリット 井上一夫 集英社
『針の眼』 ケン・フォレット 鷺村達也 早川書房 ★★★★
『試走』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★★
『ソーンダイク博士の事件簿U』 オースティン・フリーマン 大久保康雄 東京創元社 ★★★
『明日を望んだ男』 ブライアン・フリーマントル 稲葉明雄 新潮社 ★★★
『死利私欲』 J・フレイザー 佐藤智樹 講談社 ★★★
『陰画応報』 J・フレイザー 佐藤智樹 講談社 ★★
『さそりはモスクワに潜入した』 アダム・ホール 朝河伸英 早川書房 ★★★
『悪の誘惑』 ジェイムズ・ホッグ 高橋和久 国書刊行会 ★★★
『血の臭跡』 J・マクヴェイン 信太英男 サンリオ ★★★
『さらばカリフォルニア』 アリステア・マクリーン 矢野徹 早川書房 ★★
『サイモンは誰か?』 パトリシア・モイーズ 皆藤幸蔵 早川書房 ★★★★
『雪と罪の季節』 パトリシア・モイーズ 谷亀利一 早川書房 ★★★
『暗やみ男爵』 アントニー・モートン 延原謙 早川書房 ★★
『死者を鞭打て』 ギャビン・ライアン 石田善彦 早川書房  
『殺しはアブラカタブラ』 ピーター・ラヴゼイ 風見潤 早川書房 ★★★
『探偵は絹のトランクスをはく』 ピーター・ラヴゼイ 三田村裕 早川書房 ★★★
『戦艦奪取大作戦』 アル・ラムラス&ジョン・シェイナー 池澤夏樹 集英社 ★★★
『ゴールデンガール』 ピーター・リアー 名谷一郎 講談社
『燃える魚雷艇』 ダグラス・リーマン 中根悠 パシフィカ ★★★
『内なる敵』 マイクル・Z・リューイン 島田三蔵 早川書房 ★★★
『アンクル・サイラス』 レ・ファニュ 榊優子 創土社 ★★★★
『ひとたび人を殺さば』 ルース・レンデル 深町眞理子 角川書店 ★★★★
『コンコルド緊急指令』 K・ロイス 羽村泰 文藝春秋  
『木苺狩り』 ヒラリイ・ワトスン編 中村保男 早川書房  
『ある魔術師の物語』 ヒラリイ・ワトスン編 中村保男他 早川書房 ★★★
『イタリアの海 ラミジ艦長物語1』 ダドリ・ポープ 山形欣哉・田中航 至誠堂  
『岬に吹く風 ラミジ艦長物語2』 ダドリ・ポープ 出光宏 至誠堂  
『若き獅子の船出』 アレグザンダー・ケント 高橋泰邦 早川書房 ★★
『革命の海』 アレグザンダー・ケント 高橋泰邦 早川書房  
『マリアの秘宝を奪取せよ』 アダム・ハーディ 高橋泰邦・高永徳子 三崎書房  
『ちぎれ雲 ラミジ艦長物語3』 ダドリ・ポープ 田中清太郎 至誠堂  

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