１９７９年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト５
（１）『悪魔の選択』（フレデリック・フォーサイス）
（２）『蜜蜂の罠』（フランク・パリッシュ）
（３）『ニコラス・クィンの静かな世界』（コリン・デクスター）
（４）『反逆の密書』（ダンカン・カイル）
（５）『ヒューマン・ファクター』（グレアム・グリーン）

本年の特徴
　海洋冒険小説の出版が増えたこともあるが、ここ数年の翻訳数は右肩上がりになっている（前年の50冊から本年は64冊）。質の面でも『悪魔の選択』の選択を筆頭に、スパイ冒険小説の活躍が目立った。ベスト５には挙げられなかったが、（１）、（４）、（５）以外にも、『ダーティ･ストーリー』、『消されかけた男』、『アバランチ・エクスプレス』といったスパイ冒険小説の佳作が上梓されている。Ｆ･パリッシュの『蜜蜂の罠』は、私の好みのいかにも英国ミステリーらしい作品で、第二位に挙げてしまった。シリーズ第一作『優雅な密猟者』も甲乙付けがたいが……。

題　名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『ダーティ・ストーリー』 エリック・アンブラー 宇野利泰 早川書房 ★★★★
『北海の星』 ハモンド・イネス 池央耿 早川書房 ★★★
『密輸鉱山』 ハモンド・イネス 仁賀克雄 早川書房 ★★
『キャプテン・クック最後の航海』 ハモンド・イネス 池央耿 パシフィカ ★★★
『水は静かに打ち寄せる』 メアリ・インゲイト 青木久恵 早川書房 ★★
『００７号とムーンレイカー』 クリストファー・ウッド 井上一夫 東京創元社 ★
『人狼を追え』 ジョン・ガードナー 村社伸 早川書房 　
『犯罪王モリアーティの生還』 ジョン・ガードナー 宮祐二 講談社 ★★
『叛逆の密書』 ダンカン・カイル 佐和誠 早川書房 ★★★★
『安楽椅子探偵傑作選』 各務三郎編 各務三郎他 講談社 ★★★
『犯罪の中のレディたち』 エラリー・クイーン編 厚木淳 東京創元社 ★★★
『犯人殺し』 ジョナサン・グッドマン 真野明裕 文藝春秋 ★★★
『ヒューマン・ファクター』 グレアム・グリーン 宇野利泰 早川書房 ★★★★
『間違われた男』 フランシス・クリフォード 中村能三 早川書房 　
『世界鉄道推理傑作選１』 小池滋編 小池滋他 講談社 ★★★
『世界鉄道推理傑作選２』 小池滋編 小池滋・中野康司 講談社 ★★★
『復讐クラブ』 ジェニイ・サヴェージ 山本俊子 早川書房 ★★
『砂の渦』 ジェフリー・ジェンキンズ 新津一義 パシフィカ ★★★
『ピーター卿の事件簿』 Ｄ・Ｌ・セイヤーズ 宇野利泰 東京創元社 ★★★
『暗殺のデュエット』 オーウェン・セラ 倉谷直臣 徳間書店 ★★
『熱い国からの侵入者』 ジョン・ソールズベリー 中矢一義 集英社 　
『アガサ　愛の失踪事件』 キャサリン・タイナン 夏木静子 サンリオ ★★
『爆撃機』 レン・デイトン 後藤安彦 早川書房 　
『チェルシー連続殺人』 ライオネル・デヴィッドソン 海老根宏 集英社 ★★★
『ニコラス・クインの静かな世界』 コリン・デクスター 大庭忠男 早川書房 ★★★★
『狼殺し』 クレイグ・トーマス 竹内泰之 パシフィカ ★★★
『仔犬になった男』 ジェームズ・ハーバート 関口幸男 サンケイ出版 　
『ヴァルハラ最終指令』 ハリー・パタースン 井坂清 早川書房 ★★★
『優雅な密猟者』 フランク・パリッシュ 上田公子 早川書房 ★★★★
『蜜蜂の罠』 フランク・パリッシュ 浅羽莢子 早川書房 ★★★★
『廃墟の東』 ジャック・ヒギンズ 白石佑光 早川書房 ★★
『闇の航路』 ジャック・ヒギンズ 竹内泰之 パシフィカ ★★★
『早すぎた警告』 Ｃ・フィッツサイモンズ 真野明裕 文藝春秋 ★★★
『悪魔の選択』 フレデリック・フォーサイス 篠原慎 角川書店 ★★★★★
『アバランチ・エクスプレス』 コリン・フォーブス 田村義進 早川書房 ★★★★
『パレルモ潜行作戦』 コリン・フォーブス 宮祐二 早川書房 ★★★
『巡洋艦アルテミス』 Ｃ・Ｓ・フォレスター 高橋泰邦 パシフィカ ★★★
『たった一人の海戦』 Ｃ・Ｓ・フォレスター 高橋泰邦 パシフィカ ★★★
『ウィンブルドン』 ラッセル・ブラッドン 池央耿 新潮社 ★★★★
『障害』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★★
『ローマの白い午後』 ヒュー・フリードウット 小沢瑞穂 早川書房 　
『消されかけた男』 ブライアン・フリーマントル 稲葉明雄 新潮社 ★★★★
『野生の島』 アントニア・フレイザー 北見麻里 早川書房 ★★★
『汚名挽回』 Ｊ・フレーザー 佐藤智樹 講談社 ★★★
『ベンスン怪奇小説集』 Ｅ・Ｆ・ベンスン 八十島薫 国書刊行会 ★★★★
『ドーヴァー９／楽勝』 ジョイス・ポーター 小倉多加志 早川書房 ★★
『偽装』 マイケル・マクガイア 三枝祐士 立風書房 ★★
『魔女の海域』 アリステア・マクリーン 平井イサク 早川書房 　
『ならず者の鷲』 ジェイムズ・マクルーア 小泉喜美子 早川書房 　
『南極海の死闘』 Ｗ・Ｒ・Ｄ・マクロクリン 尾坂力 パシフィカ 　
『夜を深く葬れ』 Ｗ・マッキルヴァニー 田村義進 早川書房 　
『ココナッツ殺人』 パトリシア・モイーズ 皆藤幸蔵 早川書房 ★★★
『破滅のプログラム』 デズモンド・ラウデン 尾坂力 早川書房 ★★
『ダイヤに最後の挨拶を』 デレク・ランバート 武富義夫 文藝春秋 　
『ベンガル特攻隊』 ジェームズ・リーザー 村社伸 サンケイ出版 ★★
『スクールボーイ閣下』 ジョン・ル・カレ 村上博基 早川書房 ★★★
『激闘インド洋』 Ｄ・Ａ・レイナー 鎌田三平 パシフィカ 　
『サタンタッチ』 ケネス・ロイス 上村巖 文藝春秋 ★★★
『眠れる犬たち』 フランク・ロス 菊池光 早川書房 　
『闘う帆船ソフィー』 パトリック・オブライアン 高橋泰邦 パシフィカ ★
『火の船』 Ｃ・Ｎ・パーキンス 出光宏 至誠堂 　
『インド洋の落日』 Ｃ・Ｎ・パーキンス 出光宏 至誠堂 　
『地中海の黒い雲』 Ｃ・Ｎ・パーキンス 出光宏 至誠堂 　
『南海の秘密基地』 Ｃ・Ｎ・パーキンス 出光宏 至誠堂 　
『レバント要塞を死守せよ』 アダム・ハーディ 高橋泰邦・高沢次郎 三崎書房 　
『砲艦ワグテイル』 ダグラス・リーマン 高橋泰邦 パシフィカ ★★

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