1975年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト3
(1)『カーテン』(アガサ・クリスティー)
(2)『女には向かない職業』(P・D・ジェイムズ)
(3)『黄金の手紙』(デズモンド・バグリイ)

本年の特徴
 出版点数からいえば、やはりスパイ冒険小説が多い。またスパイ冒険小説系の新人(D・カイルやT・オールビュリー、G・ジェンキンズなど)も、数多く登場している。とはいえベスト1と2には謎解き小説を挙げてしまった。『カーテン』はポアロ最後の事件ということで(クリスティー・ファンとしてはそれだけで泣けます)、『女には向かない職業』はP・D・ジェイムズの本邦デビュー作ということで挙げた。著者らの他の作品と比べてベストというわけではない。その意味では、この年のレベルはそう高くないのだろう。世評高い『ティンカー、テイラー、ソルジャー・スパイ』は、なるほどと納得がいくものの、やはり私好みのスパイ小説ではなかった。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『ドラブル』 クライブ・イグルトン 尾坂力 早川書房 ★★
『脱走の谷』 B・イングランド 田中融二 早川書房 ★★★
『殺人者』 コリン・ウィルソン 永井淳 早川書房  
『スクールガール殺人事件』 コリン・ウィルソン 高見浩 新潮社 ★★★
『指令暗号スノーボール』 テッド・オールビュリー 吉村透 立風書房 ★★
『死の館の謎』 J・D・カー 宇野利泰 東京創元社  
『氷原の檻』 ダンカン・カイル 渡辺栄一郎 早川書房 ★★★
『カーテン』 アガサ・クリスティー 中村能三 早川書房 ★★★★
『ワンウェイチケット』 アレック・サッカレー 山崎淳 立風書房  
『女には向かない職業』 P・D・ジェイムズ 小泉喜美子 早川書房 ★★★★
『ナイチンゲールの屍衣』 P・D・ジェイムズ 隅田たけ子 早川書房 ★★★
『M・R・ジェイムズ全集下』 M・R・ジェイムズ 紀田順一郎 創土社 ★★
『ハンター・キラー』 G・ジェンキンズ 尾坂力 早川書房 ★★
『ねじけジャネット:スティーヴンソン短篇集』 R・L・スティーブンソン 河田智雄 創土社  
『ゴールド』 ウィルバー・スミス 池央耿 立風書房 ★★
『射撃の報酬5万ドル』 ハドリー・チェイス 菊池光 東京創元社 ★★★
『盃のなかのトカゲ』 ピーター・ディキンスン 大庭忠男 早川書房 ★★
『バーナビー・ラッジ』 チャールズ・ディケンズ 小池滋 集英社  
『ケープタウン』 ピーター・ドリスコル 井上一夫 二見書房 ★★★
『不安な眠り』 W・ハガード 村社伸 早川書房  
『砂漠の略奪者』 D・バグリイ 矢野徹 早川書房 ★★★
『黄金の手紙』 D・バグリイ 矢野徹 早川書房 ★★★★
『大あらし』 リチャード・ヒューズ 北山克彦 昌文社  
『戦争の犬たち』 F・フォーサイス 篠原慎 角川書店 ★★★★
『シェパード』 F・フォーサイス 篠原慎 角川書店 ★★★
『燃える戦列艦』 C・S・フォレスター 菊池光 早川書房  
『勇者の帰還』 C・S・フォレスター 高橋泰邦 早川書房  
『転倒』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★★
『貴族の館』 コンスタンス・ヘヴン 隅田たけ子 角川書店 ★★
『黒い十字軍』 A・マクリーン 平井イサク 早川書房  
『軍用列車』 A・マクリーン 矢野徹 早川書房  
『マガラからの秘密指令』 ヘレン・マッキネス 永井淳 角川書店  
『第三の犬』 P・モイーズ 山口午良 早川書房 ★★★
『ティンカー、テイラー、ソルジャー・スパイ』 ジョン・ル・カレ 菊池光 早川書房 ★★★★

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