邦題 『海底のUボート基地』
原作者 ハモンド・イネス
原題 Wreckers Must Breathe(1940)
訳者 沢川進
出版社 早川書房
出版年 1974/1/31
面白度 ★★
主人公 語り手の「私」である新聞記者クレイグ。休暇を過すためにコーンウォール地方に行く。
事件 私が休暇を楽しんでいるとき、独ソ不可侵条約が発効した。そこで取材を始めると、変わり者の漁師ローガンと知り合った。そして彼と釣りをしていると、奇妙なものに釣り竿をもっていかれたのだ。さらにその夜、見知らぬ人を目撃した。あれはドイツのUボートではないのか? だがゴムボートで上陸して来た人間に、私とローガンは捕まってしまい……。
背景 書かれた時期が第二次大戦初期ということもあり、マンガ・スパイ小説のようなプロットを実に真面目な顔で書いている。今読むと、その愛国心が微笑ましい点でもある。中盤は謎解き小説仕立てで、その前後が冒険小説となっている。当時としてはこのような構成は珍しいはずだ。

邦題 『呪われたオアシス』
原作者 ハモンド・イネス
原題 The Doomed Oasis(1960)
訳者 鹿谷俊夫
出版社 早川書房
出版年 1974/8/31
面白度 ★★★
主人公 強いて挙げれば、弁護士で本編の語り手オーブリー・グラント。
事件 グラントは親子喧嘩の現場に呼ばれた。どうやら息子デヴィッドは、それまで父親と思っていた人物がそうでないことに気づいたのだ。実父は”砂漠の王者”と呼ばれているウィティカ大佐だった。そしてデヴィッドは実父を求めてサウジアラビアに行き行方不明になり、3年後彼の遺書と手紙を受け取ったグラントは、彼を探しにハドの国境近くに向かったのだ。
背景 アラブ地方が舞台の冒険小説。現代版アラビアのロレンスとPRされたが、それほど魅力のある人物が登場するわけではない。特に前半は平板。ただプロットは結構複雑で、読み進む力となっている。ユーモアがあれば”鬼に金棒”なのだが、イネスの作品には無いのが残念なところ。

邦題 『失われた火山島』
原作者 ハモンド・イネス
原題 The Strode Venturer(1965)
訳者 白石佑光
出版社 早川書房
出版年 1974/10/15
面白度 ★★★
主人公 海運業を営む会社の重役ベイリー。本編の語り手でもある。
事件 多量のマンガン鉱が埋蔵し、赤道下の楽園といわれるラン・ア・マーリア島。この島は海底火山の爆発で隆起したと言われていた。この島に魅せられたピーターは発掘のためにこの島を訪れたが、海底火山の爆発に巻き込まれた。島は一夜にして沈没したらしい。ピーターの親友であった私は、かつてその島に行ったことのある船長とともに、島へ向かったが……。
背景 島が忽然と消えてしまったという謎の解明は、冒険小説にしては面白い。主人公は地味な男に設定されているが、もう少し魅力がほしいところ。語り口は剛速球一本槍型で、読むのに少し疲れる。もう少し変化球(ユーモア)が欲しい。イネス作品にはいつも感じることであるが。

邦題 『黒い部屋』
原作者 コリン・ウィルソン
原題 The Black Room(1971)
訳者 中村保男
出版社 新潮社
出版年 1974/
面白度  
主人公 

事件 


背景 



邦題 『カー短編集3』
原作者 J・D・カー
原題 独自の編集
訳者 宇野利泰
出版社 東京創元社
出版年 1974/5/17
面白度 ★★★
主人公 独自の編集による短編集。9本が収録されている。
事件 題名を順に挙げると、「パリから来た紳士」、「見えぬ手の殺人」(フェル博士物)、「ことわざ殺人事件」(フェル博士物)、「とりちがえた問題」(フェル博士物)、「外交官的な、あまりにも外交官的な」、「ウィリアム・ウィルソンの職業」(不可能犯罪捜査課マーチ大佐物)、「空部屋」(マーチ大佐物)、「黒いキャビネット」、「奇蹟を解く男」(H・M卿物)である。
背景 詳しい内容はほとんど記憶していないが、「パリから来た紳士」だけはだいたい覚えている。これは、高校時代に生れて初めて買った日本版EQMMに掲載されていた短編だからである。クイーンが激賞するほどは楽しめなかったが、他の短編も駄作はないはずだ。

邦題 『オカルト物語』
原作者 ジェラルド・カーシュ
原題 On an Odd Note(1958)
訳者 中隅佑子
出版社 大陸書房
出版年 1974/
面白度  
主人公 

事件 


背景 



邦題 『階段』
原作者 ヴィクター・カニング
原題 The Rainbird Pattern(1972)
訳者 山本光伸
出版社 立風書房
出版年 1974/11/30
面白度 ★★★
主人公 二つの物語が併行して語られる。一方の主人公は英国首相直轄の秘密組織の一員ブッシュ。もう一方の主人公は霊媒師ブランチ・タイラーとその恋人ジョージ・ラムレー。
事件 ブッシュは、最近起きた誘拐事件を担当していたが、わずかな手掛かりから、地下室があり鳥を飼っていている人物と結論付けた。一方ブランチとジョージは、グレース・レインバートの妹の孫を探す仕事に精を出してした。二つの仕事は全く関係ないようにみえたが、しだいに……。
背景 二つの物語では前者は平板、後者の方が面白い。ブランチとジョージの奇妙なコンピがいい味を出しているからである。後半二つの物語が交差してからは、老作家のテクニックは冴えて、巧妙に一つの物語に仕上げている。1972年CWAシルヴァー・ダガー賞受賞作。

邦題 『名誉領事』
原作者 G・グリーン
原題 The Honorary Consul(1973)
訳者 小田島雄志
出版社 早川書房
出版年 1974/
面白度  
主人公 

事件 


背景 



邦題 『運命の裏木戸』
原作者 アガサ・クリスティー
原題 Postern of Fate(1973)
訳者 中村能三
出版社 早川書房
出版年 1974/12/31
面白度 ★★★
主人公 お馴染みのトミーとタペンス・ベレズフォード。
事件 ベレズフォード夫妻と従僕、そして愛犬ハンニバルはデボンシャーの古い邸「月桂樹荘」に引っ越した。前の人が残していった児童書を、持ち前の好奇心で整理していたタペンスは、スティヴンソンの『黒い矢』の頁を操るうちに手を止めた。そこらじゅうに赤い線が引いてある。どうやら暗号らしい。解いてみると「メアリ・ジョーダンは自然死ではない」となるではないか!
背景 実質的にはクリスティが最後に書いた作品。クリスティが昔のことを思い出しながら創作したようで、タペンス=クリスティ、トミー=マローワン(クリスティの夫)、ハンニバル=クリスティの愛犬と考えて読むと、一段と楽しくなる。普通のミステリー・ファンには少し退屈だろうが。

邦題 『華麗なる門出』
原作者 アラン・シリトー
原題 A Start in Life(1970)
訳者 河野一郎
出版社 集英社
出版年 1974/
面白度  
主人公 

事件 


背景 



邦題 『ヴェニスを見て死ね』
原作者 ハドリー・チェイス
原題 Mission to Venice(1954)
訳者 岡村孝一
出版社 早川書房
出版年 1974/9/15
面白度  
主人公 

事件 


背景 



邦題 『プレイボーイ・スパイ3』
原作者 ハドリー・チェイス
原題 Have This One on Me(1967)
訳者 井上一夫
出版社 東京創元社
出版年 1974/7/26
面白度  
主人公 

事件 


背景 



邦題 『眠りと死は兄弟』
原作者 ピーター・ディキンスン
原題 Sleep and His Brother(1971)
訳者 工藤政司
出版社 早川書房
出版年 1974/3/31
面白度 ★★
主人公 ロンドン警視庁のピブル警視。
事件 ピブルはゴシック風建物を訪れた。ここは眠り病に罹っている子供たちの収容施設で、眠り病とは、声ばかりか動作もまるで水の中を動くように緩慢になる病気であった。ピブルが訪れたのは、この施設が資金難になった理由を調べるためであった。だが彼は、子供たちの知能発達は遅れているもののテレパシー能力は異常に発達していることに気づいたのだ!
背景 奇抜な設定と独特の語り口で物語が展開する、読者を選ぶミステリー。私は我慢に我慢を重ねて読んだくちだが、ラスト50頁近くで火事が起こり、やっとミステリーを読んだという満足感が得られる。確かにオリジナリティは高いが、苦労しないと楽しめないケッタイナ作品。

邦題 『シャーロック・ホームズの優雅な生活』
原作者 M & M・ハードウィック
原題 The Private Life of Sherlock Holmes(1970)
訳者 榎林哲
出版社 東京創元社
出版年 1974/7/19
面白度 ★★
主人公 お馴染みのシャーロック・ホームズだが、本物ではない。
事件 ワトスン博士の死後50年、ロンドンの銀行の金庫から一束の事件簿が見つかった。それは、ホームズの私生活に係わりがあるため公表がみおくられた原稿だった。それは、テームズ河から助けられた美女やらネス湖の怪獣が登場する物語であった。
背景 ビリー・ワイルダー監督の映画「シャーロック・ホームズの冒険」の小説化である。物語は映画のストーリーを忠実に追っているため、映画を観てしまった人には物語の先が読めてしまいガッカリするだろう。パロディとしても、面白さが不足している。ホモの関係やネス湖の怪獣、モールス通信の謎といった興味深い題材を取り入れたワイルダーの才気はやはり素晴らしい。

邦題 『高い砦』
原作者 デズモンド・バグリイ
原題 High Citadel(1965)
訳者 矢野徹
出版社 早川書房
出版年 1974/5/31
面白度 ★★★★★
主人公 アンデス山中の高地に不時着した旅客機の生存者10名。なかでも飲んだくれのパイロット、ティム・オハラとイギリス人の歴史学者アームストロングが活躍する。
事件 強制的な飛行機の不時着は、南アメリカの小国の元大統領を狙った犯人たちによるものであった。だが生き残った大統領らを、さらに地元にいた共産主義者の一団が襲ってきた。逃げるには高山を越えねばならない。彼らは中世の石弓と投石器で、機関銃に立ち向かったのだ!
背景 プロット、語り口とも素晴らしい。飛行機の不時着から脱出、吊り橋での戦闘開始。それらの状況設定がわかりやすい。そして中世の武器を使うという奥の手も面白い。後半は山越えとなり、これも迫力十分。欠点は、共産主義やキューバ人を単純に悪と設定していることくらいか。

邦題 『地獄島の要塞』
原作者 ジャック・ヒギンズ
原題 Night Judgment at Sinos(1970)
訳者 沢川進
出版社 早川書房
出版年 1974/8/31
面白度 ★★★
主人公 元英国海兵隊員の潜水夫サヴェージ。
事件 サヴェージは、ギリシャ軍事政権へのクーデターを企む億万長者から、エーゲ海のシノス島要塞に捕らわれている仲間の救出を依頼された。島の周囲には機雷が張り巡らされており、ギリシャ軍の警備も強固である。彼は親友カシムとともに要塞に向かった。
背景 マクリーンやバグリイ、イネスの作品とは少し違う、新しいタイプの冒険小説。新鮮さを感じるのは、要塞潜入を真っ向勝負で語るのではなく、彼と美少女のロマンスなど、いくつかのエピソードを積み重ねながら物語を進めていること。要塞からの要人脱出には一章分を要しているに過ぎない。そのような物語構成のためか、前半はいささかかったるいのが弱点だ。

邦題 『こわい話・気味のわるい話第1輯』
原作者 平井呈一編
原題 独自の編集
訳者 平井呈一
出版社 牧神社出版
出版年 1974/
面白度 ★★★
主人公 標題から明らかなように怪奇小説のアンソロジー。9本が収録されている。
事件 収録作は、「ミセス・ヴィールの幽霊」(D・デフォー)、「消えちゃった」(A.E.コパード)、「希望荘」(メイ・シンクレア)、「防人」(H.R.ウエイクフィールド)、「チャールズ・リンクワースの懺悔」(E.F.ベンソン)、「ブライトン街道で」(リチャード・ミドルトン)、「見えない眼」(エルクマン・シャトリアン)、「象牙の骨牌」(A.M.バレイジ)、「クロウル奥方の幽霊」(レ・ファニュ)である。
背景 歴史的観点からというのではなく、あくまでも編者の好みから編まれたアンソロジーだが、一作家一作品が選ばれている。「見えない眼」を除くと、すべて英国作家の作品である。そのためか作品に泥臭さは少ない。ユーモラスな作品が多いのも本アンソロジーの特徴か。

邦題 『こわい話・気味のわるい話第2輯』
原作者 平井呈一編
原題 独自の編集
訳者 平井呈一
出版社 牧神社出版
出版年 1974/
面白度 ★★
主人公 第1輯の続編で、中編1本と短編4本から構成されている。
事件 題名を列挙すると、「ラント夫人」(ヒュー・ウォルポール)、「慎重な夫婦」(ソープ・マックラスキー:ユーモラスな話だが、米国人作家か?)、「色絵の皿」(マージョリ・ボーエン)、「失踪」(ウォルター・デ・ラ・メア:私には面白さがわからなかった)、「手招く美女」(オリヴァー・オニオンズ:主人公の作家が古い屋敷に引っ越すと小説が書けなくなって……という中編)である。
背景 冒頭の「ラント夫人」は、いかにも怪奇小説といった内容の短編で、まあ楽しめる。ウォルター・デ・ラ・メアの作品は、残念ながら私の理解の波長にどうも合わない。なお本シリーズは、第3巻までの分が1985年に東京創元社から『恐怖の愉しみ』(上下巻)として刊行されている。さらに2012年には沖積社より@〜Bが再刊されている。

邦題 『オデッサ・ファイル』
原作者 フレデリック・フォーサイス
原題 The Odessa File(1972)
訳者 篠原慎
出版社 角川書店
出版年 1974/1/10
面白度 ★★★★
主人公 フリーのルポライター、ペーター・ミラー。
事件 1963年11月22日、ケネディ大統領が暗殺された。ミラーは運転していたジャガーの中で知ったが、その時救急車が通り、本能的に彼はその後を追った。一人のユヤダ人の自殺だった。翌日ミラーは事件の担当警部から私的に一冊の日記を貰う。そこにはユヤダ人収容所の実体が書かれており、彼はそこで告発されていたロシュマンという元SS隊員に注目したのだ。
背景 前作『ジャッカルの日』ほどではないが、やはり面白い。オデッサとはナチス残党の支援組織のことだが、その事実に巧みに虚構を重ね合わせて物語を作り上げている。ミラーが単身乗り込んでいくプロットはいささか気になるが、ジャガーに関するトリックなどは楽しめた。

邦題 『砲艦ホットスパー』
原作者 C・S・フォレスター
原題 Hornblower and the Hotspur(1962)
訳者 菊池光
出版社 早川書房
出版年 1974/1/31
面白度 ★★★★
主人公 お馴染みのホレイショ・ホーンブロワー。下宿屋の娘マリア・エレンと結婚。スループ艦ホットスパー号の艦長に任命された。
事件 ホーンブロワーは無事に結婚式を終ると、すぐさまホットスパーに乗り込み、風雲急を告げる大洋に出た。命令書を開けると、仕事はフランス海軍の偵察であった。彼は副長に指名した朋友ブッシュとともに偵察していると、フランスとの宣戦が布告されてしまったのだ!
背景 シリーズ第三弾。これまでの中では一番良かった。イギリス人の謙譲の美徳のようなものが素直に表現されている。例えばホーンブロワーは賞金稼ぎをしないし、部下もある程度以上の反対はしない。このあたりがイギリス人に愛され、国民的ベストセラーになる一因であろう。

邦題 『トルコ沖の砲煙』
原作者 C・S・フォレスター
原題 Hornblower and the Atropos(1953)
訳者 高橋泰邦
出版社 早川書房
出版年 1974/6/30
面白度 ★★★
主人公 お馴染みのホレイショ・ホーンブロワー。スループ艦アトロポス号の艦長になる。
事件 新任の艦長としてロンドンに着いたホーンブロワーの役目は、トラファルガル海戦で勝利しながらも亡くなったネルソン提督の葬儀を取りし切ることだった。途中船が沈みそうになるものの、どうにか大任を果たした。そして次の任務は、 トルコ沖に沈んだ英国戦艦から金貨、銀貨を秘密裏に回収せよというもの。 ホーンブロワーは無事に引き上げられるのか?
背景 シリーズ第4巻。出だしはテームズ河の河下りで、ゆったりと物語が語られていく。ホーンブロワーの家庭生活にも触れられいるが、ホーンブロワーは仕事第一の男のようだ。このあたりの彼の生き方はいかにもイギリス人的とでもいうのだろうか。まあ、無難な作品。

邦題 『パナマの死闘』
原作者 C・S・フォレスター
原題 The Happy Return(1937)
訳者 高橋泰邦
出版社 早川書房
出版年 1974/11/30
面白度 ★★★
主人公 お馴染みのホレイショ・ホーンブロワー。英国軍艦リディア号の艦長になっている。
事件 19世紀初頭、敵国スペイン領アメリカで反乱が起こった。イギリスは勃発した反乱を秘かに援助するため、ホーンブロワーは武器弾薬を積み、南太平洋に向かった。だがリディア号の前には、二倍の火力を持つスペインの巨艦が立ちはだかっていた。凄絶な死闘が始まる。
背景 ホーンブロワー・シリーズの日本での紹介は、ホーンブロワーの活躍する年代順に訳されている。本書はその5巻目で、中堅のホーンブロワーが登場するが、原書では本書がホーンブロワー登場第一作となる。前半はゆったりしたテンポで物語が展開するが、後半は文字通りの死闘が描かれている。余韻を残す締め方も上手いところで、第一作で読者を虜にしたのがよくわかる。

邦題 『リマから来た男』
原作者 ジョン・F・ブラックバーン
原題 The Young Man From Lima(1968)
訳者 菊池光
出版社 東京創元社
出版年 1974/8/9
面白度 ★★
主人公 高名な細菌学者のマーカス・レヴィン卿。
事件 レヴィン卿は、交通事故で死亡した男の血液の中に奇妙な微生物を発見した。一方英国の対外協力相やイタリア人技師など、南米の某共和国と繋がりのある人物が相次いで暗殺されていた。その微生物と暗殺の関係を調べるため、レヴィン卿は、彼の妻や英国外務省情報局長とともに、内乱に喘ぐ某共和国に向かったのだ。
背景 著者のシリーズ3作目。英国作家には自己の小説スタイルをあくまで変えない人が多いが、この作者も徹底している。本作も前二作とよく似た小説パターン。確かにこれ一作なら、それなりに面白いのだが、3作とも同じパターンとなると、さすがに飽きてしまう。

邦題 『暴走』
原作者 ディック・フランシス
原題 Slay-Ride(1973)
訳者 菊池光
出版社 早川書房
出版年 1974/8/15
面白度 ★★★★
主人公 英国ジョッキイ・クラブの調査部主任デイヴィッド・クリーヴランド。
事件 英国の騎手ボブはノルウェー競馬界に招待された。だが、ある日ボブは売上金を横領するという事件を起こし、消えてしまったのだ。しかし不可解な事実が多すぎた。花形騎手が、そのような引き合わないことを何故したのか? そしてどこへ消えたのか? この調査のためデイヴィッドは10月のノルウェーに降り立ったのだ。だがいつの間にか彼に危険が迫っていた。
背景 競馬シリーズの第12弾。このところのフランシス作品は少し低調であったが、本書は久し振りの快打といった作品。主人公が三度も危ない目に合うというサービス精神旺盛なプロットに加えて、フーダニットやホワイダニットなどの謎がある。安心して楽しめる。

邦題 『埋葬の土曜日』
原作者 アラン・ホワイト
原題 Climate of Revolt(1971)
訳者 国重純二
出版社 立風書房
出版年 1974/4/10
面白度  
主人公 

事件 


背景 



邦題 『スパイになりたかったスパイ』
原作者 ジョージ・ミケシュ
原題 The Spy Who Died of Boredom(1973)
訳者 倉谷直臣
出版社 講談社
出版年 1974/10/20
面白度 ★★★★
主人公 アルカージィ・ディミトリエヴィッチ・ニキーチン。007を愛読してスパイに憧れた。
事件 そのアルカージィがスパイとして徴集された。そして2ヶ月後にはイギリスへ送られた。だがスパイごっこでしかなかった。もはや探るべき機密はイギリスに何もなかったのだ。ところがソ連に食糧危機が訪れ、そのためにユーナリムという薬の製造方法を盗む仕事が舞い込んだ。アルカージィは得意のセックスを武器に、単身、調査を開始した。
背景 面白い。現在のロシアの官僚主義を鋭く諷刺し、イギリス淑女の堕落を揶揄した作品だが、スパイ小説のパロディとしても読める。著者は「ヨーロッパ大陸の人には性生活があるが、イギリス人には湯たんぽがある」と喝破したユーモリスト。訳も上手いので、多いに笑える。

邦題 『ドイツの小さな町』
原作者 ジョン・ル・カレ
原題 A Small Town in Germany(1968)
訳者 宇野利泰
出版社 早川書房
出版年 1974/
面白度  
主人公 

事件 


背景 


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