1971年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト3
(1)『流砂』(ヴィクトリア・ホルト)
(2)『死の贈物』(パトリシア・モイーズ)
(3)『さすらいの旅路』(ネビル・シュート)

本年の特徴
 『流砂』はデュ・モーリアの『レベッカ』ばりのゴシック・ロマンスだが、あまり期待しないで読んだのが良かったのか、非常に感心してしまった。そこでホルトのペイパーバックにまで手を出してしまったが、何冊か読んだ限りでは、やはりロマンス物の要素が強過ぎて、本作ほどミステリーに徹した作品はなかった。『死の贈物』は謎解き小説の佳作。『さすらいの旅路』は出版時には未読だった。後年東京創元社から出た文庫『パイド・パイパー―自由への越境』で読んだのだが、心温まる作品である。全体的には低調な年であった。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『諜報作戦/D13峰登頂』 アンドルー・ガーヴ 永井淳 東京創元社 ★★★
『カリブ海の秘密』 アガサ・クリスティー 永井淳 早川書房 ★★★
『ハロウィーン・パーティー』 アガサ・クリスティー 中村能三 早川書房 ★★★
『北の脱走者』 C・コリングウッド 乾信一郎 早川書房  
『さすらいの旅路』 ネビル・シュート 池央耿 角川書店 ★★★★
『クッキーの崩れるとき』 ハドリー・チェイス 菊池光 東京創元社 ★★
『幸いなるかな、貧しき者』 ハドリー・チェイス 菊池光 東京創元社 ★★
『群がる鳥に網を張れ』 ハドリー・チェイス 村上博基 東京創元社 ★★
『ガラス箱の蟻』 ピーター・ディキンスン 皆藤幸蔵 早川書房 ★★★
『英雄の誇り』 ピーター・ディキンスン 工藤政司 早川書房  
『混戦』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★★
『秘められた傷』 ニコラス・ブレイク 小倉多加志 早川書房 ★★★
『流砂』 ヴィクトリア・ホルト 小尾芙佐 角川書店 ★★★★
『フィナーレは念入りに』 レイモンド・マーシャル 岡村孝一 早川書房 ★★
『シンガポール脱出』 アリステア・マクリーン 伊藤礼 早川書房 ★★★
『巡礼のキャラバン隊』 アリステア・マクリーン 高橋豊 早川書房 ★★
『北海の墓場』 アリステア・マクリーン 平井イサク 早川書房  
『死の贈物』 パトリシア・モイーズ 皆藤幸蔵 早川書房 ★★★★

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