1970年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト3
(1)『親指のうずき』(アガサ・クリスティー)
(2)『傷心の川』(ジョン・バカン)
(3)『赤ちゃんはプロフェッショナル』(レニー・エアース)

本年の特徴
『親指のうずき』はクリスティー晩年の傑作。『傷心の川』はバカンの遺作といえる冒険小説。『赤ちゃんはプロフェッショナル』は本邦初紹介作家のユーモア・ミステリー。ジャンルの異なる傑作が三冊も揃ったことからも明らかなように、この年は70年代において一、二を競うレベルの高い年であった。前年に刊行された「世界ロマン全集」から、秀作が数多く出版されたことも一因であろう。ベスト3には入れていないが、『海から来た男』や『氷結の国』なども捨て難い。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『海から来た男』 マイクル・イネス 吉田健一 筑摩書房 ★★★★
『赤ちゃんはプロフェショナル』 レニー・エアース 宇野輝雄 早川書房 ★★★★
『カー短編集1』 J・D・カー 宇野利泰 東京創元社 ★★★
『カー短編集2』 J・D・カー 宇野利泰 東京創元社 ★★★
『夜明けの舗道』 エドワード・グリアソン 村社伸 角川書店 ★★★
『第三の女』 アガサ・クリスティー 小尾芙佐 早川書房 ★★★
『親指のうずき』 アガサ・クリスティー 深町眞理子 早川書房 ★★★★
『孤独の時間』 フランシス・クリフォード 永井淳 早川書房  
『幕が下りてから』 ウィンストン・グレアム 隅田たけ子 早川書房  
『アイルランドで殺せ』 マイケル・ケニアン 篠原慎 角川書店 ★★★★
『ダイヤモンドの河』 ジェフリー・ジェンキンス 梶龍雄 講談社  
『虜囚の恋』 R・L・スティヴンソン 工藤昭雄・小沼孝志 筑摩書房 ★★
『バン・バン・バード』 アダム・ダイメント 村上博基 早川書房  
『暗闇からきた恐喝者』 ハドリー・チェイス 小鷹信光 東京創元社 ★★★
『貧乏くじはきみが引く』 ハドリー・チェイス 一ノ瀬直二 東京創元社 ★★
『あぶく銭は身につかない』 ハドリー・チェイス 小鷹信光 東京創元社 ★★★
『砂州の謎』 アースキン・チルダーズ 斉藤和明 筑摩書房 ★★★
『新青年傑作選 第四巻翻訳編』 中島河太郎編 西田政治他 立風書房 ★★★
『わが幻覚の時』 デュ・モーリア 南川貞治 三笠書房  
『影の監視者』 ハウスボールド 小津次郎 筑摩書房 ★★★
『閉電路』 ウィリアム・ハガード 村社伸 早川書房  
『架空線』 ウィリアム・ハガード 工藤政司 早川書房 ★★
『離反者』 ウィリアム・ハガード 村社伸 早川書房  
『傷心の川』 ジョン・バカン 永川玲二 筑摩書房 ★★★★
『ビーストン傑作集』 L・J・ビーストン 横溝正史他 創土社 ★★
『ジャマイカの烈風』 リチャード・ヒューズ 小野寺健 筑摩書房 ★★
『ダブル・スパイ』 ジョン・ビンガム 三田村裕 早川書房  
『氷結の国』 ギルバート・フェルブス 大津栄一郎 筑摩書房 ★★★★
『査問』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★★
『ドーヴァー5/奮闘』 ジョイス・ポーター 乾信一郎 早川書房 ★★★
『ヘンツオ伯爵』 アンソニー・ホープ 井上勇 東京創元社 ★★
『ナバロンの嵐』 アリステア・マクリーン 平井イサク 早川書房  
『麻薬運河』 アリステア・マクリーン 矢野徹 早川書房 ★★
『こわれたサングラス事件』 ピーター・レスリー 野間節夫 久保書店  
『怪奇幻想の文学 第3』     新人物往来社  
『怪奇幻想の文学 第4』     新人物往来社  

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