1967年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト3
(1)『興奮』(ディック・フランシス)
(2)『女王陛下のユリシーズ号』(アリステア・マクリーン)
(3)『大穴』(ディック・フランシス)

本年の特徴
 この年は60年代でもっとも輝いた年といってよい。ベスト3はいずれも★5つで、冒険小説史上に残る作品だが、その他にもジョイス・ポーターが華々しくデビューしている。また世評高いライアルの『深夜プラス1』もこの年に翻訳されている。正統的な冒険小説の書き手H・イネスも、本邦初紹介されたのだ。個人的には『パーフェクト殺人』も好きである(大方は不評であったが)。英国翻訳ミステリーの主流が冒険スパイ小説に移ったことがよくわかる。
 フランシスの作品は後年の作品の方が良いという説もあるが、やはり『興奮』を初読したときの興奮は忘れられない。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『しろうとスパイ』 マイクル・アンダーウッド 佐和誠 早川書房 ★★★★ 
『汚辱と怒り』 エリック・アンブラー 宇野利泰 早川書房 ★★★
『中国の密使』 ジェームス・イーストウッド 高橋豊 集英社 ★★
『蒼い死闘』 ハモンド・イネス 大門一男 講談社 ★★★★
『罪なき者を捜せ』 ロイ・ヴィカーズ 尾坂力 早川書房 ★★★
『殺人を選んだ7人』 ロイ・ヴィカーズ 井上一夫他 早川書房 ★★★
『ガラスの檻』 コリン・ウィルスン 中村保男 新潮社  
『アンバー・ナイン』 ジョン・ガードナー 大庭忠男 早川書房  
『パーフェクト殺人』 H・R・F・キーティング 尾坂力 早川書房 ★★★★
『ボンベイの毒薬』 H・R・F・キーティング 乾信一郎 早川書房 ★★★
『喜劇役者』 グレアム・グリーン 田中西二郎 早川書房  
『クリスチィ短編全集5』 アガサ・クリスティー 宇野利泰 東京創元社 ★★★
『クリスチィ短編全集2』 アガサ・クリスティー 厚木淳 東京創元社 ★★★★
『裸のランナー』 フランシス・クリフォード 永井淳 早川書房  
『ある殺人の肖像』 ジュリアン・シモンズ 山口午良 早川書房  
『殺人は血であがなえ』 ハドリー・チェイス 田中小実昌 東京創元社 ★★★
『ソフト・センター』 ハドリー・チェイス 中村保男 東京創元社 ★★★
『ベルリンの葬送』 レン・デイトン 稲葉明雄 早川書房 ★★★
『愛と死の紋章』 デュ・モーリア 大久保康雄 三笠書房  
『アフリカの女王』 C・S・フォレスター 伊藤礼 フジ出版社 ★★★★
『興奮』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★★★★
『大穴』 ディック・フランシス 菊池光 早川書房 ★★★★★
『ドーヴァー1』 ジョイス・ポーター 川口正吉 早川書房 ★★★★
『ドーヴァー2』 ジョイス・ポーター 尾坂力 早川書房 ★★★
『ドーヴァー3』 ジョイス・ポーター 小倉多加志 早川書房 ★★★★
『第9指令』 アダム・ホール 矢野徹 早川書房  
『女王陛下のユリシーズ号』 アリステア・マクリーン 村上博基 早川書房 ★★★★★
『ベニスへの密使』 ヘレン・マッキネス 榊原晃三 講談社 ★★
『ローマの北へ急行せよ』 ヘレン・マッキネス 梶竜雄 講談社  
『ダブル・イメージ』 ヘレン・マッキネス 宇野利泰 早川書房 ★★★
『死を売りつけた男』 ジェイムズ・マンロー 伊藤守男 早川書房  
『深夜プラス1』 ギャビン・ライアル 菊池光 早川書房 ★★★★
『本番台本』 ギャビン・ライアル 菊池光 早川書房 ★★★
『ちがった空』 ギャビン・ライアル 松谷健二 早川書房  
『空飛ぶスラッシュ』 ピーター・レスリー 青木秀夫 早川書房  

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