1965年に翻訳された英国ミステリー
本年のベスト3 (1)『死者にかかってきた電話』(ジョン・ル・カレ) (2)『流れる星』(パトリシア・モイーズ) (3)『Xに対する逮捕状』(フィリップ・マクドナルド) 本年の特徴 全般的には低調な年であった。★4つはたったニ作しかなかったし、ル・カレとモイーズの作品も、前年の作品の方がレベルが高いからである。ただしレン・デイトンとアダム・ホールという二人のスパイ小説作家が初紹介されたのは注目すべきであろう。 特にデイトンの『イプクレス・ファイル』は一部の読者には熱狂的に迎えられたが(事実一時はル・カレと並列に論じられることが多っかたが)、私はどうしてもデイトンの文体に馴染めなかった。『イプクレス・ファイル』はニ度も途中で読書を投げ出してしまい、いまだ読み切れていない。トホホ。 |
題 名 | 原作者 | 翻訳者 | 出版社 | 面白度 |
『ビロードの悪魔』 | J・D・カー | 吉田誠一 | 早川書房 | ★★★ |
『暗い燈台』 | アンドリュウ・ガーヴ | 小倉多加志 | 早川書房 | ★★ |
『複数の時計』 | アガサ・クリスティー | 橋本福夫 | 早川書房 | ★★★ |
『二重の悲劇』 | F・W・クロフツ | 井上勇 | 東京創元社 | ★★ |
『クロフツ短編集1』 | F・W・クロフツ | 向後英一 | 東京創元社 | ★★ |
『月曜日には絞首刑』 | ジュリアン・シモンズ | 向後英一 | 早川書房 | ★★★ |
『ダイヤを抱いて地獄へ行け』 | ハドリー・チェイス | 田中小実昌 | 東京創元社 | ★★ |
『ある晴れた朝突然に』 | ハドリー・チェイス | 田中小実昌 | 東京創元社 | ★★ |
『おんな対F.B.I.』 | ピーター・チェイニイ | 田中小実昌 | 久保書店 | ★ |
『イプクレス・ファイル』 | レン・デイトン | 井上一夫 | 早川書房 | |
『女は日曜日に沈められる』 | C・S・フォレスター | 陶山蜜 | 日本文芸社 | |
『悪の断面』 | ニコラス・ブレイク | 小倉多加志 | 早川書房 | ★★ |
『007号/黄金の銃をもつ男』 | イアン・フレミング | 井上一夫 | 早川書房 | ★★ |
『ただひと突きの……』 | シリル・ヘアー | 和田一郎 | 早川書房 | ★★ |
『不死鳥を殪せ』 | アダム・ホール | 村上博基 | 早川書房 | ★★★ |
『Xに対する逮捕状』 | フィリップ・マクドナルド | 宮西豊逸 | 浪速書房 | ★★★ |
『沈んだ船員』 | パトリシア・モイーズ | 皆河宗一 | 早川書房 | ★★★ |
『流れる星』 | パトリシア・モイーズ | 山崎昴一 | 早川書房 | ★★★★ |
『忘却へのパスポート』 | ジェイムズ・リーサー | 向後英一 | 早川書房 | |
『死者にかかってきた電話』 | ル・カレ | 宇野利泰 | 早川書房 | ★★★★ |
『鏡の国の戦争』 | ル・カレ | 宇野利泰 | 早川書房 | ★★★ |