1962年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト3
(1)『迷宮課事件簿』(ロイ・ヴィカーズ)
(2)『毒入りチョコレート事件』(アントニイ・バークリー)
(3)『百万に一つの偶然』(ロイ・ヴィカーズ)

本年の特徴
 ついに総数は17冊になり、出版数は1954年以降でもっとも少ない年となった。他の年と比べると、ベスト3のレベルも、かなり落ちている。ロイ・ヴィカーズの作品を除くとめぼしいものはない。このためヴィカーズの作品を二冊も挙げてしまった。トップは『迷宮課事件簿』にしたが、これは迷宮課シリーズの記念すべき第一作であるからで、作品の質は同じようなものである。なお『反逆者の財布』と『フレンチ警視最初の事件』という、古本屋でもめったに見つからない文庫本がこの年に同時に刊行されているとは、面白い現象だ。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『反逆者の財布』 マージョリー・アリンガム 中川龍一 東京創元社 ★★★
『百万に一つの偶然』 ロイ・ヴィカーズ 宇野利泰 早川書房 ★★★★
『迷宮課事件簿』 ロイ・ヴィカーズ 村上啓夫 早川書房 ★★★★
『老女の深情け』 ロイ・ヴィカーズ 村上啓夫 早川書房 ★★★
『紅はこべ続編 復讐』 バロネス・オルツィ 松本恵子 東都書房 ★★
『盲目の理髪師』 J・D・カー 井上一夫 東京創元社 ★★
『蒼ざめた馬』 アガサ・クリスティー 橋本福夫 早川書房 ★★★
『蜘蛛と蝿』 F・W・クロフツ 山口午良 東京創元社 ★★★
『山師タラント』 F・W・クロフツ 井上勇 東京創元社 ★★★
『チョールフォント荘の恐怖』 F・W・クロフツ 田中西二郎 東京創元社 ★★
『フレンチ警視最初の事件』 F・W・クロフツ 松原正 東京創元社 ★★
『ハリーの災難』 J・T・ストーリイ 田中融二 早川書房 ★★
『毒入りチョコレート事件』 アントニイ・バークリー 高橋泰邦 東都書房 ★★★★
『ミドル・テンプルの殺人』 J・S・フレッチャー 井上一夫 東都書房 ★★
『サンダーボール作戦』 イアン・フレミング 井上一夫 早川書房 ★★★
『ギデオン警視と暗殺者』 J・J・マリック 丸本聡明 早川書房 ★★
『ギデオン警視の一ヶ月』 J・J・マリック 般若敏郎 東京創元社  

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