1958年に翻訳された英国ミステリー

本年のベスト5
(1)『試行錯誤』(アントニイ・バークリイ)
(2)『サキ短編集』(サキ)
(3)『日時計』(クリストファー・ランドン)
(4)『緑は危険』(クリスチナ・ブランド)
(5)『爬虫館殺人事件』(カーター・ディクスン)

本年の特徴
 前年リストアップされた作品は66冊であったが、この年も61冊と60の大台を越えた。カーの作品は(ディクスン名義の作品や共作を含めると)14冊にもなる。クリスティー作品も6冊翻訳されている。目新しい点は、東京創元社が現代推理小説全集に続いてクライム・クラブ叢書を出版したことであろう。未知の作家の作品が数多く紹介されたが、なかではランドンの『日時計』がもっとも楽しめた。またカーの作品としては『喉切り隊長』も面白いが、『爬虫館殺人事件』における、戦争までもトリックに取り込んでしまうというカーの発想には心底驚いた。

題 名 原作者 翻訳者 出版社 面白度
『夜来たる者』 エリック・アンブラー 瀬田貞二 早川書房 ★★★★
『ヴェルフラージュ殺人事件』 ロイ・ヴィカーズ 小倉多加志 早川書房 ★★
『リトモア少年誘拐』 ヘンリー・ウェイド 中村保男 東京創元社 ★★★
『怪奇小説傑作集U』 江戸川乱歩編集 宇野利泰 東京創元社 ★★★
『喉切り隊長』 ジョン・ディクソン・カー 村崎敏郎 早川書房 ★★★★
『九つの答』 ジョン・ディクソン・カー 青木雄造 早川書房 ★★★
『毒のたわむれ』 ジョン・ディクソン・カー 村崎敏郎 早川書房 ★★
『剣の八』 ジョン・ディクソン・カー 妹尾韶夫 早川書房 ★★★
『緑のカプセル』 ジョン・ディクソン・カー 宇野利泰 東京創元社 ★★★
『四つの兇器』 ジョン・ディクソン・カー 村崎敏郎 早川書房 ★★
『シャーロック・ホームズの功績』 カー & A・ドイル 大久保康雄 早川書房 ★★
『エレヴェーター殺人事件』 カー & ロード 中桐雅夫 早川書房 ★★
『メグストン計画』 アンドリュウ・ガーヴ 福島正実 早川書房 ★★★
『死後』 ガイ・カリンフォード 森郁夫 早川書房 ★★★
『ベアトリスの死』 マーテン・カンバランド 高村勝治 東京創元社 ★★★
『パリを見て死ね!』 マーテン・カンバランド 菅泰男 東京創元社 ★★★
『ひらけ胡麻!』 マイケル・ギルバート 中川竜一 東京創元社 ★★★
『情婦』 アガサ・クリスティー 松本恵子 角川書店 ★★
『死が最後にやってくる』 アガサ・クリスティー 加島祥造 早川書房 ★★★
『マギンティ夫人は死んだ』 アガサ・クリスティー 田村隆一 早川書房 ★★★
『死者のあやまち』 アガサ・クリスティー 田村隆一 早川書房 ★★★
『動く指』 アガサ・クリスティー 高橋豊 早川書房 ★★★
『魔術の殺人』 アガサ・クリスティー 田村隆一 早川書房 ★★★
『関税品はありませんか?』 F・W・クロフツ 村崎敏郎 早川書房 ★★★
『サキ短編集』 サキ 中村能三 新潮社 ★★★★
『丘の音楽・宿命の犬』 サキ 山田昌司・和田勇一 英宝社 ★★
『スカラムーシュ』 ラファエル・サバチニ 大久保康雄 東京創元社 ★★★
『狙った椅子』 ジュリアン・シモンズ 大西尹明 東京創元社 ★★★
『ナイン・テイラーズ』 D・L・セイヤーズ 平井呈一 東京創元社 ★★★★
『忙しい蜜月旅行』 D・L・セイヤーズ 深井淳 早川書房 ★★★
『判事に保釈なし』 ヘンリイ・セシル 福田陸太郎 早川書房 ★★
『奇商クラブ』 G・K・チェスタトン 福田恆存 東京創元社 ★★★
『花火と猫と提督』 ジョスリン・デイヴィー 北村太郎 早川書房 ★★★
『わらう後家』 カーター・ディクスン 宮西豊逸 早川書房 ★★★
『爬虫館殺人事件』 カーター・ディクスン 村崎敏郎 早川書房 ★★★★
『青銅ランプの呪』 カーター・ディクスン 長谷川修二 東京創元社 ★★★
『赤後家の殺人』 カーター・ディクスン 宇野利泰 東京創元社 ★★★
『一角獣の怪』 カーター・ディクスン 長谷川修二 東京創元社 ★★★
『ドイル傑作集U海洋奇談編』 コナン・ドイル 延原謙 新潮社 ★★★
『ドイル傑作集Zクルンバの悲劇』 コナン・ドイル 延原謙 新潮社 ★★
『コロスコ号の悲劇』 コナン・ドイル 松原正 東京創元社 ★★
『消えた街灯』 ビヴァリイ・ニコルズ 小倉多加志 早川書房 ★★★
『ムーンフラワー』 ビヴァリイ・ニコルズ 大橋健三郎 早川書房
『まだ死んでいる』 ロナルド・ノックス 橋本福夫 早川書房 ★★★
『試行錯誤』 アントニイ・バークリイ 鮎川信夫 東京創元社 ★★★★★
『幽霊島』 A・ブラックウッド 平井呈一 東京創元社  
『緑は危険』 クリスチナ・ブランド 中村保男 早川書房 ★★★★
『疑惑の霧』 クリスチナ・ブランド 野上彰 早川書房 ★★★
『章の終り』 ニコラス・ブレイク 小笠原豊樹 早川書房 ★★★
『くもの巣』 ニコラス・ブレイク 加納秀夫 早川書房 ★★★
『乙女の祈り』 ジョーン・フレミング 山本恭子 東京創元社 ★★★★
『ペニクロス村殺人事件』 モーリス・プロクター 加島祥造 早川書房 ★★★
『十二人の少女像』 シェーン・マーティン 高城ちゑ 東京創元社 ★★★★
『ギデオンの一日』 J・J・マリック 井上一夫 早川書房 ★★
『ギデオンの夜』 J・J・マリック 清水千代太 東京創元社 ★★★
『トム・ブラウンの死体』 グラディス・ミッチェル 遠藤慎吾 早川書房 ★★★
『魔術師』 W・S・モーム 田中西二郎 新潮社 ★★★
『遠い山彦』 ダグラス・ラザフォード 龍口直太郎 東京創元社 ★★★
『日時計』 クリストファー・ランドン 丸谷才一 東京創元社 ★★★★
『吸血鬼カーミラ』 J・S・レ・ファニュ 平井呈一 東京創元社 ★★★
『吸殻とパナマ帽』 ジョン・ロード 福田陸太郎 東京創元社 ★★★

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