邦題 『疑惑の影』
原作者 ジョン・ディクスン・カー
原題 Below Suspicion(1949)
訳者 村崎敏郎
出版社 早川書房
出版年 1951/3/
面白度 ★★★
主人公 勅撰法廷弁護士のパトリック・バトラー。独身の40歳。お馴染みのフェル博士は脇役。事件 バトラーは、裕福な老夫人の秘書として働いていたエリスがその夫人を毒殺したという事件を引き受けた。そして不利な状況の中、バトラーは見事エリスの無罪を勝ち取ったのだ。ところがその直後、今度は夫人の甥が毒殺された。二つの事件は関係あるのか? さらに近辺では毒殺事件が多発していたのだ。フェル博士の忠告を受けてバトラーは真相究明に活躍するが……。
背景 バトラーを主役としたが、フェル博士シリーズの一冊と考えても問題はない。前半は面白い。法廷ミステリーとしての迫力はなかなかのもの。第二の毒殺事件が起きてからは、”黒ミサ”が絡み、オドロオドロしい1930年代のカーに戻ってしまったのが残念。意外な犯人は成功しているが。

邦題 『曲がった蝶番』
原作者 ジョン・ディクスン・カー
原題 The Crooked Hinge(1938)
訳者 妹尾韶夫
出版社 雄鶏社
出版年 1951/7/
面白度 ★★★
主人公 お馴染みのギデオン・フェル博士。
事件 ケント州の由緒ある家柄のファーンリ家は興奮と不安に包まれていた。現在のファーンリ卿は偽者で、自分こそが当主だという人物が現れたからだ。かつての家庭教師も呼び寄せられ、指紋による判定も行なわれることになった。だがその時、現在の当主は殺されてしまったのだ。
背景 背景にタイタニック号の遭難や悪魔礼拝、自動人形などが使われている。トリックには無理があると感じるが、それらの背景は物語の中で巧みに生きている。フェル博士の言動はファース狙いのためか、どちらかというと子供じみていて、それが私の趣味に合わないのだが、本作ではその欠点は感じなかった。プロットに多くの謎を含んでいるのがいい。

邦題 『邪魔者は殺せ』
原作者 F・L・グリーン
原題 Odd Man Out(1945)
訳者 清水光
出版社 三笠書房
出版年 1951/8/25
面白度 ★★
主人公 革命党の党首ジョニイ。
事件 ジョニイを含む四人組みは、工場を襲撃して現金を強奪しようとしていた。しかし現金係と銃撃戦になり、ジョニイは仲間とはぐれ、自身も傷ついてしまう。はたして生き延びることはできるのか? 彼は主婦らに助けられるが……。
背景 キャロル・リード監督、ジェイムス・メーソン主演の映画で有名な作品。映画が公開されたことにより翻訳されたと思われる。IRAを背景にした犯罪小説といったらいいのか。物語は襲撃後から始まるのでケイパー小説の面白さはない。追いつめられた人間の心理的な葛藤が興味深く描かれているが、いかんせん暗い小説である。

邦題 『第三の男』
原作者 グレアム・グリーン
原題 The Third Man(1950)
訳者 遠藤慎吾
出版社 早川書房
出版年 1951/2/
面白度 ★★★
主人公 ロロ・マーティンズ。バック・デクスターという筆名で西部物を書いている作家。ハリー・ライムの学校時代からの親友。35歳。物語の語り手は警察官のキャロウェイ。
事件 ロロはハリーの招待で、戦争直後のウィーンを訪問した。ところがハリーは自動車に轢かれ、今日埋葬されるというのだ。やがて彼は、ハリーが闇取引に関係していることを知り……。
背景 あまりに有名な映画の原作。ただしシナリオからの小説化ではなく、「見てもらうために書いた」小説をその後シナリオ化したそうだ。つまりさらに練り上げた決定版が映画というわけで、有名なスイスの鳩時計の台詞などは含まれていない。やはり映画の印象が強過ぎるが、小説としても結構楽しめる。なお後年「落ちた偶像」(『二十一の短編』に含まれている中編「地下室」と同じ)と一緒になって単行本になっている。

邦題 『密使』
原作者 グレアム・グリーン
原題 The Confidential Agent(1939)
訳者 北村太郎
出版社 早川書房
出版年 1951/
面白度 ★★★★
主人公 Dとイニシャルで呼ばれる男。故国では大学教授であった。妻は反乱軍に殺された。
事件 今、Dは故国のために英国から石炭を買い付けようとしていた。しかしそれを阻止しようとして反乱軍からも、Lという密使が英国に派遣されていた。Dはヘリヴェル卿の娘ローズと知り合い、協力してもらうことになった。しかし信任状をLに盗まれてしまったのだ。それまでは追われる人であったDが、今度は追う人に変わるのだった。
背景 著者のエンタテインメントとして名高い作品。スリラー形式をとっており、出だしから不気味なサスペンスに満ちている。これは当時の不安定な世界を適確に描写しているからであろう。最後がメルヘン的なハッピー・エンドで終るのが、単なるミステリー・ファンには嬉しいものだ。

邦題 『三幕の殺人』
原作者 アガサ・クリスティー
原題 Three Act Tragedy(1935)
訳者 田村隆一
出版社 早川書房
出版年 1951/2/25
面白度 ★★★★
主人公 お馴染みのエルキュール・ポアロ。ワトスン役はサタスウェイト。
事件 俳優サー・チャールズの隠退を記念して開かれたパーティーの席上、マティーニを飲んだ老牧師が死んだ。それから数ヶ月後、チャールズの友人の医師が、自宅でのパーティで急死した。調べた結果二人とも毒殺であることが判明した。そして第三幕も切って落とされた。
背景 詳しくは書けないが、この作品にも独創的なプロットが使われている。演劇的構成が冴えている。謎を解くとはいえ、本書のポアロは脇役的な存在であろう。最後のポアロの台詞「つまり、このポアロが飲んだかもしれないですよ」が有名だ。なお犯人の動機を説明する部分に、英米で異なる版があるそうだ。サタスウェイト氏は『クィン氏の事件簿』に初登場している。

邦題 『白昼の悪魔』
原作者 アガサ・クリスティー
原題 Evil under the Sun(1941)
訳者 堀田善衛
出版社 早川書房
出版年 1951/2/
面白度 ★★★★
主人公 お馴染みのエルキュール・ポアロ。
事件 デボンシャー州レザーコム・ベイのホテルでポアロはつぶやく。「日の下のあらゆる所に凶事がありうる」と。そして、その言葉を裏書するように、浜辺ですべての男性を魅了し、すべての女性から反感を買っていた美女が絞殺死体となって発見されたのだ。
背景 小品だが、伏線はきちんと張られており、意外な犯人が用意されていて、ミス・ディレクションも完璧に近い出来で、完成度は極めて高い。なかなか古本を入手できなかったので、初読時には、まだクリスティの傑作が残っていたのかと驚いた。この島のモデルは、デボンシャーにあるバー島と言われている。なお後年、鳴海四郎訳で改訳が出版されている。

邦題 『予告殺人』
原作者 アガサ・クリスティー
原題 A Murder Is Announced(1950)
訳者 田村隆一
出版社 早川書房
出版年 1951/7/5
面白度 ★★★★★
主人公 お馴染みのミス・ジェーン・マープル。クラドック警部が活躍する。
事件 絵のように美しい村ピッチング・グレグホーンの住人は、新聞を読んであっと驚いた。「殺人をお知らせ申し上げます。10月29日金曜日、午後6時30分より、……」という広告が載っていたからだ。そしてその夜のその時刻、リトル・パドックでは本当に殺人事件が起きたのだった。
背景 マープル物の最高傑作として名高い作品。初読は帰省中の列車の中で読んだようで、それほど感心しなかったが、再読したときは面白かった。クリスティが60歳のときの50冊めの作品として、英米で評判となった。アリンガムがニューヨーク・タイムズに長文の書評を書いて絶賛した。”ミステリーの女王”を決定的にした作品といってよいだろう。

邦題 『殺人準備完了』
原作者 アガサ・クリスティー
原題 Towards Zero(1944)
訳者 三宅正太郎
出版社 早川書房
出版年 1951/9/25
面白度 ★★★★
主人公 バトル警視。5人の子持ちであることがわかる。
事件 万能スポーツマンのネヴィルは、二度目の若い妻ケイと一緒に、後見人の未亡人カミラを訪ねることにした。そして9月、彼らに加えてネヴィルの前妻や遠い親戚など多彩な人々が集ってきた。ところが寝室でカミラが撲殺されたのだ。休暇でこの地にいたバトルが捜査を担当する。
背景 多くの探偵小説は殺人で始まるが、実は殺人物語は、殺人が起きる以前から始まっていて、殺人は終局(つまり”ゼロ時間”)であるはずだ。このような考えに基いて、殺人に至るまでの状況が巧みに描かれている(そこに巧妙な伏線が張られている)謎解き小説。クリスティのこの考えは納得できるし、犯人をカモフラージュする技巧は相変わらずスゴイ。恋愛も巧みに取り入れている。なお1958年、田村隆一訳が『ゼロ時間へ』という題で刊行された。

邦題 『マギル卿最後の旅』
原作者 F・W・クロフツ
原題 Sir John Magill's Last Journey(1930)
訳者 乾信一郎
出版社 雄鶏社
出版年 1951/2/
面白度 ★★★★
主人公 ロンドン警視庁のフレンチ警部。
事件 アイルランド警察の要請で、フレンチはジョン・マギル卿の失踪事件を手掛けることになった。マギル卿は、息子のマギル少佐が経営する紡績工場のあるベルファストへ向かったまま行方不明になったのだ。調査を開始すると、マギル少佐の邸の近くで、頭部に強烈な一撃を受けた卿の死体が発見された。そして死の8−10時間前に睡眠薬を飲まされていたことがわかった。
背景 地図で確認しながらマギル卿の跡を辿っていくと、結構面白かった。船と自動車、自動車と列車の接触を利用したアリバイ・トリックが作られている。これを破るフレンチの努力は涙ぐましい。ただし前半は退屈である。またアンフェアの部分が一部あるようだ。

邦題 『地底の星座』
原作者 ピーター・チェイニイ
原題 The Stars are Dark(1943)
訳者 朝倉敏
出版社 英宝社
出版年 1951/7/1
面白度 ★★★
主人公 軍情報部に所属するクェイル。
事件 軍人のフェルズは女とドンチャン騒ぎを起して捕まった。罪は微罪だったが、クェイルは彼に会い、軍の機密文書を盗んだことにしてしまった。ドイツの情報部はこの情報に飛びつき、フェルズに接触をはかるが……。
背景 アメリカ風の軽ハードボイルドを得意とするチェイニイだが、この作家は、スパイ小説も書いている。題名に"Dark"という形容詞が入るスパイ小説はダーク・シリーズと呼ばれているそうだ。本作はシリーズの代表作らしいが、第二次世界大戦中に書かれているだけに、いま読んでもそれなりのリアリティが感じられる。冒頭の一章がラストの一章に対応している構成も巧みだ。

邦題 『彼等は霧の夜をえらんだ』
原作者 ピーター・チェイニイ
原題 The Stars are Dark(1943)
訳者 朝倉敏
出版社 英宝社
出版年 1951/10/1
面白度 ★★★
主人公 『地底の星座』と同じ人物。
事件 『地底の星座』と同じ内容。
背景 『地底の星座』の表紙をカットし、別題のもう少し硬い表紙をつけた本。つまり『地底の星座』は返品が多かった(?)ので、返品されたものの表紙だけを貼り替えたという作品である。昔はこんな詐欺まがいのことが認められていたのかと驚いてしまう。まあ、『地底の星座』という邦題では、恋愛小説と間違われることはあっても、スパイ小説と思う読者はほとんどいないと思うから、売れなかったのかもしれない。『彼等は霧の夜を選んだ』という題名の方が、確かにスパイ小説に相応しいとは言えるが……。

邦題 『木曜日の男』
原作者 G・K・チェスタートン
原題 The Man Who Was Thursday:A Nightmare(1908)
訳者 橋本福夫
出版社 早川書房
出版年 1951/5/
面白度 ★★
主人公 特にいないが、強いて一人だけ挙げるなら、題名になっている木曜の男、つまり詩人のガブリエル・サイムだろう。
事件 ロンドン郊外のサフロン・パークで、サイムは無政府主義者グレゴリーと知り合い、無政府主義中央会議に出席することになった。そこでは死亡した木曜の男の後任が選ばれることになり、あろうことか、グレゴリーではなく、新参のサイムが選ばれてしまったのだ!
背景 著者には長編ミステリーは2冊しかないそうだが、その最初の作品。逆説と諧謔がふんだんに入っていることで有名な作品だが、初読時(十代の時)にはその面白さは理解できなかった。最近再読したが、ミステリーとしての面白さはイマイチ。はっとする逆説は確かにあるが……。

邦題 『修道院殺人事件』
原作者 カーター・ディクスン
原題 The White Priory Murders(1934)
訳者 長谷川修二
出版社 雄鶏社
出版年 1951/1/
面白度 ★★
主人公 ヘンリー・メリヴェール卿(通称H・M卿)。ロンドン警視庁のマスターズ警部が協力。
事件 英国新聞界の大立者の援助で映画が作られることになり、女優のマーシャや監督、宣伝係などが白い修道院に集った。だがその夜マーシャは殺された。別棟で死体は見つかったものの、周囲は一面の銀世界で、発見者の足跡しかなかった。死亡推定時刻にはすでに雪は止んでいたから、犯人がどのようにして脱出したのか? これは、まさに密室殺人なのだ!
背景 このトリックは心理的なものでもあり、結構面白かった。しかし本書のカーの文章にはマイッタ。ガードナーやクリスティの書く会話と違って、すっと頭に入ってこないのだ。会話のテンポが私の体のテンポに合わないからか。また登場人物の恋愛問題も、あまり上手く処理されていない。

邦題 『シャーロック・ホームズ全集 第3、4巻』(『シャーロック・ホームズの冒険』)
原作者 コナン・ドイル
原題 The Adventure of Sherlock Holmes(1892)
訳者 延原謙
出版社 月曜書房(文庫版は新潮社)
出版年 1951(文庫版は1953/3/31)
面白度 ★★★★★(以下は文庫版に対するコメント)
主人公 シャーロック・ホームズ。10本の短編が収録されている(原書は12本であるが、本書では「技師の拇指」と「緑玉の宝冠」が割愛されている)。
事件 有名な「ボヘミアの醜聞」、「赤髪組合」、「まだらの紐」などを含むホームズ譚の第一短編集。すでに子供用のシャーロック・ホームズ物は何冊か読んでいたが、本書は中学生時代に友達から借りて読んだ。やはり「赤髪組合」と「まだらの紐」には大いに魅せられた。『シャーロック・ホームズの思い出』を自前で購入したのは、この短編集を読んだからだ。
背景 ミステリー・ファンなら当然読んでいるはずの短編集。ただ上記3本以外の短編はほとんど記憶に残っていない。私がシャーロッキアンになれないのは当然か?

邦題 『シャーロック・ホームズ全集 第7、8巻』(『シャーロック・ホームズの帰還』)
原作者 コナン・ドイル
原題 The Return of Sherlock Holmes(1905)
訳者 延原謙
出版社 月曜書房(文庫版は新潮社)
出版年 1951(文庫版は1953/4/16)
面白度 ★★★(以下は文庫版に対するコメント)
主人公 シャーロック・ホームズ。10本の短編が収録されている(原書は13本であるが、本書では「ノーウッドの建築師」と「三人の学生」、「スリー・コータの失踪」が割愛されている)。
事件 一度死んだ(?)ホームズが”バリツ”のお陰で甦った。その「空家の冒険」から、暗号短編として有名な「踊る人形」、「六つのナポレオン」を含む第3短編集。本書も中学生時代に購入して読んだはずだが、もう記憶があやしくなっている。本当に感心したのは「踊る人形」だけだったからかもしれない。この暗号はいろいろ他の”遊び”に使ったが……。
背景 「最後の事件」から「空家の冒険」までの3年間の空白は、シャーロッキアンの想像力をいたく刺激するのであろう。多くのパロディが作られている。

邦題 『シャーロック・ホームズ全集 第9巻』(『バスカヴィル家の犬』)
原作者 コナン・ドイル
原題 The Hound of the Baskervilles(1902)
訳者 延原謙
出版社 月曜書房(文庫版は新潮社)
出版年 1951(文庫版は1954/5/10)
面白度 ★★★(以下は文庫版に対するコメント)
主人公 シャーロック・ホームズ。長編としては第三作。
事件 あまりにも有名な作品。初読時の記憶ははっきりしていないが、多分講談社あたりの子供向けの一冊ではなかったかと思う。ただ読む前から、魔犬の正体などは知っていたはずだ。これくらい有名な作品だと、さまざまなところで粗筋が紹介されていたはずだから。
背景 延原訳の本書は高校時代に読んだはずだが、謎を知っていたこともあり、巨犬伝説などにはまったく怖さを感じず、あまり感心しなかった。当時の読書力ではデボンシャーの風景描写とか、犯人の心理描写などを楽しむ力はなかったのであろう。EQ誌時代になっても再読していないので、シャーロッキアンからは顰蹙を買うような評価かもしれない。まずは謝っておきます。

邦題 『オシリスの眼』
原作者 オースティン・フリーマン
原題 The Eye of Osiris(1911)
訳者 二宮佳景
出版社 早川書房
出版年 1951/5/
面白度 ★★
主人公 科学者探偵の元祖ソーンダイク博士。
事件 考古学界では知名人であったジョン・ベリンガムが行方不明となった。彼はいとこのジョージを訪ねて、彼の部屋から忽然と消えてしまったのだ。ジョンはかなりの遺産を残していたものの、風変わりな遺言によって、指定された土地に彼の死体を埋めない限り、財産を譲渡できないことになっていた。困り果てたジョンの弟はソーンダイク博士に助けを求める。
背景 トリックは人間消失に関するもの。本書が書かれた当時なら読者はある程度納得するかもしれないが、21世紀の人間にとっては眉唾もののトリックとしか考えられない。まあ、これが新訳で世に出ることはまずないだろう。世界傑作探偵小説シリーズで唯一改訳されていない作品。と書いたが、2016年にちくま文庫より新訳(渕上痩平訳)が刊行された(2016.10.28)。

邦題 『プレード街の殺人』
原作者 ジョン・ロード
原題 The Murders in Praed Street(1928)
訳者 森下雨村
出版社 雄鶏社
出版年 1951/4/
面白度 ★★
主人公 ランスロット・プリーストリー博士。
事件 プレード街は、ベイズウォータの繁華街に接した普通の街だが、ここで連続殺人事件が発生した。第一の犠牲者は青物商で、第ニの犠牲者はバン製造人で、さらには詩人も。そしてついには煙草小売商も犠牲者になった。彼らを繋ぐ輪とはなにか?
背景 謎解きの本格物と思って読み出した。テンポの早い展開で、結構サスペンスがあって前半は楽しめる。しかし後半はガタガタとなる。アリバイ・トリックにしても、一人二役のトリックにしても、安易な設定になっている。ただし作者の狙いは”ミッシング・リンク”テーマのサスペンス小説を書くことにあったようなので、そう考えれば腹は立たない。

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