邦題 『臨海樓綺譚』
原作者 ロバート・ルイス・スティーヴンスン
原題 The Island Night's Entertainments(1893)
訳者 島田謹二
出版社 新月社
出版年 1946/
評価 ★★★★
主人公 短編2本、中編1本からなる作品集。連作といった内容ではないので、主人公はいない。「ファレサアの濱」、「瓶の妖鬼」(中編)、「聲のする島」から成る。
事件 もっともユニークなプロットをもつ作品は「瓶の妖鬼」。小鬼が住んでいる瓶があり、この鬼はなんでもかなえてくれるが、この瓶を売らずに亡くなったら永久に地獄の火で身を焼かれてしまう。だが手放すには、買った値段よりも安く売らなければならないのだ!
背景 著者がサモアで書いた作品。その意味では土俗的な話なのだが、これが結構面白い。「ファレサアの濱」は冒険小説として、残りの二編はホラーとして楽しめる。話そのものはサモアの昔話なのかもしれないが、いま読んでも興味深い作品に仕上がっている。なお1950年に岩波文庫から『南海千一夜物語』(中村徳三郎訳)という題で出版されている。読んだのはその文庫である。

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