3回目の「アガサ・クリスティの足跡を訪ねる英国旅行」へ
(1日目)
竹村モモ子

 出発は9月2日(月)だったが、私の旅行はその前から始まっていたとも言える。私は2013年と2015年にも「アガサ・クリスティの足跡を訪ねる英国旅行」に参加したが、海外旅行およびイギリスについてあまり詳しくないこともあり、数藤さんその他の方々に詳細計画などをお任せし、私はほとんどついて行くだけだった。しかし今回は参加人数が前2回の10〜11名から半減し数藤さんと女性4名となり、しかも4名中このクリスティ英国旅行経験者は永嶋さんと私のみという状況では、今までのように暢気に構えてはいられない。『地球の歩き方』のイギリス編とロンドン編を購入し、インターネット検索に励んだ。
 グーグルマップにはずいぶんお世話になった。地図と航空写真、ストリートビューも大いに利用した。ストリートビューを何回も見たために、「初めてなのに見慣れた景色」だったという弊害もあったが。そして特にお世話になったのが、ルート・乗換検索。グーグルマップの左側に色々な機能を示すアイコンが表示されるが、そのうち「ルート・乗換」を選ぶと2地点間の経路が表示される。移動手段(自動車、公共交通、徒歩etc.)を選ぶことができ、「詳細」を選ぶと乗り換え情報やバスなどの路線名も表示される。さらに下の方に鉄道会社やバス会社が表示され、それぞれを選ぶと時刻表や切符購入情報がわかるようになっている……ということが最初から分かっていたわけではなく、グーグル地図を眺めているうちに徐々に判明したという次第である。
 ところがインターネットでの事前調査に慣れて最後の仕上げとなるはずの出発1週間前に、私は風邪を引いた。微熱と倦怠感と咳という程度なので市販薬で凌ぎ、微熱と倦怠感は3日で大体回復したが咳はその後旅行中そして帰国後まで続いてしまった。
 それでも9月2日を迎えた。集合は成田空港第2旅客ターミナル3階に11時30分、出発便は英国航空BA006便で13:55発である。私は松さんと大崎からのバスを利用し1時間20分ほどで空港に着いた。ホームが地下にある成田エクスプレスと比較しバスは安い上にターミナル3階に着くので大変都合が良い。ターミナル3階の北団体カウンターに数藤さん以下5名が集合して、両替など済ませ、吉田さんと私がお財布係として皆さんから300ポンドずつ集め、ゲートに向かった。


成田空港でBritish Airwaysに搭乗

 飛行機は10分ほど遅れて出発。私の席は前日に英国航空のホームページから予約したが、エコノミー最前列(前が壁)の中央部の通路側である。この席は前に席がないので脚を伸ばしやすく気楽でよいのだが、前の席の下に荷物を置くということができないので荷物は原則常に上部収納部に入れなければならない、ディスプレイは座席アーム部分に収納する方式なのだが、これが硬くて自分で出し入れできず乗務員にお願いしなければならないなどの不便があった。席の右側が通路で左の席は幸いに空いていた。今回私は頻繁に咳をするので隣に人がいないのはありがたかった。もちろん機内では常時マスクを着用した。
 離陸時荷物を上部収納部に何とか押し込むことはできたが、水平飛行に入って荷物を一部取ろうとするがロックに手が届かない。近くに乗務員は見当たらないし、どうしたものかと困っていたら一つ置いて左隣の席の背の高い青年が手を貸してくれた。金髪を後ろで束ねたこの青年はイギリスに帰るのかと思ったら、日本に住んでいてイベント開催のため1か月程度イギリスに行くのだという。彼の日本語の方が私の英語より上手であることが明らかだったので日本語で話した。英会話練習の機会を逃したわけである。彼のロンドンでのイベントはある種の日本映画の紹介ということなのだが、どんな映画? と聞いたところ、「大島渚とか(他は知らない名前)……」で内心「古いな……」と思ったが、我々の旅行は「アガサ・クリスティの……」と話したのであちらも「古いな……」と思ったことだろう。
 とにかく無事に夕方6時半頃ヒースロー空港に到着。自動化ゲートでの入国審査はスムースに済んだが、パスポートにスタンプが押されないのはちょっとさびしい。ヒースロー・エクスプレスのパディントン(Paddington)駅までの往復乗車券を購入し、オイスター・カードを購入したりチャージしたりした後、ヒースロー・エクスプレスに乗車、20分ほどでPaddington駅着。
 前回2015年はイスラム・テロが増加した時期だったためかPaddington駅で物々しい武装警官の姿に驚いたが、今回はそういうこともなく平穏だった。行く前はEU離脱問題の影響を少し懸念していたがイギリスについてからは表面的には全く問題なくその後も平穏に旅を続けられた。
 Paddington駅で明日以降の列車チケット合計36枚を購入した。チケット購入は永嶋さんと松さんが担当。他の3人は売り場の隅で待っていたが、チケット購入窓口は前回2015年から位置も形も大きく変わっており、コンピューター化が進んでいるように見えた。その後、スーツケースを転がして徒歩約10分でホテル(Hilton London Metropole)に到着。時間が遅かったので、団結式(サンドイッチパーティ)は省略し各自部屋に引き上げた。部屋には6日目(9月7日)に行く予定のハロゲイト(Harrogate)の「SPRING WATER」のペットボトルがあり、うれしくなった。いよいよ旅が始まる。


Paddington駅の切符売り場


Harrogateのミネラルウォーター(左)

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