担当者の苦労・印象記

(1)お財布係
 私は2015年の旅行以来二回目のお財布係であった。今回は吉田さんと担当したが、最初に吉田さんに支払いの記録をお願いした。細かい支払いは私が担当するはずであったが、最初に集めた金額の半分ずつを二人で預かったため後半は支払いもすべて吉田さんにやっていただくことになった。吉田さんが収支をきっちり記録してくださり、二回目の私がかなり楽をしたと反省している。吉田さんの会計記録は旅行の行動記録にもなっており、参加者にとって貴重な資料となった。
 ところでグループ旅行では、特に「お財布」すなわち旅行中の支払いをどうするかは問題となりやすい。この旅行では前二回と同様に数藤さん提案による方法、最初に費用をポンドで徴収し共通費用を現金で支払うという素朴な方法だが、これは良い方法だった。特にロンドンはキャッシュレス化が進んでいて、タクシーやレストランで現金払いを断られるのではないか、との懸念があったが、その時は臨機応変に望むという方針で(つまり何も対策せずに)出発した。しかし旅行中レストランでもタクシーでも現金払いを断られることは一度もなく、現金払いで通すことができた。一応の予算を算定したにもかかわらず、途中で追加徴収しその後返金するという事態になったが、メンバーの方々の協力をいただき何とかお財布係を務めることができた。  (担当@竹村モモ子)
 初めての海外旅行、英会話ができない上にイギリスの紙幣もコインも見たことがない私に、おサイフ係が務まるのだろうかという不安。しかし、予め二人の大まかな役割分担(支払いは竹村さんが、記録は私が担当)が決まり、だいぶ気持ちが楽になった。とりあえず、100円ショップで大き目の財布をいくつか購入し、メールで送ってもらったコインの写真を印刷し、じっと眺めてみる。2シリング硬貨が異様に大きい反面、5シリング硬貨は小さく、色の違いはあるものの1シリング硬貨と間違えそうである。実物は摩耗していて写真よりも分かりにくいと聞き、ますます不安になる。この不安は的中した。つい額面が分かりやすい紙幣を使ってしまい、コインが徐々に増えてくる。財布が段々重くなる。これはいけないという訳で、中盤からはなるべく小銭を使うことに。つまり店の人に手持ちの硬貨を提示し、選んでもらう作戦である。主な段取りやチップをどうするかなどは竹村さんがやって下さったので、苦労はあまりなかった。その日の収支をその日中に記録することだけ心掛けた。  (担当A吉田明子)

(2)切符購入係(イギリスの鉄道と切符の話)
 この旅では、いつも何らかの担当がある。今回、私は切符購入係を拝命したものの「これはやっかいなことになった」と思った。というのも第2回の旅に参加した際、担当者の方がかなりの交渉力で割引交渉をしたり、工夫して切符を購入されていた。私はただ見ているだけで「すごいな!」と感心していた。でも私なりの対策として、事前に列車時刻表や旅のガイドブックなどを調べてみた。予約チケット(Advanced):これは格安で半額近くなることもあるが、前払いでキャンセル無効。往復切符(Return):断然お得! シニア割引:シニアカードを購入しなければならない。グループ割引:3−5人。ラッシュをさける時間帯(Off peak):どれが該当するか判断できにくいうえに、Off peakの切符で、そうでない列車に乗ると罰金を取られることもあるようだ。
 といった学習をした上で、まずHeathrow空港でHeathrow Expressの往復を買う(有効期限は1か月)。飛行場から出てくる通路脇に簡易の販売所があるので、そこで買った。グループ割を適用してくれた。続いてOyster Cardの購入とチャージ。4年前はカウンターがあり相談できたが、今回はなかった。各自で自販機と悪戦苦闘の末、全員購買完了。あまりに夢中になっていて、気づいたらトランクがない! 「 えーっ!」 少し先の広場に3名の屈強なガードマンが立っていて笑っていた。「ロンドンでは油断しちゃいけない。荷物から目を離しちゃ危ないよ。」と言って笑っている。彼らの輪の中にトランクがあった。ぺこぺこと謝って3人の記念撮影をして、無事にHeathrow Expressに乗った。笑いごとで済んで良かった。
 次はPaddington駅構内のTickets Office へ直行。列に並んだら、さほど待たずに窓口へ呼ばれた。浅黒い、中年の気さくな女性だった。数藤さん作成の購入切符一覧表を見せて、一通り説明すると「わかったわ、この通り発券すればいいのね。グループ割でやるから、大丈夫。Chilworthの行程は1人なのね」と理解も早い。
 私は、このルートで乗り換え時間や移動時間は大丈夫か、さらなる割引は出来るか、もっと良いルートはあるかなどを聞いた。1か所だけ列車をずらしたほかは変更なし。発券中は「どこから来たの? えーっ 日本? 行ってみたいわ! 何時間かかるの?」 「来るときは11時間40分だったけど帰りはBAのpilots strikeにぶつかってカタール航空(Qatar Airways)に代わったから、ドーハでのトランジットも含めると16時間ぐらいかかる」 と言ったら、 「Qatarは今人気の航空会社で、世界一のランクを何度も貰ってるのよ」 と教えてくれた。機械の音がその間もガチャンガチャンとなっていて、全部のチケットを出してくれた。一枚ずつ確かめて、ニコニコ顔で渡してくれた。「Thank you. You're Perfect!」とほめて、やれやれ私の課題、ドキドキのチケット購入は完了した。ところが事件は、9月7日の朝、Oxford駅で列車に乗り込む直前に起きた。詳細は(8)に書いた通りだが、大げさに彼女を褒めたものの一つ一つ照らし合わせてチケットをチェックしなかったと、反省しきりだ。 (永嶋郁子)

(3)一般交渉係(ハロゲイトのイギリス人女性)
 妻にするならばイギリス人女性が良いと言う人がいるが、なるほどHarrogateで出会った女性の印象は良かった。観光客が少ないため、ロンドンやオックスフォードとは違って街は人通りが少なく、地元の方々と話す機会がたびたびあった。6名の方がCheng Man-Chi'ing Tai Chi37をValley Garden のPavilionで練習していた。日本では余り見かけない型の太極拳だったので写真を撮らせていただくと、金髪の綺麗な女性が親切に説明し、演じてくれた。毎週土曜日に練習をしていて、そのほかの日の午前中にも練習しているとのことだった。Pavilionは広く見晴らしも良い。呼吸法が大切な太極拳にとって、とても良い環境だった。他にも二人一組で太極拳の練習をやっていた。またCrown Hotelの近くでは、高齢の女性二人が同じような色、デザインのジャケットとズボンを着て立ち話をしていたのが目に留まった。私たちが昼食をとっていると、彼女たち二人もPalm Court Cafeに現れた。小さなテーブルを囲む様子から、昔からの仲の良い二人だと感じた。偶然にも帰りのレジで二人と一緒になり、少しばかりおしゃべりができた。Harrogateに住んでいる従姉妹同士で、だから雰囲気も顔立ちも似ているのだと言っていた。静かで落ち着きのある話し方が、以前日本のテレビで観たイギリス人英語教師「京都大原に住むベネシアさん」のようであり、暖かい感じを受けた。日本に興味を持っているとのことだったので、もう少し長くお話が出来たら良かったと少し残念に思った。 (松ユキ子)

三回目の一人だけのティー・ラウンジ
■本号は、機関誌「ウィンタブルック・ハウス通信」の臨時増刊号(No.3)として発行しました。4年振りの機関誌発行なので、一部の作業は思い出すのに時間が掛かりましたが、楽しみながらの編集ができました。
■今回の旅行は、私のパスポート有効期限満了日が近づいたので、思い切って計画したものです。「これが最後の旅行になるかもしれません」と宣伝したためか、当初は参加希望者が12名にも達し、こちらがビックリ。でも時間が経つととともに参加希望者も冷静になったようで、自己の体調の心配や両親の介護のために辞退者が出始めました。また訪問先がNewlands CornerやNether Wallop 村といったマニアック過ぎる土地があったため、初参加者には魅力の不足した旅行と思われたのか、この点からも辞退者が1‐2名ありました。
■とはいえ8名ほどの参加希望者が残ってくれましたので(日航の場合、飛行機の団体旅行扱いは6名まで)、安心して旅行計画の詳細を煮詰め始めました。ところがこの段階で、予想外の辞退が相次ぎます。
■まずオックスフォード訪問を最初に提案された人が仕事の関係で連休がとれずに、次にオックスフォード情報を熱心に調査してくれた検索名人も同じく仕事の関係で辞退となる始末。そして最大の誤算は、オックスフォードやブレナム宮殿を訪れるための具体的な計画作成をお願いしていた人が、なんとフローリングの室内で転倒し、足指骨折で参加が不可能になったことでした。つまりオックスフォードに関係すると、その人は旅行困難になる現象が続発したのです。まさに「オックスフォードの呪い」にかかったと言ってよいでしょう。
■唯一思い付いたことは、昔ハリー・ポッター・シリーズ(文庫版)の第4巻『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の巻末解説を書いた際、クリスティとJ・K・ローリングを比較して、ローリングは国民作家クリスティにはまだ及ばないようだと言及した程度。結局、不安を抱えたままオックスフォードに3日間も滞在したのですが、ブレナム宮殿で樹の幹に大きな空洞のある巨大なレバノン杉を見つけて納得しました。映画「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」に登場するこのグロテスクな巨木が悪さをしていたのです! 「ローリングさん、すみません」と謝ったら呪いは消え、以後は偽警官に捕まっても被害ゼロで、代替飛行機が中近東上空を通過しても撃墜されずに帰国できました。計画段階から、なんともスリルに富んだ英国旅行だったというわけです。


ハリーポッターの映画に登場する巨大なレバノン杉
■今号の表紙も、これまで同様、高田雄吉さんにお願いしました。また小西由紀子さんを始め関西支部の皆さんには情報提供などで助けられました。また大阪方面には足を向けて寝られません。ありがとうございました。
■本号は「元の会員」には勝手に送らせてもらいました。もちろん無料です。(S)

 ・・・・・・・・・・ウインタブルック・ハウス通信・・・・・・・・・・・・
☆ 編集者:数藤康雄           ☆ 発行日 :2020.3.31
            三鷹市                ☆ 会員は無料:その他の人は300円
☆ 発行所:KS社            ☆ 振替番号:なし
                       ☆ 名 称 :なし


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