ひとりスコットランド・ヤード探索(8日目:ロンドン警視庁班)   木村仁

 ロンドン塔を出て、水上バスに向かう野村さんたち4名を見送り、ひとりスコットランド・ヤード探索に! ロンドン警視庁本部はその昔、スコットランド領主の屋敷跡に建っていたため、そう呼称されるのだという(戸塚さんの話)。2代目以降は移転したので、ニュー・スコットランド・ヤードと呼ばれる。現在は3代目で旅行ガイドの地図によると、ウェストミンスター寺院の正面を通るVictoria St.に面している。と思ったのは勘違いで、建物の背面であった。ぐるりと正面に回る。"NEW SCOTLAND YARD"の回転する看板があるが、ごく普通の近代ビルであった。失望を感じる暇もなく、2代目の探索へ。ガイドブックに載っていないので、昨年訪れた川本さんから御教授を頂く。テムズ川に沿ったビッグ・ベンの向かいの区画、2番目の赤レンガのビルである。川を挟んで、ロンドン・アイとほぼ同じ位置にある。2代目は1890年から1967年まで。ここにポワロやジャップ警部が出入りしていたと思うと感無量である。残るは初代。娘からのネット情報を頼りに、ビッグ・ベンを背にWhitehall St.をトラファルガー広場に向かって歩く。広場に着く3つ手前の辻を右に入り、少し歩くと"GREAT SCOTLAND YARD"の表示が見つかった。


旧スコットランド・ヤード

1829年、スコットランド・ヤード創設の場所である。ホームズ『緋色の研究』の時はここである。これで捜査は終了、夕食の場所に向かう。レスター・スクエアの"Treadwell's"である。店名は『七つの時計』(近所にSeven Dialsという環状交差点がある)に登場する執事の名にちなんで、著名なシェフが命名したと聞く。どんなA級料理が待ち受けているのか。七つの時計が6時を指す直前、私は店のドアをゆっくりと開けた……。


レストランTreadwell'sの入り口

元に戻る