■ローマ字相談室(2000年 8月分)

■「■ローマ字相談室」の掲示板のアーカイブ分です。1か月ごとにまとめてあります。■ローマ字以外の話題については「◆春猫掲示板保管庫」へ。

第1.2版 (2001年2月12日発行)

編集者: 初井薫(はつい・かおり)
発行: 春猫連続体(はるねこれんぞくたい) (大阪府)
Published in Japan.

目次

  1. (31 Aug 2000 01:38:34)■kohさんの質問への回答■ by 海津知緒
  2. (30 Aug 2000 15:30:15)■書き方で質問■ by koh
  3. (14 Aug 2000 03:32:53)■リニューアルのおしらせ■ by 海津知緒
  4. ( 1 Aug 2000 15:23:08)■(無題)■ by 影のローマ字否定論者
  5. ( 1 Aug 2000 01:34:23)■字音の日本語の音韻への影響■ by 海津知緒

ローマ字相談室(2000年 8月分)


(31 Aug 2000 01:38:34)■kohさんの質問への回答■ by 海津知緒

(整理番号: 62)

kohさん、こんばんは!

さっそくおこたえします。

>長い間利用し個人的に愛着のある「kohichi」でも正式表現と
>して認められるのでしょうか??

なにをもって「正式」とするかによりますが、パスポートではことしの
4月1日からみとめられるようになりました。

>1 会社でメール登録の再整理があり「koichi」から「kouichi」になって
>しまいました。「kohichi」への変更申請を行いたいのですが根拠がありま
>すでしょうか??

パスポートが「KOHICHI」ならば、これがいちばんの根拠でしょう。公的規格
では、ほかに「KOHICHI」になるようなものはありません。くわしくは、この
サイトの「■ローマ字相談室」内の「■ローマ字のいろいろ」
http://www.halcat.com/roomazi/iroiro1f.html
をご参照ください。

>2 パスポートは変更前の本年2月頃に取得しましたので「koichi」でした
>が、次回には「kohichi」で申請しようと思っております。こちらは如何で
>しょうか??

「氏名の長音表記申出書」というものを提出すれば可能です。ただし、いち
ど「KOHICHI」にしてしまうと、「KOICHI」にはもどせないようなので、
影響をかんがえて慎重におこなう必要があります。クレジット・カードの
刻印も同時にかえたほうがよいでしょう。サインをローマ字にするなら、
そのつづりもあわせておかないと海外でトラブルの原因になります。ほかにも
ビザや、海外銀行口座、航空機のチケットなど、すべてつづりをあわせたほう
がよいでしょう。

また、いまのパスポートの有効期限をまたなくても変更可能のようです。
ただし、新規のときとおなじ手数料がかかり、あらたに発行しなおしになる
ようです。

くわしくは、たとえば
http://www.pref.aichi.jp/kokusai/index-2.html#choon
をご覧ください。

■ローマ字相談室 海津知緒


(30 Aug 2000 15:30:15)■書き方で質問■ by koh

(整理番号: 63)

ご回答宜しくお願い致します:

名を孝一と云います。カタカナでの振り仮名は「コウイチ」です。ローマ字で表現する場合は、長い間利用し個人的に愛着のある「kohichi」でも正式表現として認められるのでしょうか??。

1 会社でメール登録の再整理があり「koichi」から「kouichi」になってしまいました。「kohichi」への変更申請を行いたいのですが根拠がありますでしょうか??

2 パスポートは変更前の本年2月頃に取得しましたので「koichi」でしたが、次回には「kohichi」で申請しようと思っております。こちらは如何でしょうか??


(14 Aug 2000 03:32:53)■リニューアルのおしらせ■ by 海津知緒

(整理番号: 70)

じつはこのたび、ドメイン名「halcat.com」を取得しました。

それにともない、以下の変更をおこないました。

・このサイトのURLを http://www.halcat.com/に変更。
・このサイトの作者である同人組織のなまえを「春猫連続体」に変更。
・このサイトのなまえを「★春猫連続体★」に変更。
・「●知庵」は海津知緒の個人ページのなまえになる予定。

というわけで、トップ・ページのデザインも一新しました。

ほかのページのデザインもすこし変更しました。いかがですか??

春猫連続体 代表 海津知緒


( 1 Aug 2000 15:23:08)■(無題)■ by 影のローマ字否定論者

(整理番号: 74)

 たしかに、現代中国語をみてみても音韻などはとても複雑で、発音がとても難しいですね。やはりそれらを考えてみても日本語に取り入れる際は簡略化されるのはやむを得ないことだったのでしょう・・・。それにしてもこういう研究をすればするほど中国からの文字文化の恩恵って大きいなあ。思わされる毎日です。
そういった意味でも私は中国が大好きです・・・。
これからも頑張って研究つづけていくつもりです。
ありがとうございました。


( 1 Aug 2000 01:34:23)■字音の日本語の音韻への影響■ by 海津知緒

(整理番号: 75)

影のローマ字否定論者さん、おいそがしいところコメントをありがとうございました!

「唐音」「漢音」ということば、影のローマ字否定論者さんは、文字どおり、
「中国の唐の時代の発音」「中国の漢の時代の発音」という意味でおつかいに
なっているようですね。一般の辞典・事典と、研究の第一線の場では、つかい
かたに違いがあるのかもしれませんね。

遣唐使の時代以前の日本に言語がなかったということはかんがえにくいですから、
表記法がなかったということなんでしょうね。過去の言語の状態は、文書として
のこっているものから類推するしかないですから、それ以前の日本語がどのよう
なものであったかということは、たしかにわからないでしょう。

漢字音を日本語にとりいれるにあたっては、やはり、もともとは複雑な音韻
構造をもつおとを、日本語のどちらかといえばシンプルな音韻構造にあてはめ
たために、かなりの簡略化や同一化がおこなわれたようで、それが同音異義語
をたくさんつくる原因にもなったようですが、日本語の音韻構造にあたえた
影響もあるようです。

以下、野村雅昭・小池清治(編)『日本語辞典』(東京堂出版、1992)からの引用
です。

---引用はじめ---
字音 じおん

 漢字の中国における本来の発音を日本語の音韻体系の中に同化させた発音。
字訓とともに漢字の読み方として意識される。
(中略)
 中国語では現代でも、漢字は一字一音節の文字である。日本語では、それを
一音節または二音節の単位として受け入れた。また、閉音節のものも開音節に
変形していることが多い。主な変形には、重母音を単母音化したり二音節の母
音にしたりしたこと、語頭の複雑な子音を単純化したこと、語尾の-m・-nをン
として合一したこと、同じく-ngをウまたはイとして取り入れたこと、入声音
(にっしょうおん)(母音の後に発音の停止がある音)の-p/-k/-tを、フ(後にウ)
/ク・キ/ツ・チとして取り入れたことなどがあげられる。このような変形は
あるものの、漢字音の流入は日本語の音韻体系に撥音・促音の成立、音便の発
達、語頭における濁音・ラ行音の許容などの大きな影響をもたらしたとされる。
(以下略)
---引用おわり---

注: 上記引用文中、「ng」は、原典では「η」のたてぼうをまっすぐにして最
後のところを時計まわりにくるっとまるめたかたちの記号(軟口蓋鼻音をあらわ
す記号)です。

おかげで勉強になりました。どうもありがとうございました!

■ローマ字相談室 海津知緒


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