バーンと派手な音と共に扉が開いた。
その向こうには色とりどりの大きな花束を抱えたディーノさんが立っている。
ディーノさんは毎年、誕生日の度にこうしてオレを尋ねてくれる。
そして、その大きな花束に負けないくらいの綺麗な笑顔で言ってくれるんだ。
「Buon Compleanno! Tuna!」
「Grazie.Don Cavallone.」
「Prego.ほんと上手くなったよな、イタリア語」
「お褒めの言葉ありがとうございます。あと誕生日のお祝いも」
「勿論プレゼントだって用意してるぜ?」
オレ達が灯す指輪の炎の色と同じ、鮮やかなオレンジのリボンが結ばれた箱。
箱をあければ予想通り漆黒のタイが入っている。
これも毎年恒例で、思わず笑いが漏れる。
「違うものの方が良かったか?」
「いいえ」
オレの返事に「そうか」と優しく見守るように笑ってくれた。

それを見ながら、オレは初めてタイを貰った時を思い出す。
今から9年も前の事だ。
あの時のオレは高校受験真っ最中で、やっぱりマフィアのボスになんかなる気は全くなくて。
嬉しいって思う反面で、余計なものをと迷惑にも思った。

だけど月日が流れて、オレの世界は変わっていき、結局オレはボンゴレ10代目を就任する事になった。
就任式はオレの20歳の誕生日だった。
緊張でガチガチになっていたオレに兄弟子はいつもと変わらぬ明るい笑顔で現れた。
「Buon Compleanno! Tuna!」
差し出された6本目のタイ。
それを直接オレの首につけてくれながら言ったんだ。
「大丈夫だ、ツナ。お前は一人じゃない」
体があったかくなるのと同時に、スっと力が抜けていくのを感じた。

あれから更に月日は経ち、今では『Vongola decimo』と呼ばれる事にすっかりと慣れてしまった。
そんな中で変わらないものが確かにあって…
ディーノさんは知っているんだ。
あまりにも目まぐるしく状況が変わっていくこの闇の世界で、変わらないものがどれだけ嬉しいかって事を。
だから……
「本当にいつもありがとうございます」
形には残らない、けれど、とても大切なものを毎年くれる兄弟子に、心からの感謝と敬意をこめて。

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お誕生日おめでとう、ツナ!
おおっ、珍しく祝ってるよ私!(笑)
という訳で、このまま爽やかに終わりたい方はSSTOPへorプラウザバックで!
…色々ダイナシな続きありますが読みます? 
気になる方は『続きを読む』でどうぞ!

ssとか TOP?
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