「相談したい事がある?」
「ああ」
彼らのボスが逢瀬を重ねる夜半頃、時を同じくしてbQ達はいつもの屋台で
交流を深めていた。
「ま、他ならぬお前の悩みだ。いいぜ、何でも話せよ」
「いや、この間たまたまオッサンのボスに会ったんだが…」

草壁の話はこうだった。
恭弥の命令で風紀委員会の活動費を徴収したいた時の事だ。
最近ではすっかり見慣れた金髪がたった一人でフラフラしているのを発見した。
しかも治安の良くないわき道に入ろうとしている。
それを見た草壁は大いに慌てた。
雲雀からディーノが部下がいないとへなちょこという話を聞いていたからだ。
もしこのまま見過ごしてディーノがガラの悪い連中に絡まれたら雲雀から咬み殺されるのは必須。
そしてそれは同時に雲雀の信頼を失うという事にもなる。

止めなくては!と声を掛けようとして、ハタっと気づいた。
一体、彼を何と呼べばいいんだ?
彼は仮にも上司の恋人だ。まさか呼び捨てという訳にはいくまい。
かと言って「ディーノさん」と呼ぶのもいけない気がする。
何故なら雲雀は彼を「跳ね馬」と呼んでいるからだ。
なら「跳ね馬さん」? いや通り名に「さん」をつけるのもどうだ?
グルグルと悩んでいる内にディーノはどんどんと歩を進めていく。
ああ、早く呼び止めないと…
「あっ、その……おいっ!」
「おっ、誰かと思えば草壁じゃないか!」

結局、その時はそれで呼び止める事に成功し事無きを得た。
だか後からよりにもよって「おい」はないだろう!と大いにへこんだ。
それに次もそれで気づいてもらえるとは限らないのだ。
今の内に打開策を考えないとと思い、思い切ってロマーリオに相談する事にしたのだが…
「何だ、そんな事かよ」
「そんな事とは何だ!こっちは真剣なんだそ!」
「別にそのまま呼捨てで呼べばいいだろうが」
「そんな訳にもいかんだろう!」
「あのな、考えてもみろ。オレだったお前のボスを呼捨てで呼んでんだぞ?恭弥ってな」
「あっ」
「それにオレらイタリアーノはよっぽどの相手じゃねーかぎり、人を呼ぶ時は呼捨てなんだよ」
「あっ」
「な、悩む話じゃねーだろ?」
それ以来、草壁がディーノを呼ぶ時は呼捨てで呼ぶようになった。


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という訳で、やっとしっくりくる理由を思いついたので書いてみたですよ、というのは建前です。
本当はロマーリオと草壁が書きたかっただけです



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