The biography of Gou Yuehua

04-03/14

3.憩のひととき

 夏の夕食後の散歩は私達の楽しみの1つだった。よく先輩と手を取り合って、新緑の美しい畦道や、小川のそばをぶらぶらしたり、野花が満開の岡に登って、清清しい気分を満喫したりしたものだ。

 そして夜はみんなが宿舎の2階のベランダに集まって納涼大会を開く。この納涼大会では、先輩の陳学青さんが主役を買って出るのだった。彼の"演説"は、海のことから宇宙のことまで面白く話題が尽きない。さらに試合の経験や、エピソード、卓球史上の逸話など、とうとうとしゃべりまくる。でも時々、みんなから質問も飛び出す。

 「私達のレベルは、あまり上だとは思わない?」

 「このまま練習していてもどうかな、将来の望みがあるのかどうか」

 こういう時には陳さんは決まってお世辞を言ってごまかすのだが、それはみんなに自信を持たせる事になるのだから別に悪く思わない。

 ところがある日、彼は私の技術を誉めた後、年下の林永楽さんを引き合いに出して、「林さんは郭躍華より手首の使い方が上手いから将来性が大きい」という結論に達した。これを聞いて、私は顔が真っ赤になり、穴があったら入りたいくらいだった。この晩、お喋りの後、京劇斉唱の時も私はどうしても声が出なかった。

郭躍華自伝04***大好きだった卓球***

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