Lovely as the full moon

誰かの放った明かりが、刻まれた文字を浮かびあがらせる。
暗く湿った遺跡の最深部、床に刻まれた魔方陣の中央に立つ碑石。
その碑石から等間隔の距離を置いて、ぐるりと円を描いて置かれた三つの台座。

二人のハーフトレントの血を用いて開けた、遺跡への扉。一人の人間の血、獣人の血、エルフの血を用いて得た三つの宝玉。
――そして、目の前の石碑が要求している血は「半獣人の血」。

曰く、
<遺跡に眠る三つの輝きを捧げ。
獣と人の交じり合った証を我に捧げ。
さすれば次なる扉開かれん。>

偶然か、否か。彼らは全てが揃っていた。
指先の、柔らかな肉を突いてにじみ出た血の雫一つで、この魔物も罠も、何もない遺跡を攻略してきた彼らは疑うことなく石碑に従う。
そして、ピンクのしっぽを揺らして、戸惑う彼女は、どこか不安げに、促されるままに血をたらした。

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Ch.1始まりの魔方陣
Ch.2不穏の影
Ch.3ウィノナという子
Ch.4スワン邸にて


Hollow eyes as the dark moon

大きな窓で切り取られた夕暮れの光が部屋に落ちる。
外から聞こえる、子供達の笑い声に、いつからだろう。激しい憎悪と苛立ちを覚えたのは。
制限のかけられた、この体が。見えない鎖の枷に巻かれたこの体が。
恨めしい。 ああ、恨めしい。

それでも貴方は笑いかける。
私と同じ顔で笑いかける。
安易に確約のない言葉を投げつけてくる。
だから。
私の変わりに世界を見てきてと。
私の変わりに外に出てと。
遠ざけた。
笑う貴方の顔がいらだたせるから。
笑う私と同じ顔に殺意を覚えたから。

――でも、それもこれで終わるわ。
これが終われば、私も笑えるわ。
貴方と同じ笑顔で。
私の顔で、その笑顔が作れるわ。

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Ch.1守る、ということ
Ch.2神殿へ導く魔方陣
Ch.3銀竜の神殿:A:
Ch.4銀竜の神殿:B:


Tattletale as the crescent

遠い国々の、遠い記憶を私は知っている。

蒼い世界。広がる、小さき者たちの世界。
繁栄し、進化し、衰退を繰り返す弱きものたち。
神々は彼らを寵愛し、時に導き、時に裁きを下す。
悪魔達は彼らをあざ笑い、時に贄とし、時に駒とする。
神々が眠り、悪魔達は影を潜め、――それでも蒼い世界に住まう者達は、記憶を紡いで夢を見る。

小さき羽を持つものを愛するテュケリアース。
いかなる未来をも受け入れるものを愛するシュレビアーク。
双子の女神よ。
貴女方が寵愛する、この小さき魂が汚されていても。
私には、何もできないのです。
――私には、長い時の中、蒼き世界に住む者たちにしてきたように。
いつも、そうしていたように、
ただただ、見守ることしか、できないのです。

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Ch.1青の記憶
Ch.2混ざり物の命
Ch.3血の記憶の解放
Ch.4共に在るということ


From.GM

 - 目標
ウィノナ組みにウィノナの生態の開示。
 - 挨拶
とんでも設定に3話もつきあっていただいて、本当にありがとうございます。
もともとNPCで出した子ですが、運良く新人パーティーに入り込め、とてもかわいがっていただけたのがうれしい限り。
設定上、体の成長した彼女を出すことはこの話で以外考えていませんが、まだまだ成長途中のウィノナをこれからもよろしくお願いします。
卓後感想は、ずいぶん前なので薄れていますが、キャンペーンが終わったあとの爽快感と安堵感はすごかった記憶があります。
日程を詰めすぎて、準備の至らないところ、思うように話に絡ませられなかったところ等もありましたが、
当初の目的は達成できているので、よかったかな。
ぽつぽつと他ウィノナ関連も立てていけたらとおもいますが、ウィノナ組みの他メンバーの話も楽しみです。
彼女と、そして彼女と一緒にいてくれる仲間たちの成長を最後まで見届けられたらと思います。
それでは、話に参加してくださったプレイヤーさんも、そうじゃないプレイヤーさんも、
稚拙なリプレイではありますが、楽しんでいってください。

また、一部セリフなどの流れの改変、修正を行っていますのでご了承ください。
何かありましたらGMまでよろしくお願いします。