タタミ一枚線路の旅【レイアウトへの道のり〈23〉】 ヤードの仕上げ

おことわり
このページのターンテーブル制作の箇所にある、『AROS Electronics』というメーカーは現在では存在しません。その箇所は、『過去にはそういうものもあったのだ』という認識でお読み頂ければ幸いです。


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本線・リバース分岐セクションと工作を進め、とうとう残るはヤードセクションのみとなりました。今回はシーナリィ工作の他に、電気配線の仕上げとターンテーブルの組み込みを行なうことにしました。

電気配線は、アナログとDCC双方に対応しようというのが第一です。基本的にはアナログ運転用の配線をちゃんとすれば、そのままDCCで使用できますが、このレイアウトではDCCでのリバース区間の運転にリバースユニットを使っているので、アナログ運転時にはそれをバイパスする配線をしなければいけないようです。

それから、分割式台枠なのに配線を台枠の分割に合わせていなかったので、その辺もきちんとさせることにしました。

ターンテーブルは運転を面白くするために何とか設置したかったものです。良さそうな駆動装置を見つけたので図の位置に組み込むことにしました。直径は約200mm。Nゲージのターンテーブル並の小ささで、瞥渡線で使われている機関車の車輪がやっと乗る位のものです。


『ちゃんと』と言いつつこんな市販品を使ってしまうのは何ですが…(^^; ベランダレイアウトで使っていたアトラスのスイッチ類を使うことにしました。4つ連結しているうちの、左の2つが"CONTROLLER"。一番左がターンテーブル用、隣がリバース区間用の極性切り替えスイッチです。右の2つが"SELECTOR"。上図の番号に対応したブロックスイッチです。5番の下に"P"とあるのは、この区間をDCCのプログラム線路としても使用することをあらわす表示です。一番右の"CONNECTOR"はリバース区間内にある向洞爺駅用のブロックスイッチです。これらを使うことで、図らずもデュアルキャブコントロールになっています。
"CONNECTOR"の下の怪しいスイッチは、左がDCCのリバースユニットのバイパス用、右が5番の線路の、走行とプログラムの切替用となっています。真ん中は…、間違って穴を開けてしまったのでスイッチを付けてはいますが、どこにもつながっていません。飾りです(笑)

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セクション間の電気接続にはピンプラグを使いました。


ポイントマシンは全て、台枠裏に設置しました。以前掲載した写真が不鮮明だったので、これを機にもう一度お見せします。といっても複雑なことをしているわけではありません。マシンの作動腕に太目のピアノ線を打ち込んで、表側のポイントのスローロッドに差し込んだだけです。これが実用になるLGBのポイントマシンは本当にありがたいですね。

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ターンテーブルの製作開始です。250mm角の3mmアクリル板と、同じ大きさで中央に直径200mmの穴を開けた5mmアクリル板(穴開けは外注しました)を貼り合せたものをベースにして駆動部を取り付け、台枠の天板の裏にネジ止めしました。ピット内壁はプラ板で、天板上面より5mm程高くなるようにして、ピット自体の薄さを誤魔化しています。

線路はアクリル板のベースに接着剤(セメダインスーパーX)とねじの併用で固定しました。この画像の状態の後、アルミのチャンネル材やアクリル角棒などで適当に形を作りました。


この写真で全貌をつかむのは至難の業だと思いますが、ターンテーブルの駆動ユニットです。下に突き出している銀色の部分がステッピングモーターで、そこから駆動軸へはベルトで伝動しています。これは『AROS Electronics』というメーカーの製品で、偶然eBayで見つけました。どこかの取扱いディーラーが出品したのかと思いましたが、落札後のやり取りからすると、どうもメーカーそのものが出品していたようです。

この製品の購入の際には、モーターの1回転あたりの分割数を決める必要があります。手に入れた後で自分で分割数を変えることは出来ないようです。当レイアウトの場合、ターンテーブルは方向転換に使うだけなので、分割数は2、すなわち180度ずつ回るようにすればいいのですが、欲張ってLGBのR1ポイントの分岐角度の30度ずつの12ステップで注文してしまいました。

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これが駆動ユニットのコントローラーです。側面にリセットボタンがあり、それを押した時の線路の位置を原点として記憶します。そこから時計回りにステップ数に応じた番号が振られるので、前面のスイッチで番号を呼び出すとその位置までモーターは回転します。右側のスイッチを押すと時計回り、左側だと反時計回りになります。

ターンテーブルの駆動電源はDC6Vで、ACアダプターが付属しています。


セクション全体の工作も併せて進みます。ベランダにセクションを持ち出し、枕木とレールを茶系のスプレー塗料で塗装しました。ターンテーブルのピットは茶色がかったグレーで塗装。

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線路部分は緑色に塗装しました。中央にはねじとナットが出ているのですが、壊れたLGBのポイントの、スローロッドのカバーのパーツを外してここに置くことにしました。あとは線路の間に木の板を張ったりウェザリングをすれば、まあ何とか見られるようになるかな、と。

ピット外縁の厚みは、ホームセンターで買ってきたフォームラバーのモール(ほんとは何に使うものなのでしょうか。ドアや窓のスキマ埋め用かな?)をぐるりと曲げて接着。パテ盛りとかプラ板の積層などと考えるとめんどくさそうですが、これだと5分とかからずに作業を終えることが出来ます。近くで見ないでねの但し書き付きですが(^^;


レールと集電装置は手元にあったトミックスのレイアウト用品のプラグを介してつなぎました。集電装置は樹脂製のナットと円盤状の部品にボールペンの先のような形の集電ブラシが付いており、ピット側の半回転で分割したフィーダーと接触して通電するようになっています。テーブルの半回転ごとに線路の極性が自動的に変わる方式です。この方式だと特にDCCでは特別な操作をすることなく運転が可能です。ただ、極性が反転する所でショートを起こさないように、無電区間の幅を充分にとることが必要です。アナログ運転なら、回転時には線路に通電していないので、あまり神経質になる必要はないのですが。

フィーダーから伸びているのはコード代わりの銅の丸棒です。下の駆動部を避けるためピットの端近くまでコードを伸ばす必要があったため、それならいっそ何かの配管に見えればいいのではと考え、このようにしました。

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この後はバラスト撒布など地面工作がメインとなりますが、その前に小さな踏切やらポイント標識の土台の設置などの細々した工作をしなければなりません。


視覚的な変化と、バラスト撒きの面倒さから開放されることを狙って、ヤードの終端に板張りの部分を作ることにしました。洞爺湖畔に突き出した桟橋なのか、プラットホームの代わりなのかは、作っている本人にもあいまいなところです。

バルサの8mm角材を並べていきますが、面取りやレザーソーの刃で木目を付けたりなど、意外と手間がかかります。これはもしかして、バラスト撒いた方が楽だったかも(^^;

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ピンボケで申し訳ありませんが、板張り完了の様子です。お馴染みの木部用染料と、タミヤアクリル塗料のつや消し黒を薄めたものを塗ってあります。これからもっといろんなものを塗りたくって、汚い色にしていきます。


ケーディーのアンカプラーは踏み切りに見立てるというお馴染みの手でカモフラージュします。ストラクチャーを建てられないこのセクションでは、このようなものも、風景の単調さを救う重要な小道具となりますね。

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ターンテーブルにも歩み板を貼ったところ、なんとなくリアリティが増してきたように思えます。


セクション同士を分解した状態でヤードの工作をしているので、宙に浮く形のリバース分岐セクションは、普段と別の場所に追いやられています。そこでこんな写真を撮ってみました。普段の状態では、このアングルの写真は絶対撮れません。壁に穴でも開けない限りは(^^;

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(2004.8.3追記)
バラストは他と同じく『芝の目土』をボンドバラスト法で固着しました。ターンテーブル周りの土の部分も、いつもの土のブレンドをやはりボンドバラスト法で固着。この辺は場所が変わっても、技法がそう変化するわけではありません。隣のセクションとつなげましたが、やはりベニヤ剥き出しより風景の連続性がありますね。


屋外にセクションを持ち出して作業しましたが、暑くて参りました。しかしその分、接着剤の乾きが早くて助かりましたが。


セクションの継ぎ目から右は草が生えていませんね。残りの作業は、草撒きと細かなアクセサリの設置、バラストや土の色調の調節などとなります。何とか終わりが見えてきました。

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(2004.8.14追記)
接触限界標とポイントの転轍テコを設置しました。セクションのサイズから考えて、これ以上のアクセサリーの設置は出来ないでしょうね。


ヤード入り口のポイントには、お馴染みの米国風テコ付き標識を設置しました。他のポイント脇にはこれを立てるだけのスペースがないので、カブース・インダストリー製のOゲージ用の転轍テコをちょっと加工して設置してあります。背が低いので、これだけ線路に近くても車輛には引っ掛からないようです。

踏切を作る時に接触限界標のことは何も考えていなかったので、踏み板の上に乗っかったり、通路をふさいだりして立っています(^^;

申し訳程度に草が植えられていますが、2日後にはJAMコンベンション出品のために運ばれてしまうので、この位で終わってしまいそうです。続きはJAMコンベンションの後で。

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レイアウトが手元から消えてしまうので、この項はこれでおしまいです。
続きはJAMコンベンションの後で、項を改めて発表したいと思います。