LGBの半径600mmの曲線線路を半径390mmに曲げ直す(その1)



LGBに代表されるGスケール鉄道模型では、半径600mmの曲線線路が最小のものとなっています。これは縮尺と線路幅を考えると、とても急曲線なのですが、畳の国の人間としては、なんとかもう少し急カーブにして、半間(約90cm)の中に線路を収めたいところです。Nゲージサイズの曲線にすることで、室内レイアウトの可能性も出てきます。幸い所有車両は小型のものが多く、急曲線が似合いそうです。

LGBのカタログの、線路規格のページを見ると、製品化はされていないがフレキシブルレールを使う前提で、半径420mm程の曲線が例示されています。しかし半間に収めるには、枕木を含めた線路の大きさから、大きくても半径400mmまでに押さえたいところ。そこで曲線半径を390mmに決めたわけですが、この390mmという曲線半径の根拠となったのは、雑誌『鉄道模型趣味』1994年
5月号(通巻584号)に掲載された、伊藤 剛氏による1番ゲージ(縮尺1/32 線路幅45mm)の機関車の製作記事でした。その機関車を走らせるために、LGBの半径600mmの曲線線路を曲げ直して、半径390mmの曲線線路を作ったそうなのです。


元の線路が12本で円になるところを8本で円になる(8本円なら90゚で分割できる)ようにした結果、半径390mmの曲線が出来上がってしまったらしいのですが、これは良い方法だと思いました。半径600mmの曲線線路なら、スターターセットを買えば必ず付いてきます。曲げたら半径390mmになったということは、多分外側のレールの長さは元のままの筈で、レールの切断加工は内側レールだけで済みます。枕木もちょっと曲げ直せばいいわけで、材料に無駄が出ません。半径は希望通りだし、良いことずくめです。

しかし、実際にレールを曲げる段になって、これは容易なことではないと気付いたのです。LGBのレールは真鍮製で、コード332という、高さが9mm程もある大きなレールなのです。Nゲージのレールなどとは違い手で自由に曲げることは出来ません。無理に曲げたとしても、正確な曲率を保つことは非常に困難だと感じました。実際の作業に入る前に、計画は頓挫するかに思えたのです。


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そこに登場するのがこのレール曲げ工具。アメリカのSUNSET VALLEY RAILROAD社から発売されている、"Curvemaker Rail Bender" です。



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写真のように、ローラーの間に線路をはさみ込み、ローラー幅を調節して希望の
カーブに持っていき、ハンドルを回してレールを送りながら曲げていきます。
大昔の洗濯機の脱水ローラーをちょっと思い出させます。


今回は、ベニヤ板で原寸大の型紙(?)を作り、それに合わせてレールを曲げていきました。



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元の線路の、内側の枕木を接続している部分を取り除いて、曲げたレールを入れた際に、一緒に枕木も曲がるようにします。外側は元のままです。ここを取り除かなくてもちゃんと曲がってくれます。取り除いたら枕木がバラバラになってしまいます。



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元の線路と曲げた線路とを重ねて置いてみました。ちゃんと急カーブになっています。レールベンダーの構造上、レールの端から数cmの部分は曲げてくれないので、そこはペンチなどを使い手で曲げていきます。内側レールの一方は少し切り落としてしまうので、あまり曲がり方には神経質にならなくて良いかもしれません。ちなみに今回は、レールの端から数cmの部分は曲げてくれないのをいいことに、元のレールに付いていたジョイナーを付けたままで作業しました。



そしてめでたく半径390mmの8本円は完成したのです。次のページへ→

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