生前の無償処分(1030条)・・・・意味が分かったら、このページを閉じてください



質問
被相続人および無償行為により利益を受けた者は、
無償処分により、遺留分権利者に損害を加えることを認識していましたか?

判断してページを進める

認識していない場合・・・・その事情は相続には関係ありません。このページを閉じて戻る。


認識している場合・・・・遺留分が問題になる可能性があります。遺留分については別のページで検討しますのでページを閉じてください。


例・・・・
被相続人は妻子がいるが、死亡3年前に弟に被相続人の財産の大部分を占める土地・建物を贈与した。
被相続人は当時、高齢で年金収入しかなかった。
被相続人・弟双方は、贈与がなされたら妻子の相続分が非常に少なくなることを認識していた。


質問の補足説明

1年以上前の贈与であっても、契約当事者の双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、算入される(1030条後段)。

どのような場合に遺留分権者に損害を加えることを知っていると言えるのか?

被相続人が財産の大部分を第三者に生前贈与したとしても,相続開始までどれだけ時間があるかわからないのが普通だから,贈与の時点で遺留分を侵害していても,その後財産が増加するから大丈夫だと思っている場合もある.
そこで,贈与契約時に遺留分を侵害していることの認識のみならず,将来も遺留分の侵害が続くと予見していたことが必要とされている(大判昭和11年6月17日民集15−1246).
この要件を満たすとされたのは,老齢で収入もない被相続人が財産の大部分を贈与したような事例である。








第千三十条  
贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によつてその価額を算入する。
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知つて贈与をしたときは、一年前にしたものでも、同様である。