(1)身元保証
  基本的保証債務の相続と損害事故発生後の具体的保証債務の相続とがあるが、
 新しい判例はない。
 @ 基本的保証債務の相続性
  「身元保証に関する法律」には規定がないが、判例は、特別な事情がない限
  り相続性を否定する(大判昭2.7.4 民集6−436)。身元保証人の責任は被保証
  人との信頼関係にもとづいて成立したもので一身尊属的なものだからである。
   この特別な事情の有無は、身元保証人と被保証人間と同様の信頼関係が、身
  元保証人と被保証人との間にも認められるかどうかによって決せられている。
  すなわち、被保証人が雇用されるに際し、相続人がその素行、性格、手腕を称
  賛し、自らが身元保証人になるつもりもあったが、便宜上戸主たる父が身元保
  証人になった場合は、父の死亡によって相続人は身元保証契約を継承する(大
  判昭12・12.20 民集16−2019)。しかし、身元保証人の相続人が被保証人の配偶
  者の兄弟にあたるというだけでは特別の事情に該当しない(大判昭18.9.10民集22−948)。

 A 具体的保証債務の相続性
  相続性を有することは一般に認められている0この場合は保証人が使用者に
 一対して負担する債務は保証人の死亡時点で既に具体化しており通常の損害賠償
 債務そのものだからである(大判昭10・11・29 民集14−1934)0