3.分割後遺産でないことが判明した場合の取扱い
遺産分割は、各当事者に相続権が存すること及び分割対象財産が遺産に属することを前提としている。従って、遺産分割成立後に分割された財産が遺産の範囲に属さないことが判明した場合、協議により成立した遺産分割の場合には、所有権者は所有権確認の訴を提起し、その所有権の存在を主張することとなろう。また、調停、審判にて成立した遺産分割の場合には、所有権者において請求異議訴訟を提起することとなる。この点については、同じく家事審判事項とされる婚姻費用審判について、同審判は執行力ある債務名義と同一の効力を有するものであるから、その執行力の排除を求めるために、請求異議の訴えを提起することが出来るとした裁判例(東京高判昭58.9.28 判時1095−112)が参考となる。