侵害されている場合・・・・妨害排除請求・持分確認請求・分割の調停 などを求めればよいのですが、侵害者が時効を援用することにより、相続回復できない場合があります。
上記の期間が経過している場合、侵害者が時効を援用することにより、原則として相続回復できなくなってしまいますが、下記の場合のように時効の援用が許されない場合もあります。
本条の適用
★共同相続人の一人が、相続財産のうち自己の本来の相続持分を超える部分につき、その部分が他の共同相続人の持分に属することを知っているとき、又はその部分につき自己の相続による持分があると信ぜられるべき合理的な事由がないときには、本条の適用が排除される〈最判昭53.12.20 判時909−3)。つまり、期間制限の適用がなく相続回復できます。
(他の共同相続人の持分に属することを知っているときの具体例・・・・他の相続人がいるのを知っているのに、一部の相続人を除いた分割協議を行い登記移転などを済ませた場合など。
本来の持分を超える部分も自己に帰属すると信ずる合理的な事由のある場合とは。。。たとえば隠し子の存在を知らずに遺産分割をすませてしまった場合など極めて例外的なケースに限られます
★合理的事由の存在を判断する基準時は侵害の開始時点・また立証責任は侵害者側(最判平成11・7・19)
★表見相続人から相続財産を譲り受けた第三者がいるときであっても、 悪意又は合理的事由の存否は、表見相続人について判断すべきである(最判平7・12.5 家月48−7−52ないみたい)。
相続回復請求権者
★遺産占有を失っている真正相続人である。なお、相続回復請求権は、一身専属権であるので、相続分の特定承継人は、主張し得ないとされている(最判昭32・9・19 民集11−9−1574)。すなわち、通常の物権的請求などをおこなえばよい。
★相続人の相続人は、固有の相続回復請求権にもとづいて権利を行使することになる(大判大7.4.9 民録24−653)。
相続回復請求権の相手方
表見相続人が被告適格を有することには問題がない。第三取得者に被告適格が認められるかについては、大審院判例はそれを否定してきた(大判大5・2・8民録22−267)。すなわち、第三者は相続回復請求権の時効消滅の援用をしえない。ただ、戦後の下級審は、肯定判例もある(静岡地浜松支判昭和36・6・30下民集12−6−1533など)。
時効取得との関係
相続回復しうる間は、表見相続人は相続財産たる不動産を占有しても、時効取得することはできない(大判昭7.2.9 民集11 192 ないみたい)。ただ、学説上争いあり