分取得者が決定するまでの権利行使の方法
 
相続人が複数いる場合、株式及び有限会社の持分は、たとえそれが複数でも遺産分割が確定するまでは準共有の状態にあり、各相続人はそれぞれの相続分に応じた持分を有するにすぎない。
  従って、遺産分割未了の間に相続人が会社に対して権利行使の必要あるときは、共同相続の旨を株主名簿または社員名簿に記載したうえで、共同相続人の中から権利を行使すべき者1名を定めて会社に届け出なければならない(商203T、有22、最判昭45・1・22民集24−1−1)。このように権利を行使すべき者が定められた場合は、特段の事情のない限り以後代表者のみが会社に対して権利を行使できる。                                                                                                                                                           
 
  なお、上記権利行使者の選任は、広汎かつ重要な権限を包括的に委託する一種の財産管理委託行為であり、一般の共有物の管理行為または保存行為(民252.多数決)とは次元を異にするから、共同相続人全員の合意が必要であるとする裁判例(徳島地判昭46.1.19 下民集22−1・2−18)もあるが、異論も多い。