不動産の評価を知るためには、資格のある不動産鑑定士に鑑定を依頼することが多い。
客観的に公平な評価ができればよいのであるから、必ずしも常に鑑定によらなければならないわけではない。特に土地の場合は、@固定資産税の課税標準価額、A路線価、B地価公示による公示価額、C近隣の取引事例等を参考にして、当事者間で合意することも可能である。
調停による場合、家事調停委員による専門的な知識経験にもとづく意見の陳述の制度(家審規22の2T、136の2)を活用する方法もある。
審判分割において、当事者に資力がなく、あるいは手続に協力が得られない場合、証人の証拠調(家審法7)によって資料を得ることもできる。
しかし、土地が賃貸されていたり、地上建物が賃貸されている場合などは、土地価額から一定割合を減額されるのが普通だが、地域差、借地権の内容、地上建物の状況など複雑な要素を掛酌する必要もあり、鑑定人の評価を得るほかないといえる。場合によっては、遺産の一部を換価して鑑定費用に当てることも考えられる。