共同相続人の1人が行方不明、生死不明の場合の協議方法

(1)失踪宣告による方法
 @ 行方不明者の生死が7年間以上明らかでない場合には、他の相続人から家庭裁判所に申し立てて行方不明者の失踪宣告の審判の手続をする。
   イ 行方不明者の死亡時が被相続人の死亡前である場合一代襲相続人が相続
   口 行方不明者の死亡時が被相続人の死亡後である場合一行方不明者の相続
    後、その相続人が相続したことになる。
 A 失踪宣告がなされ、遺産分割が終了した後、行方不明者の生存が確認された場合には、失踪宣告は取り消されることになる(民32)。この場合、他の相続人が行方不明者の生存を知らない場合は遺産分割は有効で、ただ、財産の残存する範囲において他の相続人に請求できるにすぎない。生存を知っている場合は、分割は無効となる。

(2)不在者財産管理人の選任による方法
 @ 失踪宣告によりえない場合(不在者が行方不明になってからまだ7年にならない場合、遺族の感情から不在者を死亡扱いにすることに問題があるような場合、生きていることだけは分かっているが住所が不明の場合等)には、共同相続人の一部又は全部の者が、利害関係人として家庭裁判所に対し、不在者財産管理人の選任を申し立て(民25、家審法9T甲類B)、その選任された管理人と遺産分割について協議する。
 A 不在者財産管理人の選任の管轄裁判所一行方不明者の最後の住所地の家庭裁判所
                                                                                                                                                                                  
 B 管理人の資格一共同相続人以外の遺産に利害関係を持たない第三者が望ましい。
 C 不在者財産管理人は、不在者のため、財産についてその原状を変えないような保存行為、利用改良行為をする権限がある(民28、103)。遺産分割は、一種の処分行為であるので、協議分割、調停分割に同意するには家庭裁判所の許可が必要である(民28、家審法9T甲類B)。審判分割は裁判所が決めるのであり、裁判所の許可は不要である。