共同相続人の1人が精神病の場合の協議方法
(1)遺産分割協議は法律行為であるから、協議者に意思能力があることが必要である。
(2)当該精神病者が心神喪失の常況にあり意思能力を全く欠く場合の処理
  家庭裁判所に禁治産宣告の申立てをする。
 @ 申 立 人一本人・配偶者・四親等内の親族・後見人・保佐人・検察官(民7条)
 A 管轄裁判所一本人の住所地の家庭裁判所(家審規22)
 B 効  果一禁治産宣告(家審法9T甲類@)、後見人の選任(同甲類M)。
       ただし、当該精神病者に配偶者がいればその者が当然後見人になる。
   前述したように、後見人が共同相続人である場合、後見人と禁治産者(被後見人)との利害が相反するので、後見監督人がいればその者が代理人となり、  また、後見監督人がいないときには、家庭裁判所へ特別代理人選任の申立てを  して特別代理を選任し、それら後見人、後見監督人、または特別代理人が分割  協議の当事者として手続を行う。

(3)当該精神病者が心神喪失の常況に至らない場合の処理
 家庭裁判所に準禁治産宣告の申立をする(家審法9T甲類A)
 @申 立人一本人・配偶者・四親等内の親族・後見人・保佐人・検察官
     (民13、7)
 A管轄裁判所一本人の住所地の家庭裁判所(家審親30、22)
 B効  果一保佐人の選任(家審法9T甲類M)
 前述したように、遺産分割協議も重要な財産上の行為に該当するので保佳人の同意が必要であり(民12TB)、準禁治産者は、保佐人の同意を得て遺産分割協議を行うことになる。