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減殺請求前に目的物が譲渡された場合



 1040条(同条は贈与の場合について定めていますが、遺贈・「特定の遺産を特定の相続人に相続させる遺言」にも同様です)


★原則

遺留分減殺請求をおこなうと、贈与・遺贈等は失効し、遺留分権者は目的物を取り戻すことができます。
しかし、遺留分減殺請求前に受贈請求者・受遺者が目的物を第三者に譲渡してしまった場合、原則として遺留分権者は目的物を取り戻すことができなくなります。

この場合、受贈者・受遺者に対して目的物の価格を弁償するように請求できます。
弁償すべき価格は、譲渡の価額がその当時において客観的に相当と認められるべきものであったときは、右価額を基準として算定すべきです(最判平成10・3・10)。
例・・・20年前に長男は当時の相場価格で1億円相当の不動産の贈与を受けた、長男は10年前に第三者に1億5000万円で売却した。この価格は当時の不動産相場から見て妥当なものであった。現在の時価は2億円であるとする。この場合、次男の遺留分が2億円分侵害されているとしても長男に請求できるのは1億5000万円までです。
ただ、最判昭51.3.18の趣旨から物価価値が著しく変動した場合には別途の考慮も必要と思われます。


★例外

譲受人が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていた場合には、遺留分権者は譲受人である第三者に対して目的物の返還を請求できる。
この請求に対して、転得者である譲受人は価格弁償を選択することができる(1041条2項)。

譲受人が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていた場合であっても、遺留分権者は受贈者・受遺者に対して目的物の価格を弁償するように請求することもできます。
遺留分権者は受贈者・受遺者に請求するか、譲受人に請求するかを自由に選択できるのであり、遺留分権者が受贈者・受遺者に請求した場合、受贈者・受遺者が譲受人の悪意を主張して譲受人に対して目的物の返還を求めるべきであると主張することは認められなません。