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遺留分の要件>遺留分の効果・・・・理解できたらページを消して戻ってください。
相続開始から10年経過していない場合
@ 遺留分権者が相続の開始を知ること A 遺留分権者が減殺すべき贈与・遺贈があったことを知ること B @およびAを知ってから1年間のうちに行使しないこと この条件を充たせば10年を経過しなくても遺留分減殺請求権は時効により消滅します。 すなわち、遺留分減殺請求をしても「時効消滅しているので請求には応じない」と時効を援用されてしまえば請求できなくなります(145条)。 @について 例・・・長男は海外旅行にいって父親の死亡を死後6ヵ月後に初めて知った場合。長男については6ヶ月間は時効は進行しない。 Aについて 例・・・相続が開始してから5年後に、相続人たる長男は被相続人が愛人に多額の贈与をしていた事実を初めて知った場合。長男については5年間時効は進行しない。 贈与や遺贈がなされていることを知ることに加えて、贈与や遺贈が遺留分を侵害し、減殺することができるということまでを認識している必要があります(大判明治38・4・26) ただ、この認識は未必的な認識でたります(最判昭和57・11・12) 例・・・贈与がなされていることは知っているが、遺産が方々に分散していて、相続財産の全容を把握おらず遺留分が侵害されているか否か不明である場合。 例・・・愛人に対しての贈与がなされていることは知っているが、その贈与が公序良俗に反し無効なものであり、遺留分を侵害することはないと考えている場合 上記2例では遺留分を侵害する未必的な認識を持つようになってから時効が進行します。 Bについて 遺留分減殺の方法 ・訴えの方法による必要はありません(最判昭和41・7・14) 例・・・A土地の贈与は私の遺留分を侵害するますので減殺しますとの意思を口頭や手紙、通常は内容証明郵便で伝えれば「行使」したことになります。通知例→弁護士さんのHP ・1年の消滅時効は遺留分減殺請求権そのものの時効であり、減殺請求により取り戻し財産が遺留分権者の固有財産になる場合には、取り戻した物権に基づく返還請求権(登記請求権・引渡請求権など)は消滅時効にかからない(最判平成7・6・9ない)。 ・遺留分権者が遺産分割協議の申し入れをしたり、家庭裁判所に分割の調停を申し立てても「行使」したとはいえません(東京高判平成4・7・20)。ただし、全部包括遺贈であるケースでは遺留分権者は減殺をしなければ分割協議はおこりえない関係にありますので「行使」といえます(最判平成10・6・11) |
未履行の遺贈・贈与については、抗弁権の永久性の法理により、現状の変更を求める遺贈・贈与履行請求に対して防御的に用いられる減殺請求権は時効消滅しないと解する学説がある。