| 南部縦貫鉄道 |
七戸駅にて |
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平成9年5月で廃止が決まった南部縦貫鉄道に平成9年1月25日に行って来ました。個人的には実に十何年ぶりの訪問だったのですが、以前と比べ何も変わっていませんでした。
今回は家族3人で訪れたのですが、例によって「親子スーパーパス」という便利で格安の切符を使いました。これにより交通費は正規運賃・料金の約3分の1で済みました。
東京→野辺地
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鉄道防雪林 |
東京発8時の「やまびこ1号」で盛岡に向かう。この列車は東北新幹線の最優等列車で途中停車駅が仙台だけなので結構好きなのです。座席は14号車1番ABCで車両の最後部でした。スキーシーズンではありますがこの車両の乗車率は30%くらいでした。なぜか車両の端っこの割り当てが多く中央部分は空席が目立っていました。
盛岡定時着。「はつかり5号」に乗り継げるのだが、指定席が取れなかったのと野辺地に着いても早すぎるので1本遅らせて「はつかり7号」に乗ることとする。そうなると盛岡で1時間の待ち時間があるので駅ビルに行き対雪用品を見に行く。丁度スキー用品のバーゲンをやっており型落のスキーウエア(最初に付いていたの値札で\45,000の品)が\980で売っていました(これは手袋より安い)まだ時間があるので"fj.rev.rai"でちょっと話題になった盛岡駅の「駅そば」を試してみるが、駅構内の立ち食い蕎麦屋のほとんどが伯養軒で食べてはみたがそれほどうまくはない。そばを食っても「はつかり7号」の発車までまだ40分以上あるが特にすることがない。そういえば盛岡駅で「はつかり」1時間以上前から入線していることを思い出しホームに向かう。思惑通り列車はホームにいた。さっそく禁煙自由席の中央付近の席をゲットしてクロスシートにする。そばを食べたらおなかが空いているのが発覚した様で駅弁を3種類買う。(幕の内、釜飯、海鮮弁当)それでもまだ時間があるので、待ちきれずに弁当を食べ始める。食べ終わった頃に接続する新幹線が到着したらしく、乗客が乗り込んできた。なかにはくわえたばこのまま禁煙車をあるくバカな客がいたりした。見る見るうちに車内は満席になった。ようやく時間が経ち11時54分に「はつかり7号」は発車した。
そういえば東北本線の盛岡以北に乗るのは随分久しぶりになることを思い出した。秋田新幹線へのジェットコースターがすでに出来ていた。八戸で乗客の大半が降りて13時37分野辺地に到着した。
野辺地→七戸
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野辺地駅の雪かき車 |
窓の外は吹雪で、駅到着前に並走している南部縦貫鉄道の線路は雪に埋もれていてまったく見えない。いやな予感がする。乗り換え案内の放送によると大湊線は強風のため不通になっており代行バスを運行しているとのことである。ホームに降りて跨線橋を渡り南部縦貫鉄道のホームに向かう。「はつかり7号」からも何人かが跨線橋をわたって行く。ホームに降りる階段には三脚を立て写真を撮っている人や吹雪を避けいる人がいる。ホーム上方の待合室に入るとそこにも「鉄」と思しき人が3人いる。とりあえず七戸往復の切符を入手しようとすると、駅員曰く「行きは走るけれど、この雪なので帰ってこれるかわからない」とのこと。とりあえず片道の切符を購入する。ここで発売しているのは車内補充券であった。野辺地から七戸まで大人片道790円である。
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レールバスが野辺地駅に到着 |
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野辺地駅ホームにて |
しばらくすると雪かき車が吹雪の中を懸命に走ってきた。これを目指していままで散らばっていた「鉄」関係者がホームに集まって来る。それからしばらくしてレールバスがやってきた。キハ102である。七戸からの列車から「鉄」関係者が5人程降りてきた。運転手は駅員となにやら会話をしている。どうも雪が強くて運転が困難であると言っている様である。それからホームにいる乗客に向かって七戸までは行くが戻って来れない。それでもいい人は乗って欲しい。旨のことを南部弁で伝えた。レールバスに乗り込み最前部の席に座る。元気な「鉄ちゃん」達は写真を撮り続けている。
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レールバスの運転席 |
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走行中の車内 |
やがて発車時刻となる。車内の座席は満席で立っている人が3、4人いる。もっとも彼らは運転席の後ろにかぶりついており、たとえ空席があっても決して座ることはないであろうと想像される。乗客の大半は「鉄」関係者のようであるが、中には地元の方で廃止決定を機会にわざわざ乗りに来たグループもいた。野辺地駅を発車したレールバスはかつて東北本線であった線路を走る。先行して雪かき車が運転されているのであるが、雪の勢いが衰えずレールが見えない。また車内の熱気のせいか運転席前方の窓が曇ってしまい、運転士がしきりに窓を拭く。かぶりつきで立っている「鉄」が自分も前方を見たいので、ボランティアとなり窓拭きを手伝っている。それでも視界はあまり改善されない。列車運休を知らせるために、車掌は各駅に停まる毎に待合所の壁に「お知らせ」掲示していく。その動作を一部始終確認するために車内を走り回る「鉄」もいる。また各駅とも必ず「鉄」がおり、カメラを構えている。沿線でも踏み切り等に何人かカメラを構えている「鉄」がいる。今や鉄道の廃止はちょっとしたイベントとして認知されている様である。
約35分間の旅を終え終点七戸に到着した。乗客は駅の構内に散り、レールバスの撮影に興じる。運転士もサービスでライトを点灯してくれる。改札で「乗車券を記念にしたい」と申し出ると「どうぞ」と言って簡単に手に入った。駅の待合室ではいわゆる「サボ」などの記念品を販売していた。
七戸→三沢→青森
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七戸駅 |
さてこれから野辺地に戻らなければならないが、帰りの列車は運休なのでバスか最悪タクシーに乗らなければならない。外は吹雪きでバス停の位置も分からない。とりあえず歩き出してみると、信号の先にバス停があり、待っている客がおり、さらに「三沢駅」行きのバスが停まっていた。野辺地から乗る予定の「はつかり13号」は三沢にも停車する。七戸の南の十和田市から三沢まで十和田観光電鉄が走っている位であるから三沢までさほど遠くはないはずである。「はつかり13号」の野辺地の発車時刻から推測するに三沢での発車時刻まで約1時間ある。またこの吹雪にいるのはつらい、という判断がとっさにはたらき、バス停まで走って行きバスに乗り込んだ。バスは南部縦貫鉄道の踏み切りを渡り三沢に向けて軽快に走り始めた。途中の経路は不明であるが、なんとか上北町駅前を通った。あとは鉄道に沿って2駅で三沢である。小川原駅を過ぎ三沢市内に入るところまでは順調であったが、なかなか駅に着かない。おまけに信号が多く思った様に進んでくれない。ついに推定時刻の16時をまわったころようやく三沢駅に着いた。JRの駅に駆け込んだところ「はつかりxx号」発車の2分前であった。「はつかり13号」は今や貴重品の583系であっり、野辺地から座る予定であった指定席は空いていた。


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