Title:the after
















赤い海。









そして彼方に横たわる巨大な白い物体。












焼けこげた木材の残る砂浜に、一組の少年少女が倒れている。

共に意識を失っているようだ。

少年は開襟シャツに学生ズボン、少女は赤い厚手のレオタードのような体の線のはっきり出る服を着ている。

だが、少女の方は右腕と左目に包帯が巻かれている痛々しい姿だった。




しばらくして少年の方が目を覚まし、焦点の定まらない瞳を海岸線に向けていたが、少しののち、ゆっくりと首を回して隣に倒れている少女を見る。




そして、少年がのろのろと身を起こす。

一方、少女の方は意識を取り戻していたが、その目にはほとんど精気が感じられない。
ただ、虚空を見つめるのみである。




そして・・・

少年は、緩慢な動作で隣に仰向けで倒れている少女の胴にまたがると、その細い首を絞めだした。

徐々に力が込められていく。

しかし、少女はそれに抵抗するでもなく、大きく見開いていながら焦点の合わない瞳で少年の方を見やる。

そして、ゆっくりと右手を差し上げて少年の頬をなで始めた。



少女の顔にぽたりぽたりと水滴が落ちた。

少年の涙だった。

少年の震えながらも少女の首を絞めていたその手から力が抜けると、込み上がる嗚咽に耐えられなくなり顔をくしゃくしゃにして泣き出した。



少女は嗚咽を挙げている少年の姿をぼんやりと見ながらこう言った。



ただ一言、




「気持ち悪い」




と……

















そのとき突然、大きく水しぶきをあげながらオーバーなアクションで、海の中から何者かが身を起こすと、砂浜の二人を怒鳴りつけた。

「ちょっと待ちなさい!!」



服装こそクリーム色のワンピースと違えど、その声の主も首を絞められていた少女と同じ姿をしていた。

そう。

セカンドチルドレン、惣流・アスカ・ラングレーの姿を。

海から出てきた方のアスカはづかづかと二人の方に近づくと、上の少年を蹴り飛ばし、さらに下の自分と同じ顔かたちの少女の胸ぐらをつかむ。

「アンタ、何、私の顔で妙な真似してんのよ!」



さらに、いつの間にかもう人影が増えていた。

今度はカッターシャツの少年――サードチルドレン、碇シンジと同じ顔形の人物である。

彼もワンピースのアスカに蹴飛ばされたもう一人のシンジの側に近寄ると、

「僕と同じ顔をして変なことしないでよ…」

と、話しかける。














さらに次々と赤い海から人が立ち上がる。

「私、何故こんなお猿なの?」

「ぷはぁ〜!生き返ったわ〜。」

「そう。こんな形で戻ってしまうなんて、ロジックじゃないのね…」

「この姿は…非常に好意に値するよ。」

などと口にしつつ、皆、砂浜へと上がってくる。








神は自らの姿に似せて人間を創ったという。

次々と赤い海の中から還ってくる人々は、皆一様に碇シンジと惣流・アスカ・ラングレーの姿形をしていたのだった。
ちゃんちゃん





つまらなかったことに対するいいわけ


えー、ご覧の通り、はっきり言って一発ネタです。

当然続きはありません。

もとは、映画のエンディングを夢オチとかにせず、続きを軽く書いてみようとしたのが始まりでした。

しかし、短編って終わらせ方が難しいですね。


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