SIte-UJI一周年記念 没ネタ復活短編 ぷらぐすーつ(仮名)
NERV本部内の赤木リツコ博士の個室にて。
「なーに、リツコ。急に呼び出したりして。」
「前に、弐号機にアスカとシンジ君の二人が乗って、シンクロ率の記録更新をしたことがあったでしょ。」
「ああ、エヴァを餌に使徒を釣り上げた時ね。
確かあのとき、加持のヤツが一人だけ、さっさと逃げやがったのよね!
だいたいあいつは昔っから・・・」
ミサトにとってはそのことの方が重大だったようで、話がどんどんそれていく。
スパァン!!
リツコはどこからともなくハリセンを取り出し、ミサトの頭をぶっ叩く。
「その話はもういいから。
それより、シンクロ率の記録更新の事よ。
あれから、いろいろ調べていくうちに、面白いことが分かったのよ。」
ハリセンで叩かれて、頭をさすりながらジト目でリツコをにらんでいたミサトだったが、『面白いこと』という単語に反応した。
「最初は、二人のチルドレンの相乗効果でシンクロ率が上がったと思ってたんだけど、どうも、あのときシンクロ率を上げていたのはシンジ君だけだったようなのよ。」
「それってどういうこと?」
「もちろん、アスカが乗ってなければシンジ君は弐号機とシンクロすら出来なかったでしょうけど、あのときのアスカはシンジ君と弐号機をつなぐパイプ役を果たしただけだったの。
だからもし、あのときのシンジ君の状態を再現すれば、初号機でも高いシンクロ率を得られるかも知れないということなのよ。」
「あのときのシンジ君の状態って、もしかして・・・・・」
ミサトもリツコの考えを理解したのか、ニヤリと笑う。
その晩のコンフォート17マンション。
食事を終えて、シンジが洗い物をしている。
アスカはテレビを見ており、ミサトは今日7本目のエビチュをあおっていた。
「そうそう。シンジ君、明日朝からシンクロテストだから、学校休んじゃって。」
「あ、はい。」
「何よ。シンジだけなの?」
アスカはシンジ一人が呼ばれたことをいぶかしむ。
「そう。何でもリツコが初号機用に新しいアイデアが浮かんだからって・・・」
「なんかシンジだけ贔屓されてるんじゃない?」
「文句はリツコに言ってちょうだい。私に言ってもどうしようもないわよ。」
さすがにアスカもリツコのことは苦手なのか、その名前が出て諦めたようだ。
翌日。
NERV本部。
「シンジ君。今日はこのプラグスーツを着てくれるかしら。」
と、リツコがビニールに包まれた青と白のプラグスーツをシンジに手渡す。
「何か、新しくなったんですか?」
シンジは素直に受け取る。
「ええ。これがうまく働けば、シンクロ率が大幅にアップすはずよ。」
「へえ、そうなんですか。」
よく分からないけどさすがはリツコさんだ、と感心した様子のシンジ。
だが、その5分後。
男子更衣室からシンジの悲鳴が響いた。
「ええっ〜〜!!」
シンジは服を脱ぎかけのまま、更衣室を飛び出してくる。その手には、先ほどの新しいプラグスーツが握られている。
更衣室の前にはミサトとリツコが待ちかまえるように立っていた。(というか、まるっきり待ちかまえていたのだが。)
「こ、こ、これって、女の子用のじゃないですか!!」
シンジがプラグスーツを広げてみせる。
たしかに、プラグスーツの胸の部分は膨らんでいるし、股間の部分はすっきりとしている。
さらによく見れば、カラーリングこそいつものシンジ用のものと同じ青と白だが、デザインは全くアスカのものと同じだった。
「いいえ。それが新しいシンジ君用のプラグスーツよ。説明すれば長くなるから省略するけど、そういうデザインにはなるのはすべて理由があるのよ。」
「そんな〜」
普段のリツコなら説明を省略するはずもないのだが、シンジは動転しているためそのことには気が回らなかった。
「シンジくん。シンクロ率を上げるためにはありとあらゆる可能性を追求しなければいけないの。私たちには手段を選んでる余裕なんて無いのよ。」
諭すような、それでいて厳しいいつもの口調のリツコ。
「で、でも・・・」
続いてミサトが、シンジの耳元にすり寄って息を吹きかけながら言う。
「シーンちゃん。なんなら、着替えるの私が手伝ってあげてもいいわよぅ。」
「い、いえ、いいですっ。」
シンジは飛びずさってミサトから離れようとするが、ミサトはシンジを抱きかかえるようにして逃がさない。
「いいのよ。大事なシンちゃんのためならそんなことぐらい・・・」
背中にミサトの豊かな双丘を感じたシンジは顔を真っ赤にして、固まってしまった。
「ほらほら、お・ね・え・さ・んにまかせなさい。」
「いや、あの、その。」
しばらくそんな状態が続いた後、
「ミ、ミサトさん、あの、ひとりで着ますから。だ、だから・・・」
その言葉を聞くと、ミサトがあっさりと引く。
「あっそ。じゃあ、さっさと着替えてね。」
シンジはそこで初めてはめられたと気付くが、もう遅い。
元々ミサトにシンジが勝てるはずもない。
シンジはあきらめて、とぼとぼと更衣室へと戻っていくのだった。
「シンちゃん、修行が足りないわよ。まあ、そこがかわいいんだけど。」
「遅いわよ、シンジ君。」
半時間ほどして、ようやくシンジがケイジに現れた。
シンジは顔を真っ赤にして、股間を押さえながら、隅の方をちまちまと歩いてくる。
その歩き方で皆の視線を避けながら来たため、これほど時間がかかったのだが、その様子はしっかりミサトたちにモニターされていた。
「シンちゃん、よ〜く似合ってるわよ。」
「ミサトさん、からかわないでよ・・・」
シンジが赤い顔をさらに真っ赤にして、蚊が鳴くような声で抗議する。
「こうやってみると、シンジ君ってきっと母親似なのね。その格好でも全然違和感がないもの。」
リツコがこのとき比較対象として、父親ゲンドウのプラグスーツ姿を想像したのかどうかは不明である。
「そんなぁ・・・リツコさんまで・・」
「そうよねー。私もこんなかわいい妹がほしかったのよ。アスカみたいに凶暴なのじゃなくって。」
ミサトはアスカがこの場にいれば、また一悶着起きそうな台詞を吐くが、もちろんアスカが学校にいることを確認しての言葉である。
さんざんに遅れたもののようやく実験終了。
ケイジの前にはリツコが待っていた。
その顔は何かよからぬことを企んでいることがありありと分かる、怪しい笑顔が浮かんでいる。
「えっと、テストの結・・・」
シンジはそこまで言いかけて口をつぐむ。
「何かしら。」
「いえ、いいです。」
(この結果が良ければ、これからずっとこのプラグスーツを着なければいけなくなってしまうかも・・・)
シンジには恐ろしくてとてもテスト結果を聞く勇気はなかった。
こんな時は、逃げてもいいに違いない。そう思って、そそくさと着替えに戻ることにした。
が、後ろからリツコから追い打ちの一言をくらってしまう。
「明日は、レイのスーツでやってみることにしましょう。」
と。
このあと、シンジは2時間ほどケイジで固まっていた。
そして、その固まったままのシンジを怪しいヒゲの人物が「ユイ」という言葉と共にさらっていったという目撃談がしばらく流れたのだが、上からの箝口令により一掃された模様である。
また、今回の一連のテストに関わるいっさいの記録は部外秘とされ、特に映像に関してはAAAランクのプロテクトがかけられることになったことも併せて記しておく。
【記念作品置き場に戻る】
あとがきというか、言い訳
つまんないです。
ろくなネタが浮かばなかったのです。
感想、苦情等がありましたら、uji@ss.iij4u.or.jpあるいは掲示板まで