昨日、テレビで「男はつらいよ・寅次郎の青春」を見ました。
テレビ東京では、2001年10月から全48作を放送中だったんですね。
まあ、順番に見る必要はないシリーズだし、全作をコンプリートしなくとも構わないとは思いますけど。
奇しくも映画の前に他局で明石家さんまが司会するバラエティ番組も見ていて、
小学校低学年の男児(西新宿の吉田君)のお調子者振りを司会者が「平成の寅さん」と評していました。
確かに笑わせてくれるという共通点はありますが、寅さんはあんなエロきちがいじゃないです。
昔、私が県庁所在地で働いていた時、同僚に『寅さんに憧れている』と言ったことがあります。
その言葉に嘘はありません。が、同時に「私には絶対に寅さんのような生き方はできない」ということも知っていました。
「あんなやくざな生き方、できるわけがない」と知りながら、やはり心のどこかで憧れていたように思います。
日常の生活の中で、あるいは仕事中に、「寅さんならこういう場面ではこういう粋なセリフを言うんだろうなあ」
と想像するのですが、「でも相手に失礼かな」とか「立場的に言うべきではないかな」と
思いとどまる時があります。そんな自分を常識人だと思いますが、
仲間以外の人とのコミュニケーションが希薄になり、
隣近所の人と挨拶もしない生活が当たり前に成りつつある世の中で、
彼のように誰にでも気軽に声をかけられる人間は、貴重ではないでしょうか?
ところで、満男が気になるセリフを言いました。
寅さんは世話になった風吹ジュンに突然帰ると告げ、彼女を怒らせてしまうのですが、
満男は『おじさんの(帰るという)選択は正しかった』と言ったのです。
『(仮に結婚したら)おじさんは笑わせるのが上手だから一年ぐらいは楽しく暮らせるけど(以下聞き逃す)』云々。
結局、金と生活力が大切なのでしょうか? まったくそのとおりなれど、何だよ純(=北の国から)、もとい、満男。
悟ったようなこと言っちゃって、それじゃ寅さんはどうすりゃいいのさ。
残り3作は全部見よう……。
2022年12月18日追記!
下記リンクの覚え書ノートに、該当部分が載っていたので、転記させてもらいました。
満男「違う、伯父さんは帰るべきだ」
泉「どうして?」
満男「伯父さんがここに残ったら、もっと大きな悲劇が待ち受けるだけだ」
泉「どういうこと?」
満男「そりゃ、最初はいいよ。伯父さんは人を笑わせるのがうまいし、楽しい人だから、あのオバさんも幸せかも知んない。
けど、伯父さんは楽しいだけで、奥行きがないから一年もすれば結局飽きてしまう。
伯父さんはよく知ってんだ。だから、帰ることを選択したんだ。ね? そうでしょう? 伯父さん」
満男の言ったことに寅はとりあえず同意していたが、実は私に言わせれば寅は奥行きが結構ある人間である。
人生の機微を知り尽くし、人の気持ちを掬い取れる人生の達人である。
もちろん堅気の暮らしをする覚悟もないし、根気もない。
いわゆるチャランポランなフーテン気質なので、今回も恋の成就寸前でマドンナから逃げてしまったというお粗末なのである。
満男はあと一歩、完全には寅を理解し切れていない。
奥行きが足らないのは満男であって実は寅ではない。
……まぁ、あれだ。満男は、泉ちゃんの前で、常識人振りたかったんだ。
だろ? コトー(=診療所)、もとい、満男。
全作品覚え書ノート http://www.yoshikawatakaaki.com/lang-jap/otokono-to.htm
寅さんが歩いた風景 http://kazekobo.cool.ne.jp/atorasan.htm
2006年5月20日追記
NHKのBS2で2005年の8月から全作品の放送がスタートしていたそうです。
前半の24作が終わった時点で小休止に入り,投票によるベスト5が再放送されました。
第1位は第1作目でした。さくら(倍賞千恵子)の若いこと若いこと…。
博との結婚を宣言するところなんか,まぶしさにあふれていました。
後半24作の放送は,2006年8月5日〜2007年1月27日
毎週土曜日午後9時からNHK・BS2にて