ラミブジン(商品名:ゼフィックス)

 初代経口抗ウイルス薬。ウイルスを減少させる力が強く、効果が出るのも早いです。さらに副作用が少ないことも特徴です。

 しかしながら、服用を続けているうちにHBVも生き残りをかけて(?!)ラミブジンに負けないように性質を変化させ(変異)、ラミブジンに対する耐性株が出現します。この耐性株が出てくるとラミブジンを服用してもHBVは再び増殖し、それに伴って炎症が再発することがあります。耐性株の出現頻度1年で2030%、2年で4050%、5年で5060と言われています。

 ラミブジンを飲み始めてからセロコンバージョンをおこし、HBe抗体を獲得する場合もありますが、服薬をやめると再び抗原が現れ(リバースセロコンバージョン)、急激に病状が悪化することがあるので主治医の指示は絶対に守ってください。

プチコラム:みちるの治療

 最近は安全性の面からあまり行われなくなった「ステロイド・リバウンド療法」というものがあります。ステロイドは免疫系を抑える働きがあるので一時的に炎症は抑えられ、一方でウイルスは好き勝手に増えます。頃合を見計らってステロイドをやめると、復活した免疫がバリバリ増殖したウイルスを見つけておりゃーっと一気にウイルス軍を叩きます。

 これに原理的に似ているのが私の受けている治療法です。「ラミブジン離脱療法」といったとこでしょうか。やり方はまず半年〜1年ぐらい、ラミブジンでウイルス量が下がるところまで下げます。その後ラミブジンを切るとウイルスはモリモリと息を吹き返し増殖します。そうすると免疫は、これはいかんと肝炎を復活させつつウイルスを攻撃する態勢に入ります。そこへ再びラミブジンとインターフェロンを2ヶ月位投与、といった感じです。

 1回では効果が出ないことも多いので、人によっては何度かこれを繰り返します。ちなみにみちるは2クールめです。


アデフォビルピボキシル(商品名:ヘプセラ)

 日本では現在ラミブジンが効かなくなった人に対し、ラミブジンとの併用の条件で、健康保険でのアデフォビル使用が認可されています。ただ、日本ではあまり耳にしませんが、この薬にも耐性株の報告があります。B型肝炎での処方量は110mgですが、30mgになると腎臓への副作用(腎毒性)がみられます。 効果については、米国、カナダ、ドイツ、フランスの共同研究では、ラミブジン&アデフォビル治療とアデフォビル単独治療に違いはなかったそうな。アデフォビルはラミブジンより効果が出るのが遅いので、急に切り換えると一時的にウイルスが増殖、肝炎が悪化するのでラミビジンと併用した方が良いとの意見もあります(この意見に賛成しているのは中国だけとか)。一方、併用するとラミブジンにもアデフォビルにも強い耐性株が出てしまうという反対意見もあります。さらには、一時的に併用してもヶ月位でラミブジンを切って良いという意見も・・・(ほとんどとあるコラムからコピペ。どこかは ひ・み・つ)。


エンテカビル(商品名:バラクルード)

 結構期待の星であります。日本では年内に承認? 試験管やシャーレでの基礎実験では、ラミブジンの1500倍の効果があったそうです。実際、人体への処方もラミブジンが100mgなのに対し、エンテカビルは1mgまたは0.5mgです。100分の1200分の1の量で、ラミブジンと同等かそれ以上の効果があるとの報告もあります。もちろんラミブジン耐性株にも効果あり。投与方法は核酸アナログ未投与の人(ラミブジンもアデフォビルも飲んだことのない人)は0.5mg、ラミブジンが効かない人は1mgになりそうです。

 昨年月の中国での試験では、核酸アナログ未投与の患者さんにエンテカビルを投与した場合では耐性株は出現しておらず、ラミブジンが効かない人に投与した場合では1%の確率でエンテカビルの耐性がみられたとか。また、昨年11月の米国肝臓学会で発表されたデータでは、エンテカビル年間の投与で、核酸アナログ未投与の患者さんに投与した場合は耐性株の出現はみられず、ラミブジンが効かない人に投与した場合では%(154人中14人)にエンテカビルの耐性がみられたとか。

 この結果をどうみるかですが、まあ、ラミブジン耐性株が出ていても9割以上の人には良く効くんだと思っていていいのではないでしょうか。