「沈黙の臓器」肝臓

肝臓は再生能力に優れていて、肝臓の75%を切り取っても約4ヶ月で元の大きさに戻ると言われています。
ダメージを受けても残っている正常な細胞がカバーして機能を維持しようとするので、少し異常があっても気づきにくいのです。
肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれるのはこのためです。

肝臓病には急性肝炎・慢性肝炎・肝硬変・脂肪肝などがあり、現在日本では70万人が急性肝炎、130万人が慢性肝炎、30万人が
肝硬変、2万人が肝細胞癌にかかっていると言われています。
慢性肝炎の大部分は、B型・C型ウィルスが原因。そのほかアルコール性肝障害や肥満による脂肪肝、薬剤性肝炎などがあります。
ウィルスが原因の肝炎には、抗ウィルス治療(インターフェロンなど)が行われます。アルコール性肝障害では禁酒が、脂肪肝では
アルコールや菓子類の制限、肥満の解消が治療につながります。


急性肝炎の場合初期に発熱することがあります。(高熱の場合、重症の肝炎を疑う必要があります)同時にのどの痛みや関節痛を伴う
ことがあります。
また、肝硬変も発熱を起こしますが、微熱であることが多い。
肝臓の障害からくる発熱の場合、風邪と勘違いしやすいので、自分の判断で風邪薬を服用してしまうと肝臓に負担をかけることになって
しまうので、医師の診断を受けましょう。


【肝臓の働き】
1.糖質とエネルギー代謝
食事から取り込んだ糖質をグリコーゲンとして貯蔵する。必要に応じてこれをグルコースに変えて血液中へ放出し、各組織での
エネルギー源となる。
 
2.タンパク質と脂質の代謝
血液中のタンパク質やいろいろな酵素を作る。タンパク質を分解した時に出来る有害なアンモニアも解毒する。脂肪酸から中性脂肪を
作り、組織にエネルギーを供給したり、コレステロールの合成や代謝を行う。
 
3.ビリルビンの代謝
古くなった赤血球からできるビリルビンを水に溶けやすい形にして胆汁に排泄する。
 
4.胆汁の生成と分泌
コレステロールから、胆汁の主成分である胆汁酸を作る。胆汁は脂肪の分解を行う。
 
5.解毒作用
体内に生じた毒性物質、外から取り込まれた薬物や有害物質を解毒する。
 
【病態ごとの食事療法】
1.慢性肝炎
普通食を基本にし、バランスのとれた食事を心がける。
特別な脂肪制限はないが、禁酒を実行すると良い。
●朝・昼・晩の3食を規則正しくとる
●毎食、主食(ご飯やパン)・主菜(魚・肉・卵・大豆製品)を1品・副菜(野菜)を2品とる
●1日に果物1個、牛乳コップ1杯、油を使った料理を2品程度とる
●多種類の食品をとるようにする
●アルコール以外の嗜好品をとりすぎないようにする
 
2.脂肪肝
肥満が解消出来る食事を心がける。
●食事量を標準体重に見合ったものに見直す
●食事時間が不規則にならないようにする
●早食い・まとめ食いをやめる
●嗜好品をとりすぎないようにする
 
3.アルコール性肝障害
禁酒を行い、バランスのとれた食事を心がける。
●とにかく禁酒。飲酒を続けると、肝癌になりやすい
●慢性肝炎に準じた、バランスのとれた食事を心がける
 
4.肝硬変
◎代償期(重篤な症状がない場合)
 ●慢性肝炎に準じた食事療法を行う(*1アミノ酸製剤を補給する場合がある)
 ●タンパク質は、大豆製品・卵・乳製品から主にとる*2
 ●野菜・海草・果物をとり、食物繊維の多い食事を心がける
 ●重症になると味覚が鈍化するため、塩分やエネルギーのとりすぎに注意する
 
◎非代償期(以下のような症状がある場合)
 A.腹水がある場合
 ●塩分制限(1日3〜7g)を行う。塩分量は腹水の程度に応じて決まる
 
 B.肝性脳症の場合
 ●血液中のアンモニアが多くなると、意識障害が起こる。これを防ぐためにアンモニアの
  もととなるタンパク質を制限する
 ●不足するタンパク質はアミノ酸製剤で補う
 ●便秘は肝性脳症を起こしやすくするため、食物繊維をとるよう心がける
 
 C.食道動脈癌
 ●食べ過ぎで食道を刺激しないようにする
 ●食道の炎症を悪化させる香辛料などの刺激物、固い物、コーヒーなどを避ける
 
*1アミノ酸製剤とは
 肝臓病で不足するアミノ酸を補う目的で使われる。これを使用すると、アンモニアを上昇させることなく安全に必要なタンパク質
(アミノ酸)をとることができる。
 
*2タンパク質
 肝臓病の食事療法では、良質のタンパク質を含む動物性食品をとることが勧められています。
 しかし、現在ではタンパク質の主成分であるアミノ酸にも肝臓で不足するものと、過剰になりやすいものがあることがわかっています。
 このアミノ酸の含まれかたがちょうどよいタンパク質食品をとることが大切で、肉・魚より、大豆製品・卵・乳製品をとることがよいと
 言われています。
 
油を摂ってもよいか?
以前は黄疸を伴う肝臓病が多く、脂肪制限が必須とされていましたが、近年では黄疸の強い時期を除いて脂溶性(ビタミンA・D・E・K)
や良質のタンパク質をとるためにも、適量の油を積極的にとることが勧められています。
植物性脂質と魚介類の脂質が望ましいとされ、調理を行うときはサラダ油やオリーブ油を使用すると良い。
 
加工食品は控えめに
加工食品に含まれる食品添加物は、弱った肝臓にとっては大きな負担となります。(肝臓で解毒されるため)また、加工食品には塩分が多く含まれていることが多いため、塩分の摂りすぎを防ぐこともできる。
 
食後横になるとよい
食後、栄養をたくさん含んだ血液がよく行き渡るようにするため、横になるとよいと言われています。
障害のある肝臓は栄養を吸収する能力が落ちています。血液が多く、肝臓をゆっくりと通るようにしてあげることが必要です。
1日の食事の回数を増やしたり(3食の間に軽食をとる)、食物繊維を含む食品を食べることも良いとされています。

GOT・GTP
(GOTをAST、GPTをALTと呼ぶことがあります)
正常値はGOTが5〜35KU/ml・GTPが5〜25KU/mlです。
これらは肝細胞の細胞質中に存在する酵素で、アミノ酸の合成を促進する酵素です。肝臓に異常がない状態でも血液中には少量存在していますが、肝細胞が何らかの原因により破壊されると細胞質中から血液中に流出します。その為血液中のトランスアミナーゼの量は破壊された肝細胞の量に比例して高くなります。
 
γ−GTP
正常値は40単位以下
肝細胞膜と肝臓内の胆管にある酵素で、胆管や胆嚢に障害があると血液中に増加してきます。この酵素は、アルコール摂取量と密接な関係にあり、アルコール性肝障害の人は高くなります。
 
ALP
正常値は男性98〜265KA単位・女性72〜199KA単位
肝臓の他、腸粘膜や骨などにも含まれる酵素で、胆道系に疾患があると血液中に増加します。また、妊娠時や骨の疾患の時にも増加します。正常な人でも血液型がO型、B型の人は数値が高いと言われています。
 
LDH
正常値は250〜350IU/L
糖質をエネルギーに換える働く、全身の臓器に含まれる酵素。GOT・GPTと同じく、肝細胞壊死の時に血液中に増加する。心筋梗塞、腎不全、肺ガン、大腸ガン、血液疾患などでも増加します。
 
T-Cho(血清総コレステロール)
正常値は120〜220mg/dl
コレステロールは食物からも摂取されますが、大部分は肝臓で合成されています。肝機能が低下すると合成される量が減り、血液中の値も低くなります。しかし、胆汁の流れに障害がある場合は、胆汁中に排出することができず値は高くなります。
 
よく聞くものをまとめてみました。
ちなみに私の数値はこんな感じです。
GOT46、GPT136、γ−GTP105、ALP175、LDH271、T-Cho235(平成15年10月16日現在)
私の場合、アルコールは一切飲んでいないので服用しているお薬の影響だったり、胆嚢にポリープがあるのでその影響を受けているのだと思います。